抗血栓トライアルデータベース
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AuriculA INR valiability and iTTR
結論 静脈血栓塞栓症(VTE)患者において,個々の患者におけるTTR(iTTR)低値およびINRの変動が大きいことは,出血合併症または死亡のリスクを上昇させた。これら二つが重なると,出血合併症および死亡のリスクは顕著に上昇した。

目的 良好にコントロールされたwarfarin投与例では,出血性合併症発症率が低いことが明らかになっている。VTE患者において,非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の有効性および有害事象リスクはwarfarinと同様と報告されているが,各NOACの第III相試験でのwarfarin群のTTRは60%前後と低く,合併症発症率に影響をおよぼした可能性がある。本研究では,良好にコントロールされたwarfarin療法をうけているVTE患者において,iTTRおよびINRの変動が出血リスクや死亡におよぼす影響を検討した。
デザイン 登録研究。
セッティング 多施設,スウェーデン。
期間 登録期間は2006年1月1日~2011年12月31日。平均治療期間713日。
対象患者 13,361例。AuriculA(抗凝固療法をうけている患者を適応病態にかかわらず登録)にて同定された,当該期間にwarfarinを投与されたVTE患者。出血性合併症および患者背景は全国患者登録(NPR),死亡については死因登録(CDR)のデータと結合させた。
【除外基準】INRデータなし。
【患者背景】(iTTR別)平均年齢は低iTTR群66.4歳,高iTTR群69.1歳。それぞれの女性51.0%,46.0%。高血圧35.9%,34.2%。心不全13.3%,9.8%。糖尿病12.4%,5.3%。臨床的に問題となる出血既往7.7%,6.5%。心房細動13.4%,13.7%。
(INR別)平均年齢は低INR変動群68.0歳,高INR変動群67.4歳。それぞれの女性46.1%,50.9%。高血圧33.6%,36.9%。心不全11.0%,12.1%。糖尿病10.8%,11.6%。臨床的に問題となる出血既往6.7%,7.5%。心房細動14.4%,12.6%。
治療法 warfarin投与例について,低iTTR群(6,851例。iTTR<70%)または高iTTR群(6,780例。同≧70%),ならびに低INR変動群(6,747例。INR変動<0.85)または高INR変動群(6,884例。同≧0.85)に分け,解析を行った。
追跡完了率
結果

●評価項目
全体における平均iTTRは68.9%,平均INR変動は0.85であった。
全体における臨床的に問題となる出血の発症率は1.79(95%CI 1.66-1.93)%/年で,コントロール不良例で高かった。
低iTTR群:1.27(95%CI 1.14-1.41)%/年,高iTTR群:2.91(95%CI 2.61-3.21)%/年。
低INR変動群:1.20(95%CI 1.05-1.34)%/年,高INR変動群:2.61(95%CI 2.36-2.86)%/年。
全体における死亡率は1.71(95%CI 1.58-1.84)%/年で,コントロール不良例で高かった。低iTTR群:1.04(95%CI 0.91-1.17)%/年,高iTTR群:2.83(95%CI 2.55-3.10)%/年。
低INR変動群:1.07(95%CI 0.94-1.21)%/年,高INR変動群:2.57(95%CI 2.33-2.82)%/年。
iTTR第4四分位群(≦57%)は第1四分位群(同>84%)にくらべ,出血(HR 4.03,95%CI 3.20-5.08)および死亡(HR 5.54,95%CI 4.36-7.04)リスクが高かった。
INRの変動第4四分位群(>1.05)は第1四分位群(≦0.66)にくらべ,出血(HR 3.80,95%CI 3.01-4.79)および死亡(HR 3.45,95%CI 2.75-4.33)リスクが高かった。
iTTRが低くかつINRの変動が大きい症例は,iTTRが高くかつINRの変動が小さい患者にくらべ,臨床的に問題となる出血(HR 3.47,95%CI 2.89-4.17)および死亡(HR 3.67,95%CI 3.02-4.47)リスクが高かった。

●有害事象

文献: Sandén P, et al. Bleeding complications and mortality in warfarin-treated VTE patients, dependence of INR variability and iTTR. Thromb Haemost 2017; 117: 27-32. pubmed
関連トライアル CATCH, Grzymala-Lubanski B et al, Sanden P et al
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