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Yonetsu T et al Association Between Prior Aspirin Use and Morphological Features of Culprit Lesions at First Presentation of Acute Coronary Syndrome Assessed by Optical Coherence Tomography
結論 急性冠症候群(ACS)患者における責任病変の形態学的な特徴について,光干渉断層画像診断法(OCT)を用いて検討した結果,aspirinを前投与されていた患者は,腔内血栓が少なかったにもかかわらず,非ST上昇型ACS(NSTE-ACS)を呈している可能性が高いようであった。しかし,基礎にあるプラークの特徴や臨床経過には差異はなかった。
コメント アスピリンの効果は,坑血栓作用にもとづく急性血栓性閉塞性疾患の予防であって,抗炎症作用にもとづく動脈硬化進展予防ではない,と信じられてきたが,その考え方に矛盾しない成績である。アスピリンは,急性冠症候群の発症を抑止するが,労作性安定狭心症は予防しない。本研究でのアスピリン服用者は,非服用者に対してハイリスクであることが推定される。それでも閉塞性血栓(ST上昇型MI)を起こしにくい成績であった。OCTによる冠血管の観察結果も,アスピリンは血栓(白色および赤色)を抑制したが,プラークの性状を変えなかった。臨床イベントの判定はOCT判定の盲検下で行ったと記載されているが,OCTの判定も第3者の医師が独立して行うべきであろう。(島田和幸

目的 ACS患者において,aspirinの冠動脈血栓に対する保護的作用は証明されているものの,NSTE-ACS症状発現前のaspirin投与については,続発性有害イベントリスクが高いことを示唆する報告がある。aspirin前投与が転帰悪化の独立因子であるかどうかについては,議論が分かれている。OCTは,冠動脈プラークや冠動脈内血栓を,病理診断に近いほど明瞭に評価できる画像診断法である。本研究ではOCTを用い,ACSの責任病変の形態学的差異について,aspirin前投与(ACSの症状発現の前週に定期的な服用がある)の有無により検討を行った。評価項目:30日後の主要有害心事象(MACE;心臓死,標的血管血行再建術,新規の心筋梗塞),PCI施行後の合併症(心臓性ショック,持続する心室性不整脈,うっ血性心不全),BARC出血基準タイプ3または5の出血
デザイン 後ろ向き観察研究。
セッティング 単施設,日本。
期間 当該PCI施行期間は2008年10月~2015年12月。
対象患者 442例(責任病変442病変)。初発のACS患者で,PCI施行時にde novo責任病変に対しOCTが行われた症例。
【除外基準】心臓性ショック,うっ血性心不全,重篤な左主幹部疾患,血栓除去術施行後の転帰が次善であった症例(TIMI血流分類0~2)。
【患者背景】平均年齢はaspirin群69.8歳,非投与群64.6歳(p=0.001)。各群の男性83.6%,79.7%。脂質異常症58.2%,44.3%(p=0.046)。高血圧80.6%,60.0%(p=0.001)。臨床症状(p<0.001):STEMI 20.9%,46.4%,NSTEMI 55.2%,40.8%,不安定狭心症23.9%,12.8%。クレアチニン0.84mg/dL,0.77mg/dL(p=0.031)。
治療法 aspirin前投与の有無により,以下の2群に分けて解析した。
aspirin前投与群:67例。1日当たりの用量は81mg 11例, 100mg 37例, 162mg 1例,200mg 18例。
非投与群:375例。
追跡完了率
結果

●評価項目
最小内腔径,径狭窄率など血管造影データには,両群で有意差を認めなかった。
OCTの定義による血栓(責任病変内の赤色,白色,または両方の血栓)はaspirin群で有意に少なかった(患者全体:37.3% vs. 75.2%,p<0.001)。傾向スコアマッチングコホート(各群49例)でも,同様の結果であった(38.8% vs. 75.5%,p<0.001)。プラークの形態学的特徴(線維性粥腫,石灰化プラーク,薄被膜線維性粥腫の有無など)についても,両群間に差異はなかった。
30日後の臨床イベントはaspirin群19例(28.4%)に認められ,非投与群67例(17.8%)にくらべ多かった(p=0.046)。この差はおもにうっ血性心不全によるものであった(25.4% vs. 14.4%,p=0.024)。傾向マッチングコホートでは同程度であった(24.5% vs. 32.7%,p=0.374)。
出血は,患者全体ではaspirin群4例(6.0%),非投与群25例(6.7%)(p=1.000)で同程度であった。マッチングコホート(8.2% vs. 10.2%,p=1.000)においても同様であった。なお,非投与群で致死的消化管出血が1例認められた。

●有害事象

文献: Yonetsu T, et al. Association Between Prior Aspirin Use and Morphological Features of Culprit Lesions at First Presentation of Acute Coronary Syndrome Assessed by Optical Coherence Tomography. Circ J 2017; 81: 511-9. pubmed
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