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RHESO
結論 緩和ケア病棟に入院している末期患者における出血リスクは高く,リスク上昇の因子は癌,最近の出血,血栓症予防療法,抗血小板療法であった。末期患者に対する血栓症予防療法の実施については,出血リスクが高いことを考慮しなければならない。

目的 緩和ケア病棟入院患者に対し,血栓塞栓症の一次予防を行うべきかについては議論となっている。また,これらの患者における出血リスクは不明である。本研究では,リアルワールドの緩和ケア病棟入院患者において,出血リスクを検討した。また,症候性深部静脈血栓症(DVT)発症率ならびに出血リスク因子についても検討を行った。主要評価項目:臨床的に問題となる出血(大出血+大出血ではないが臨床的に問題となる出血の複合),副次評価項目:症候性DVT(超音波検査で確定,または治療用量での抗凝固療法開始につながるもの)。
デザイン 前向き観察研究。
セッティング 多施設(22施設),フランス。
期間 患者スクリーニング期間は2010年6月~2011年10月。
対象患者 1,199例。進行癌,肺,心,神経疾患のためにはじめて緩和ケア病棟に入院した,18歳以上の末期患者。
【除外基準】入院から48時間以内に登録できなかった,入院後の推定余命<48時間,治療用量の抗凝固療法を必要とする,3ヵ月の追跡が不可能とみなされる患者。
【患者背景】年齢中央値71歳。男性45.5%。体重59.5kg。BMI 21.6。緩和ケア病棟入院の理由:癌91.0%,神経疾患4.3%,心肺疾患4.1%。入院前4週間の病歴:静脈血栓塞栓症6.7%,大出血6.6%,小出血8.2%,大手術5.8%,糖尿病13.3%,腎障害13.7%,肝障害9.1%。入院前4週間の治療:化学療法21.4%,放射線治療7.6%。
治療法 試験参加医師は,通常の治療アプローチを変更しないよう要請された。
対象患者の69例(5.7%)は治療用量の抗凝固療法をうけていたが,試験参加前に中止した。予防用量の抗凝固療法をうけていたのは527例(44.0%,おもにLMWH)で,このうち149例では入院時に中止した。UFH,LMWH,fondaparinuxによる血栓症予防療法は104例で開始された。合計すると,緩和ケア病棟入院前の4週間,または入院中に注射薬による血栓症予防療法が開始されたのは631例(53.0%)。抗血小板薬は計337例(28.3%)に処方された。
追跡完了率
結果

●評価項目
3ヵ月後,1,087例(91.3%)が死亡し,116例で臨床的に問題となる出血が1回以上発症した。大出血発症は32例(34件),出血発症は89例(107件)。致死的出血は23例(致死率19.8%,大出血に限定すると71.9%)。死亡の競合リスクも考慮に入れると,臨床的に問題となる出血の累積発症率は9.8%(95%CI 8.3-11.6)であった。入院から臨床的に問題となる出血発症までの期間中央値は7.5日。
DVT発症は6例(累積発症0.5%,95%CI 0.2-1.1)。
血栓症予防療法の有無による出血発症率は,予防療法あり69例(11.0%),なし47例(8.4%),致死的出血はそれぞれ13例(2.1%),10例(1.8%)。
以下の項目は,3ヵ月以内の臨床的に問題となる出血リスク上昇と独立して関連していた。
癌:HR 5.65,95%CI 1.40-22.9,p=0.01。
最近の出血:HR 3.36,95%CI 2.28-4.97,p<0.0001。
血栓症予防療法:HR 1.48,95%CI 1.02-2.15,p=0.04。
抗血小板療法:HR 1.67,95%CI 1.15-2.44,p=0.007。

●有害事象

文献: Tardy B, et al. Bleeding risk of terminally ill patients hospitalized in palliative care units: the RHESO study. J Thromb Haemost 2017; 15: 420-428. pubmed
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