抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
DAPT myocardial infarction risk
結論 12ヵ月後または30ヵ月後のthienopyridine中止は,早期におけるステント血栓症と無関係の心筋梗塞リスク上昇と関連していた。リスクは早期がもっとも大きく,非paclitaxel溶出性ステント(PES)留置例では低かった。DAPTスコア高値は絶対虚血ベネフィットを有する患者を同定したが,12ヵ月後のthienopyridine中止は,同スコアにかかわらず心筋梗塞リスクを上昇させた。
コメント 本解析の結果はすでに公開されている。抗血小板併用療法を12ヵ月以上継続することにより心血管イベントリスクが低減するとされたが,本研究では詳細な解析を行い,抗血小板併用療法による心筋梗塞減少のメリットは12~15ヵ月に限局されることを示唆した。ランダム化比較試験は仮説検証試験であるが,本解析終了後,データベースを詳細に解析することにより,検証された仮説が適合する小集団を見出す方法にも利用し得る。ランダム化比較試験による仮説検証研究により「平均的症例」の「標準治療」を転換することが達成できたのち,「平均的症例」から真にメリットを得る小集団を見出すことは,新薬の価格が高騰する時代では特に重要となる。本解析は近未来のprecision medicineの方法の一例である。(後藤信哉

目的 PCI留置後1年を超えるthienopyridine+aspirin併用はaspirin単独にくらべ,心筋梗塞リスクを低減させるが,出血リスクが上昇する。ただし,thienopyridine 中止後の心筋梗塞リスクの経時的変化については検討されていない。本研究では,thienopyridine 中止が心筋梗塞リスクに及ぼす影響について,無作為割付の3ヵ月以上後(12~15ヵ月)および試験薬中止の3ヵ月後(30~33ヵ月)に評価し,また心筋梗塞のリスク因子を検討した。本解析の評価項目:心筋梗塞の累積発症率。
デザイン DAPT試験は無作為割付,二重盲検試験。NCT00977938。
セッティング DAPT試験は多施設(452施設),11ヵ国。
期間 DAPT試験の登録期間は2009年8月13日~2011年7月1日。
対象患者 11,648例。18歳以上,ステント(DES/BMS)を留置された,DAPTの適応を有する安定狭心症または急性冠症候群患者。
【除外基準】-
【患者背景】対象患者の平均年齢は61.33歳。女性25.1%。BMI 30.4。糖尿病29.2%。高血圧73.4%。喫煙27.4%。心筋梗塞既往21.4%。PCI歴29.0%。CABG歴10.8%。脳卒中/一過性脳虚血発作3.5%。うっ血性心不全4.5%。末梢動脈疾患5.7%。当該手技の適応病態:ACS 30.7%,不安定狭心症15.6%,安定狭心症35.6%,その他18.1%。無作為割付時のthienopyridine:clopidogrel 68.4%,prasugrel 31.6%。平均病変数1.28。
治療法 患者はステント留置後72時間以内に登録し,aspirin+thienopyridine(clopidogrelまたは prasugrel)を12ヵ月投与。12ヵ月後,アドヒアランスが良好で,大出血や虚血イベントのない症例について,以下の2群に無作為割付を行った。
継続群:上記DAPTをさらに18ヵ月継続(DAPT期間は計30ヵ月)。
aspirin単独群:aspirin単独投与(DAPT期間は12ヵ月)。
18ヵ月後,患者をさらに3ヵ月追跡した。全例に対し,全期間aspirinを投与した。
追跡完了率
結果

●評価項目
患者全体における月ごとの心筋梗塞累積発症率は,12~15ヵ月では継続群のほうがプラセボ群より低かったが(0.12% vs. 0.37%,p<0.001),30~33ヵ月では継続群のほうが高かった(0.30% vs. 0.15%,p=0.013)。
非PES留置8,864例では,それぞれ0.13% vs. 0.27%(p=0.02),0.18% vs. 0.17%(p=0.91)。
両期間における心筋梗塞の大部分(12~15ヵ月74%,30~33ヵ月76%)はステント血栓症と関連していなかった。
多変量補正後,thienopyridine継続は12~15ヵ月(HR 0.32,95%CI 0.19-0.52,p<0.001)および30~33ヵ月(HR 1.93,95%CI 1.16-3.19,p=0.011)の両期間において,心筋梗塞の独立予測因子であった。
12~15ヵ月において,DAPTスコア≧2,<2のいずれも,継続群のほうが心筋梗塞リスクが低かった(≧2:0.16% vs. 0.51%,p<0.001,<2:0.08%vs. 0.24%,p=0.012,交互作用p=0.064)。

●有害事象

文献: Stefanescu Schmidt AC, et al.; DAPT Investigators. Myocardial Infarction Risk After Discontinuation of Thienopyridine Therapy in the Randomized DAPT Study (Dual Antiplatelet Therapy). Circulation 2017; 135: 1720-32. pubmed
関連トライアル ARCTIC-Interruption, BASKET-LATE, CHARISMA bleeding complications, DAPT, DAPT BMS or DES, DAPT diabetes mellitus, DAPT late mortality, DAPT myocardial infarction, DECLARE-LONG II, DES LATE, DESを留置された糖尿病/非糖尿病患者におけるDAPT期間の比較, DES留置患者における臨床症状による至適DAPT期間, , DES留置後のDAPTの至適期間, DES留置後のDAPT期間:短期と長期の比較, DES留置後長期DAPTによる死亡率, EXCELLENT, ISAR-SAFE, ITALIC, j-Cypher, OPTIDUAL, OPTIMIZE, PARIS, PRODIGY, PRODIGY type of stent, PRODIGY impact of clinical presentation, PRODIGY in-stent restenosis, REAL-LATE / ZEST-LATE, RESET, RESOLUTE post hoc analysis, SECURITY, SPIRIT III, TL-PAS, TRA 2P-TIMI 50 thienopyridine, TRILOGY ACS elderly patients, TRITON-TIMI 38 PCI, Varenhorst C et al, 心筋梗塞患者におけるDAPT延長による心血管イベント二次予防
関連記事