抗血栓トライアルデータベース
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Roquer J et al
結論 予防的にビタミンK拮抗薬(VKA)または抗血小板薬を投与されていた脳内出血(ICH)患者のうち,高い割合の患者が入院から24時間以内に死亡した。VKA,抗血小板薬とも超早期死亡の予測因子であった。超早期死亡に対する影響が強いため,抗血栓療法の影響は3ヵ月後も持続していた。抗血栓療法を開始する際は,VKAだけでなく抗血小板薬についても,長期投与に対する安全性の懸念を考慮しなければならない。

目的 抗血栓療法中のICH発症については,先行研究により結果は異なるものの,抗血小板薬はVKAより安全であると考えられている。しかしながら,研究の多くは後ろ向きや少人数に対するもので,最重症例や早期死亡例は除外されている。抗血栓療法中の患者におけるICHは重症になりやすいことから,抗血小板薬前投与の影響は過小評価されている可能性がある。本研究では,抗血小板薬を投与されていた自然発症初発ICH患者は非治療例にくらべ,ICH後の超早期死亡,3ヵ月後の死亡,3ヵ月後の機能的自立が不良であるという仮説を検証した。主要評価項目:超早期死亡(救急入院から24時間以内),3ヵ月間の死亡,3ヵ月間の機能的転帰良好(modified Rankin Score[mRS] 0~2)。
デザイン 前向き観察研究。
セッティング 単施設,スペイン。
期間 登録期間は2005年5月~2015年4月。
対象患者 529例。急性初発ICHにより入院した患者。
【除外基準】転帰データなし,BASICMARデータベース(虚血性脳卒中患者を登録した非ランダム化前向き研究)への参加を辞退,ICH再発例,抗血栓療法データなし,aspirin+VKAまたは他の抗血栓薬(ヘパリン,直接作用型経口抗凝固薬)投与例。
【患者背景】年齢中央値**は非治療群74歳,抗血小板薬群80歳,VKA群79歳。それぞれの男性50.2%,52.4%,57.3%。脳卒中既往**8.2%,32.9%,22.5%。心房細動**4.1%,12.9%,83.1%。ICHスコア中央値**1,2,2。出血量中央値(cm3*15.3,24.0,34.0。
**p=0.0001,*p=0.001。p値は3群間における値を示す)
治療法 非治療群:293例。
抗血小板薬群:147例(aspirin 115例,clopidogrel 24例,その他5例,aspirin+clopidogrel併用3例)。aspirinの平均投与量は155.4mg/日。
VKA群:89例(acenocumarol)。INR<2.0は17.1%,2.0~3.0は42.7%,>3.0は40.2%。
追跡完了率
結果

●評価項目
超早期死亡率は,全体では13.4%であった。抗血小板薬群は19.0%,VKA群は27.0%で,非治療群6.5%にくらべ高かった(3群間,p=0.0001)。3ヵ月間の死亡率は,全体では40.8%であった。抗血小板薬群は49.7%,VKA群は58.4%で,非治療群31.1%にくらべ高かった(3群間,p=0.0001)。
3ヵ月間の機能的転帰良好は,全体では28.5%であった。抗血小板薬群は22.4%,VKA群は15.7%で,非治療群35.5%にくらべ少なかった(3群間,p=0.0001)。
年齢とmRSスコアによる調整後のオッズ比は以下の通りであった。抗血小板薬群,VKA群とも非治療群にくらべ,死亡リスクが高かった。
超早期死亡:抗血小板薬群OR 2.55,95%CI 1.35-4.83,p=0.004,VKA群OR 4.24,95%CI 2.16-8.34,p<0.0001。
3ヵ月間の死亡:抗血小板薬群OR 1.56,95%CI 1.01-2.42,p=0.046,VKA群OR 2.34,95%CI 1.40-3.92,p=0.01。
3ヵ月後の機能的転帰良好:抗血小板薬群OR 0.84,95%CI 0.51-1.41,p=0.514,VKA群OR 0.48,95%CI 0.24-0.92,p=0.026。
時間と死亡の関連をみたところ,抗血栓薬群(抗血小板薬群+VKA群)は非治療群にくらべ,早期に死亡していた(p=0.044)。
24時間以内の死亡:非治療群20.9%,抗血小板薬群38.4%,VKA群46.2%。
25時間~7日後の死亡:50.5%,32.9%,36.5%。

●有害事象

文献: Roquer J, et al. Antithrombotic pretreatment increases very-early mortality in primary intracerebral hemorrhage. Neurology 2017; 88: 885-891. pubmed
関連トライアル BAT retrospective study, Lamberts M et al, Lamberts M et al, Ottosen TP et al
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