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メタ解析
PCI施行患者における抗血栓療法:2剤併用と3剤併用の比較
Safety and Efficacy of Dual versus Triple Antithrombotic Therapy in Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention
結論 抗凝固療法中の患者において,抗血小板薬単剤療法は2剤併用療法(DAPT)にくらべ,大出血は少なく,全死亡,心血管死,主要有害心事象,心筋梗塞,ステント血栓症,血栓塞栓イベントは同程度であった。
コメント 人工弁置換後や心房細動などで抗凝固療法施行中の患者に対し,PCI施行後の抗血小板療法を2剤併用(DAPT)で実施する(3剤併用療法)と出血リスクが増大するため,なんとか避けたい。ワルファリンもしくはDOACなどと,アスピリンもしくはクロピドグレルなどの抗凝固薬+抗血小板薬の2剤併用療法で,出血リスクを増やさずにステント血栓症などの血栓性イベントも増加しなければ,そうしたいところである。現在のガイドラインでは,最低4週間は3剤併用療法を推奨している。本研究はRCTを2つ含むが,さまざまな試験スタイルの観察研究を個人レベルではなく試験単位でメタ解析したものであり,エビデンスレベルは高くない。しかし,PCI直後から2剤併用でもよいという考えを支持する結果である。実地臨床においては,出血リスクが相当に高ければ,2剤併用という選択肢もあり得ることを支持している。(島田和幸

目的 抗凝固療法の適応を有する患者に対し,経皮的冠インターベンション(PCI)施行後の抗血栓療法の選択は,実臨床でよく遭遇する課題である。本研究では,PCI施行後長期抗凝固療法中の患者において,3剤併用療法(抗凝固薬+DAPT)を2剤併用療法(抗凝固薬+抗血小板薬)と比較した研究についてのメタ解析を行った。主要評価項目:大出血。
方法 PubMed,Web of Science,Cochrane Library databaseにて,それぞれの開始日から2016年12月まで検索。言語の制限は設けなかった。先行のメタ解析や主要心血管関連学会抄録のスクリーニングも行った。
検索対象:(1) 3剤併用療法(抗凝固薬+DAPT)を2剤併用療法(抗凝固薬+抗血小板薬単剤[aspirinまたはclopidogrel])と比較,(2)ステント留置をともなうPCIを施行された,長期抗凝固療法の適応を有する患者を対象,(3)追跡期間4週以上,(4)評価項目発症率を報告している研究。
除外:(1)複数の解析が複数出版されている(その場合は最新の解析のみ対象とした),(2)進行中の研究または未出版の抄録,(3)急性冠症候群患者(PCI施行の有無を問わない)を含むなど。
対象 11研究(RCT 2件[WOESTPIONEER AF-PCI]+観察研究9件)。
7,276例。
主な結果 ・大出血
平均追跡期間10.8ヵ月において,大出血は3剤群6.6%と,2剤群3.8%より多かった(RR 1.54,95%CI 1.20-1.98,p<0.01)。研究間に異質性はなく(I2=0%),出版バイアスも認めなかった(Egger’s test p=0.116)。

・副次評価項目
すべての項目について,3剤群と2剤群の間に有意差は認められなかった。また,出版バイアスもみられなかった。
全死亡:RR 0.98,95%CI 0.68-1.43,p=0.93,I2=28.2%。
主要有害心事象:RR 1.03,95%CI 0.80-1.32,p=0.83,I2=48.8%。
血栓塞栓イベント:RR 1.02,95%CI 0.49-2.10,p=0.96,I2=27.8%。
心筋梗塞:RR 0.85,95%CI 0.67-1.09,p=0.21,I2=0%。
ステント血栓症:RR 0.77,95%CI 0.46-1.30,p=0.33,I2=0%。
標的血管血行再建術:RR 0.87,95%CI 0.66-1.15,p=0.33,I2=0%。
文献: Agarwal N, et al. Safety and Efficacy of Dual versus Triple Antithrombotic Therapy in Patients Undergoing Percutaneous Coronary Intervention. Am J Med 2017; : . pubmed
関連トライアル ステント留置術施行患者におけるTAPTの有効性および安全性, 心筋梗塞患者におけるDAPT延長による心血管イベント二次予防
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