抗血栓トライアルデータベース
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SITS-ISTR unknown-onset stroke
結論 本研究より,発症時間不明(UKO)の脳卒中患者に対する血栓溶解療法は,4.5時間以内に治療された患者にくらべ,症候性脳内出血の過度のリスクはみられなかったが,死亡率が上昇し,機能的転帰良好が減少した。
コメント 発症時刻不明脳梗塞における血栓溶解療法の可否は,臨床上解決されるべき大きな課題である。ヨーロッパで行われているランダム化実薬・プラセボ対照試験(The WAKE-UP project, https://www.wakeup-stroke.eu )や,わが国で進められているランダム化実薬・標準治療対照試験(THAWS試験,http://www.thaws.stroke-ncvc.jp)の結果に注目したい。(矢坂正弘

目的 UKOの脳卒中は全体の約25%を占めるとの報告があるが,血栓溶解療法実施対象からは除外される。本研究は,SITS-ISTRのデータを用い,UKO患者に対するalteplase静注の安全性および有効性が4.5時間以内に治療をうけた患者と同程度であるか,またalteplaseに対する反応不良に関連する因子を同定した。主要評価項目:症候性脳内出血,3ヵ月後の機能的自立(modified Rankin Score(mRS)0~2),死亡率。
デザイン 前向き登録研究の後ろ向き解析。
セッティング 多施設(564施設),46ヵ国。
期間 登録期間は2010~2014年。
対象患者 47,237例。当該期間にSITS-ISTRに登録された,ベースライン時および治療のデータのある患者。
【除外基準】alteplase静注+血管内治療併用例,発症-治療時間>4.5時間,発症-治療時間についてのデータが無回答/欠損。
【患者背景】年齢中央値はUKO群74歳,対照群72歳(p=0.001)。各群の男性50.8%,54.8%。ベースライン時のmRS 0(IQR 0~1),0(0~0)(p=0.003)。来院-治療時間中央値72分,66分(p<0.001)。高血圧70.2%,66.5%。糖尿病20.4%,18.6%。心房細動24.6%,22.2%。脳卒中既往から3ヵ月以内1.6%,1.6%。脳卒中既往から3ヵ月超経過9.4%,10.9%。経口抗凝固薬2.3%,3.9%。aspirin 36.2%,32.9%。clopidogrel 7.3%,5.8%。ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値12,11(p<0.001)。ベースライン時CT上梗塞所見35.2%,17.2%(p<0.001)。ベースライン時CT上高吸収域動脈サイン30.9%,22.5%(p<0.001)。
治療法 以下の2群に分類し,解析を行った。
UKO群:502例。
対照群:44,875例。発症から4.5時間以内にalteplase静注。
追跡完了率 3ヵ月後の機能的転帰に関するデータが得られたのは,UKO群359/502例,対照群32,741/44,875例。
結果

●評価項目
ロジスティック回帰分析によると,症候性脳内出血および機能的自立は両群で同程度であったが,死亡率はUKO群のほうが高かった。
SITS-MOST定義症候性脳内出血:UKO群2.7%,対照群1.6%,補正後OR 1.09,95%CI 0.44-2.67。
ECASS定義症候性脳内出血:6.2%,4.2%,補正後OR 1.18,95%CI 0.66-2.14。
NINDS定義症候性脳内出血:9%,6.2%,補正後OR 1.17,95%CI 0.72-1.92。
機能的自立(mRS 0~2):46.8%,56.2%,補正後OR 0.79,95%CI 0.56-1.10。
3ヵ月後の死亡率:22%,16.9%,補正後OR 1.58,95%CI 1.04-2.41。
4.5時間以内治療群はUKO群にくらべ,後遺障害が低減した(補正後共通OR 1.29,95%CI 1.01-1.65)。
UKO群における機能的転帰不良の独立予測因子は以下の項目であった。
年齢(10歳上昇ごと):OR 1.20,95%CI 1.13-1.28。
ベースライン時のNIHSS(1点上昇ごと):OR 1.20,95%CI 1.13-1.28。
ベースライン時の血糖値(1mmol/L上昇ごと):OR 1.26,95%CI 1.09-1.14。
ベースラインCT上の梗塞所見:OR 4.30,95%CI 1.71-10.80。

●有害事象

文献: Dorado L, et al. Intravenous Thrombolysis in Unknown-Onset Stroke: Results From the Safe Implementation of Treatment in Stroke-International Stroke Thrombolysis Registry. Stroke 2017; 48: 720-5. pubmed
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