抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
Ichibori Y et al Clinical Outcomes and Bioprosthetic Valve Function After Transcatheter Aortic Valve Implantation Under Dual Antiplatelet Therapy vs. Aspirin Alone
結論 経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)施行後のaspirin単独投与は,抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)にくらべ,安全性ベネフィットは大きく,弁機能は同程度であった。これらの結果より,TAVI施行例に対するaspirin単独投与は容認できるレジメンであることが示唆された。

目的 TAVI施行後,一般的にDAPTが投与されるが,それを支持するエビデンスは乏しい。DAPTは虚血イベントを抑制し,弁機能に好ましい影響をおよぼすが,aspirin単独にくらべ出血リスクを上昇させる可能性がある。本研究では,aspirin単独はDAPTよりすぐれているか検討するため,TAVI施行後DAPTを投与された患者とaspirin単独投与患者を比較した。主要評価項目:全死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,大出血または生命にかかわる出血の複合。
デザイン 後ろ向き登録研究。
セッティング 単施設,日本。
期間 TAVI施行期間は2009年10月~2015年1月。追跡期間は12ヵ月。
対象患者 144例。当該期間にバルーン拡張型デバイスを用いたTAVIを施行された,重篤なnative大動脈弁狭窄症患者連続例。
【除外基準】TAVI施行前に経口抗凝固療法の適応病態を有していた患者。
【患者背景】平均年齢はDAPT群84.6歳,aspirin群83.6歳。それぞれの女性63.6%,64.1%。NYHA class III/IV 66.7%,47.4%(p=0.028)。冠動脈疾患53.0%,37.2%。冠動脈インターベンション施行歴37.9%,14.1%(p=0.0018)。冠動脈バイパス術施行歴15.2%,12.8%。脳卒中既往19.7%,28.2%。大動脈弁口面積0.62cm2,0.70cm2p=0.0072)。経心尖アプローチ43.9%,53.9%。デバイス成功率93.9%,97.4%。
治療法 以下の通りに患者を分類し,解析した。
DAPT群:66例。2009年10月~2012年9月,生涯にわたるaspirin 100mg/日+6ヵ月間のthienopyridine(ticlopidine 200mg /日またはclopidogrel 75mg/回)を投与された患者(43例),ならびに2012年9月以降,冠動脈ステント留置などのために手技前にDAPT(aspirin+ticlopidine 200mg /日またはclopidogrel 75mg/回)の適応を有していた患者(23例)。
aspirin群:78例。2012年10月~2015年1月にaspirin単独を投与された患者。
両群とも,周術期の抗血小板療法は負荷用量投与をせずに開始または継続した。
追跡完了率
結果

●評価項目
1年後の主要評価項目発症率はaspirin群15.4%と,DAPT群30.3%にくらべ低かった(p=0.031)。
大出血または生命に関わる出血発症率はaspirin群7.7%と,DAPT群21.2%にくらべ低かった(p=0.021)。
傾向スコアマッチングコホート(各群44例)では,主要評価項目発症率はaspirin群15.9%,DAPT群29.6%,(p=0.13),出血性合併症はそれぞれ4.6%,18.2%とaspirin群で低い傾向がみられた(p=0.058)。
心エコーによる評価では,弁機能は両群間で同様であった(弁口面積:aspirin群1.91±0.46 cm2 vs. DAPT群1.78±0.43cm2p=0.13,弁圧較差:10.3±4.1 mmHg vs. 11.1±3.5 mmHg,p=0.31)。
DAPTは主要評価項目発症の独立予測因子であった(補正後HR 2.36,95%CI 1.08-5.35,p=0.031)。

●有害事象

文献: Ichibori Y, et al. Clinical Outcomes and Bioprosthetic Valve Function After Transcatheter Aortic Valve Implantation Under Dual Antiplatelet Therapy vs. Aspirin Alone. Circ J 2017; 81: 397-404. pubmed
関連トライアル TAVI施行後の抗血小板療法
関連記事