抗血栓トライアルデータベース
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EINSTEIN CHOICE
結論 治療の継続が必要な静脈血栓塞栓症(VTE)患者において,rivaroxaban群のイベント再発リスクはaspirin群にくらべ,治療用量(20mg),予防用量(10mg)とも有意に抑制された。出血リスクは上昇しなかった。
コメント ガイドラインに従えば,静脈血栓塞栓症(VTE)に対して長期間にわたり抗凝固療法を継続すべき症例は少なくない。しかし,リバーロキサバンに関しては,心房細動患者に対する使用では減量基準が設けられているのに対し,VTEについては減量基準がない。果たして延長した抗凝固療法において治療用量を,しかも減量基準もなく用いる必要があるのかは疑問が残るところであった。このEINSTEIN-CHOICE試験では,6~12ヵ月間の抗凝固療法施行後,再発予防の観点から治療終了が躊躇される患者を対象として,リバーロキバンの海外での治療用量(20mg/日),予防用量(10mg/日),アスピリン(100mg/日)の3群間でその効果と安全性が比較検討された。長期間にわたる抗凝固療法を考慮する際,リバーロキサバンの適正投薬量については定かでなかったが,本試験の結果からは,予防用量のリバーロキサバンでもアスピリンと比較し,出血性合併症を増加させることなくVTE再発を74%低下させ,治療用量との差がないことが示され,新たな知見が加わることになった。今後は日本人での検証が待たれるところである(山田典一

目的 VTE患者の多くが治療の延長が必要であるものの,治療用量または予防用量の抗凝固療法,もしくはaspirinのいずれがすぐれているかについては不明である。本試験では,6~12ヵ月の抗凝固療法を終了したVTE患者におけるVTE再発予防について,rivaroxabanの2つの用量はaspirinよりすぐれるという仮説を検証した。有効性主要評価項目:症候性致死的/非致死的VTE再発+死因から肺塞栓症(PE)を除外できない原因不明の死亡の複合。安全性主要評価項目:大出血。
デザイン 無作為割付,二重盲検,第III相試験。intention-to-treat解析。NCT02064439。
セッティング 多施設(244施設),31ヵ国。
期間 登録期間は2014年3月~2016年3月。治療期間中央値351日。
対象患者 3,396例。18歳以上,症候性近位部深部静脈血栓症(DVT)またはPEと客観的に診断,6~12ヵ月の抗凝固療法(ビタミンK拮抗薬[VKA]またはdabigatran,rivaroxaban,apixaban,edoxabanなどの直接作用型経口抗凝固薬[DOAC])をうけ,7日以上の治療中断のない患者。
【除外基準】抗凝固療法継続の禁忌または治療用量の抗凝固療法/抗血小板療法の適応を有する,クレアチニンクリアランス<30mL/分,凝固障害に関連する肝疾患。
【患者背景】平均年齢はrivaroxaban 20mg群57.9歳,同10mg群58.8歳,aspirin群58.8歳。各群の男性54.4%,55.0%,56.9%。BMI 30以上35.6%,33.4%,33.2%。当該イベント:DVT 51.0%,50.1%,51.0%,PE 34.4%,33.8%,32.4%,DVT+PE合併14.0%,15.9%,16.0%。当該VTE:誘発因子を有する60.2%,57.4%,58.6%,特発性39.8%,42.6%,41.4%。VTE既往17.9%,17.5%,17.2%。
治療法 診断(DVTまたはPE)および国により層別化後,以下の3群に無作為割付。患者の登録は,DOAC投与例では最終投与から24時間以上経過後,VKA投与例ではPT-INR≦2.5となった後に行った。
R20mg群:1,107例。rivaroxaban 20mg 1日1回投与。
R10mg群:1,127例。rivaroxaban 10mg 1日1回投与。
aspirin群:1,131例。aspirin 100mg 1日1回投与。
追跡完了率 追跡不能はR20mg群3例,R10mg群3例,aspirin群4例。
結果

●評価項目
有効性主要評価項目は,rivaroxabanの両用量群ともaspirin群50例(4.4%)にくらべ抑制された。
R20mg群:17例(1.5%),HR 0.34,95%CI 0.20-0.59,p<0.001。
R10mg群:13例(1.2%),HR 0.26,95%CI 0.14-0.47,p<0.001。
有効性主要評価項目について,R20mg群とR10mg群の有意差は認められなかった(HR 1.34,95%CI 0.65-2.75,p=0.42)。
大出血は,rivaroxabanの両用量群ともaspirin群3例(0.3%)と同程度であった。
R20mg群:6例(0.5%),HR 2.01,95%CI 0.50-8.04,p=0.32。
R10mg群:5例(0.4%),HR 1.64,95%CI 0.39-6.84,p=0.50。
大出血について,R20mg群とR10mg群の有意差は認められなかった(HR 1.23,95%CI 0.37-4.03,p=0.74)。
大出血ではないが臨床的に問題となる出血についても, rivaroxabanの両用量群ともaspirin群20例(1.8%)と同程度であった。
R20mg群:30例(2.7%),HR 1.53,95%CI 0.87-2.69,p=0.14。
R10mg群:22例(2.0%),HR 1.09,95%CI 0.59-2.00,p=0.78。

●有害事象
有害事象は3群で同程度であった。

文献: Weitz JI, et al.; EINSTEIN CHOICE Investigators. Rivaroxaban or Aspirin for Extended Treatment of Venous Thromboembolism. N Engl J Med 2017; 376: 1211-22. pubmed
関連トライアル AMPLIFY-EXT, ASPIRE, ATLAS ACS-TIMI 46 , EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, Hokusai-VTE, MAGELLAN, RECORD1, RECORD2, RECORD3, WARFASA
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