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Kawabata M et al
結論 抗凝固療法が行われたにもかかわらず,手技を予定された日本人非弁膜症性心房細動(NVAF)患者の2.7%に左心耳血栓が認められた。有病率は直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)とwarfarinで同程度であった。

目的 心房細動はよくみられる不整脈で,血栓塞栓イベントを含む心血管疾患罹患率および死亡率と関連している。本研究では,抗凝固療法中に経食道心エコー(TEE)をうける日本人NVAF患者において,左心耳血栓の有病率を評価し,warfarinの有効性をDOACと比較した。
デザイン 後ろ向き研究。
セッティング 単多施設,日本。
期間 登録期間は2011年7月~2015年10月。追跡期間中央値203日。
対象患者 559例。待機的直流除細動,心臓手術,心房細動のカテーテルアブレーション施行に先立ち,当該期間にTEEをうけたNVAF患者連続例で,TEE施行前に3週間以上抗凝固療法をうけていた症例。
【除外基準】-
【患者背景】平均年齢は血栓あり群64歳,なし群62歳。それぞれの男性60%,80%。心構造疾患26.7%,4.9%(p=0.007)。非発作性心房細動80%,48.3%(p=0.014)。TEE施行理由(アブレーション/除細動/心臓手術)8/7/0,494/33/17(p=0.00001)。平均CHADS2スコア2.7,1.1(p=0.0005)。平均CHA2DS2-VAScスコア3.7,1.9(p=0.0001)。warfarin 46.7%,44.3%,このうちTTR<60%:42.9%,40.5%。DOAC:dabigatran 20.0%,26.1%,rivaroxaban 26.7%,21.5%,apixaban 6.7%,7.1%。抗血小板療法46.7%,10.8%(p=0.0008)。
治療法 全例に3週間以上の抗凝固療法が行われた。DOACは311例(dabigatran 145例,rivaroxaban 121例,apixaban 40例,edoxaban 5例),warfarinは248例。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
左心耳血栓は15例(2.7%)に認められた。有病率はDOAC群(2.6%)とwarfarin群(2.8%)で同程度であった(p=0.86)。
CHA2DS2-VAScスコア0,または脳卒中/TIA既往のない発作性心房細動患者では左心耳血栓はみられなかった。
単変量解析によると,非発作性心房細動,心構造疾患,抗血小板療法,大きな左心房,BNP高値,左心耳血流低下,CHA2DS2-VAScスコア高値は左心耳血栓と関連していた。
多変量解析では,左心耳血栓の独立予測因子は BNP≧173pg/mLのみであった(OR 6.10,95%CI 1.49-25.4,p=0.013)。
左心耳血栓が認められた15例には強力な抗凝固療法が行われた。TEEが再度行われた10/15例のうち7例では血栓が消失したが,1例では7ヵ月後に脳梗塞が発症した。2例では左心耳切除が必要とされ,成功裏に行われた。左心耳血栓が認められなかった症例では,追跡期間中の脳梗塞発症は3例(0.6%)。

●有害事象

文献: Kawabata M, et al. Left Atrial Appendage Thrombi Formation in Japanese Non-Valvular Atrial Fibrillation Patients During Anticoagulation Therapy - Warfarin vs. Direct Oral Anticoagulants. Circ J 2017; 81: 645-51. pubmed
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