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ORBIT-AF II Registry off-label dosing
結論 米国の実臨床において,添付文書と異なる非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)用量を投与されている患者は約1/8と少なかった。NOACのアンダードーズおよびオーバードーズは有害イベントリスク上昇と関連していた。
コメント 適切な用量でのNOAC投与が実臨床でもアウトカムがよいことを示した,興味ある論文である。ただし,米国ではダビガトラン110mg 1日2回が承認されておらず,CrCl 30以上では150mg 1日2回,15~30では75mg 1日2回となっているため,RE-LYの結果から同30~50の場合アンダードーズになる割合が高くなると想定される。また,リバーロキサバンについても,日本と米国では用量が異なるため,アンダードーズ,オーバードーズの結果をそのまま日本にあてはめることには慎重であるべきと考える。(是恒之宏

目的 NOACは頻回なモニタリングを必要としないが,腎機能などの臨床基準にもとづいた用量調整を要する。本研究は心房細動患者において,NOAC用量のオフラベル投与の頻度を調査し,また実臨床におけるオフラベル用量と臨床転帰の関連を検討した。評価項目:全死亡,脳卒中/全身性塞栓症,心筋梗塞,原因別の入院(心血管,出血),ISTH出血基準大出血
デザイン 前向き登録研究。
セッティング 多施設(242施設),米国。
期間 登録期間は2013年2月~2016年1月。追跡期間中央値は0.99年。
対象患者 5,738例。新規に心房細動の診断をうけてから6ヵ月以内かつ/または脳卒中発症抑制のための抗凝固療法を開始してから3ヵ月以内の心房細動患者。21歳以上,可逆性(肺塞栓症,急性甲状腺機能亢進症など)でなく,心電図で確認された心房細動で,6ヵ月おきに追跡が可能な症例。
【除外基準】投与症例100例以下の薬剤を投与されている,用量データ入手不能,重度の僧帽弁狭窄または機械弁留置など。
【患者背景】年齢中央値は標準用量群70歳,アンダードーズ群79歳,オーバードーズ群80歳(p<0.0001)。それぞれの女性40.1%,48.2%,67.0%(p<0.0001)。CHA2DS2-VAScスコア0点3.6%,0.9%,1.0%,1点10.8%,2.6%,1.5%,≧2点85.6%,96.5%,97.5%(p<0.0001)。ORBIT出血スコア0~2点76.0%,52.9%,48.7%,3点13.0%,21.9%,19.7%,≧4点11.1%,25.2%,31.6%(p<0.0001)。脳血管イベント既往11.5%,14.6%,15.7%(p=0.02)。消化管出血3.7%,5.9%,4.1%(p=0.04)。平均クレアチニンクリアランス(CrCl,mL/分/1.73m2)93.2,66.7,47.2(p<0.0001)。
治療法 ベースライン時の投与薬はdabigatran 425例(7.4%),rivaroxaban 3,078例(53.6%),apixaban 2,235例(39%)。
追跡完了率
結果

●評価項目
推奨通りの用量が投与されていたのは5,000例(87%)で,541例(9.4%)はアンダードーズ,197例(3.4%)はオーバードーズであった。薬剤別の内訳は,dabigatranでは推奨用量92%,アンダードーズ7.5%,オーバードーズ0.5%,rivaroxabanではそれぞれ87%,8.0%,4.8%,apixabanでは86%,11.8%,2.1%。
dabigatran群では,CrCl 30~50mL/分の患者(推奨用量150mg 1日2回)のうち9/40例(22.5%)がアンダードーズ,rivaroxaban群ではCrCl 15~50mL/分の患者(推奨用量15mg 1日1回)のうち128/375例(34.1%)がアンダードーズ,apixaban群では透析中/<80歳/体重>60kg(推奨用量5mg 1日2回)のうち4/14例(28.6%)がアンダードーズ,透析中/≧80歳/体重≦60kg(推奨用量2.5mg 1日2回)のうち3/8例(37.5%)がオーバードーズであった。
補正後,オーバードーズは推奨用量投与にくらべ,全死亡リスク上昇と関連していた(補正後HR 1.91,95%CI 1.02-3.60,p=0.04)。アンダードーズでは補正後HR 1.25,95%CI 0.89-1.76,p=0.2。
アンダードーズは心血管疾患による入院リスク上昇と関連していた(補正後HR 1.26,95%CI 1.07-1.50,p=0.007)。オーバードーズでは補正後HR 0.73,95%CI 0.53-1.02,p=0.06。

●有害事象

文献: Steinberg BA, et al.; ORBIT-AF Investigators and Patients. Off-Label Dosing of Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants and Adverse Outcomes: The ORBIT-AF II Registry. J Am Coll Cardiol 2016; 68: 2597-604. pubmed
関連トライアル ORBIT-AF, ORBIT-AF bridging
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