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Ducci RD et al Factors Related to Cardioembolism as Major Predictors of Poor Survival after First-Ever Middle Cerebral Artery Stroke Treated with Thrombolysis
結論 中大脳動脈(MCA)領域の脳卒中は,血栓溶解療法静注をうけた患者でも死亡率が高かった。症候性脳内出血,心房細動,慢性心不全は心原性塞栓症の修正可能な予測因子であり,脳卒中後の転帰改善のために積極的にターゲットにする必要がある。
コメント 中大脳動脈領域脳梗塞における血栓溶解療法後の転帰不良因子として,症候性脳内出血,心房細動,慢性心不全が指摘された。血圧管理やablationを含めて,これらの因子を改善させる治療介入の意義や効果に関する研究が求められよう。(矢坂正弘

目的 脳卒中発症後の死亡の予測因子については報告されているが,研究の多くはさまざまな治療法を対象としており,脳梗塞にフォーカスしていない。本研究では,MCAの初発脳卒中に対し血栓溶解療法静注をうけた患者において,短期および長期生存率,ならびに死亡の予測因子を検討した。
デザイン 前向き観察研究。
セッティング 単施設,ブラジル。
期間 登録期間は2010年3月~2015年2月。追跡期間中央値23.6ヵ月。
対象患者 169例。MCAの初発脳卒中に対し,血栓溶解療法静注をうけた患者連続例(皮質,皮質下,深部病変を含む)。
【除外基準】同一の入院にてMCA以外に梗塞を有する,緊急動脈内治療施行,データ不完全。
【患者背景】平均年齢は64.1歳。女性50.9%。高血圧66.3%。糖尿病25.4%。脂質異常症23.7%。心房細動24.8%。慢性心不全14.8%。発症-治療時間中央値195分。入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値13。TOAST分類:大血管アテローム硬化20.7%,心原性脳塞栓32%,不確定35.5%,小血管病変7.7%,その他4.1%。
治療法 血栓溶解療法静注。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
試験終了時,53例(31.4%)が死亡した。このうち36例(68%)は脳卒中発症後1年以内,17例(32%)はそれ以降の死亡であった。累積死亡率は,1ヵ月後10.7%,3ヵ月後14.8%,1年後21.2%,3年後35.7%,5年後41.8%。もっとも多い死因は感染症(45.3%),ついで心血管イベント(15.1%),症候性脳内出血(9.4%)であった。
死亡の予測因子は以下の項目であった。
慢性心不全:HR 2.89,95%CI 1.43-5.84, p=0.003。
心房細動:HR 3.88,95%CI 1.30-11.57,p=0.015。
症候性脳内出血:HR 7.83,95%CI 3.43-17.92,p<0.001。
生存率は脳梗塞の病型により異なり,心原性脳塞栓がもっとも不良であった(p=0.001)。

●有害事象

文献: Ducci RD, et al. Factors Related to Cardioembolism as Major Predictors of Poor Survival after First-Ever Middle Cerebral Artery Stroke Treated with Thrombolysis. Cerebrovasc Dis 2017; 43: 178-85. pubmed
関連トライアル Engelter ST et al, Friedrich B et al, Gensicke H et al, ICARO-2, Kellert L et al, Mattle HP et al, Prefasi D et al, Sarikaya H et al, SITS-MOST multivariable analysis, Tsivgoulis G et al, Turc G et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
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