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EINSTEIN DVT post-thrombotic syndrome
結論 急性深部静脈血栓症(DVT)治療において,rivaroxabanはenoxaparin/VKAにくらべ,数値的には血栓後症候群(PTS)を低減したが,統計学的有意差は認められなかった。
コメント 過去の研究において,中枢型DVTに対する急性期治療後の血栓消失が慢性期の血栓後症候群(PTS)の発生頻度を抑制することが示されている。J-EINSTEIN試験において,リバーロキサバンが従来治療に比較し血栓退縮効果が高い可能性が示されたことより,その効果がPTS抑制につながるかどうかはたいへん興味深い点である。今回の検討では,リバーロキサバン群でPTS発生頻度が低率であったものの,症例数が限られていることもあり,統計学的有意差は示されなかった。今後,さらに症例数を増やしての検証が重要と考えられる。(山田典一

目的 PTSはDVT後20~50%の患者に発症するとされ,QOLに重大な影響を及ぼす。DVT治療には通常,未分画heparinまたは低分子量heparin投与後ビタミンK拮抗薬(VKA)を用いるが,INRコントロールのクオリティが低いことはPTSのリスク因子となる。rivaroxabanはVKAより薬理学的プロファイルが安定していることから,VKAにくらべPTSリスクを低下させるかを検討した。主要評価項目:PTS累積発症率。
デザイン EINSTEIN DVTは無作為割付,オープン,非劣性試験。
セッティング 多施設(25施設)。
期間 追跡期間は57ヵ月(rivaroxaban群58ヵ月,enoxaparin/VKA群57ヵ月)。
対象患者 336例。EINSTEIN DVT登録患者(急性症候性DVT)3,449例のうち,試験終了後PTSに関するデータ回収に協力した施設の患者。
【患者背景】平均年齢はrivaroxaban群57歳,enoxaparin/VKA群58歳。男性は各群56%,61%。静脈血栓塞栓症(VTE)既往19%,21%。DVTの原因:特発性62%,66%,誘発因子を有する38%,35%。対象DVTの部位:大腿静脈かそれより近位57%,67%,膝窩静脈かそれより遠位43%,33%。経口抗凝固薬療法期間の中央値6ヵ月,12ヵ月。コンプライアンス≧80%の割合94%,97%。enoxaparin/VKA群におけるINR 2~3の割合65%。
治療法 EINSTEIN DVTはrivaroxaban群(15mg 1日2回を3週間投与後,20mg 1日1回),enoxaparin/VKA群(皮下enoxaparin皮下注後warfarin またはacenocoumarolを目標INR 2~3として投与)に無作為割付。本解析対象はrivaroxaban群162例,enoxaparin/VKA群174例。
本解析はEINSTEIN DVTの事後解析として,Kaplan-Meier生存解析を行い両群のPTS累積発症率を比較。Cox比例ハザードモデルを用いて,ハザード比(HR)と95%CIを算出。
PTSは,5項目の患者評価症状(倦怠感,疼痛,けいれん,そう痒,しびれ)と6項目の医師評価症状(脛骨前浮腫,皮膚硬結,色素沈着,静脈拡張,発赤,ふくらはぎ圧迫時の疼痛)からなるVillaltaスコアを用い,訓練された医師または看護師が評価。
追跡完了率
結果

●評価項目
60ヵ月後のPTS累積発症率は,rivaroxaban群29%,enoxaparin/VKA群40%(未調整HR 0.71,95%CI 0.48-1.03,p=0.07)。年齢,性別,BMI,VTE既往,同側DVT再発,DVTの範囲,特発性DVT,抗凝固療法の期間,試験薬のコンプライアンス,弾性ストッキング使用,活動性悪性腫瘍を調整後,rivaroxaban群におけるPTS発症のHRは0.76(95% CI 0.51-1.13,p=0.18)。
重度PTS発症は,rivaroxaban群5例(11%),enoxaparin/VKA群6例(9%)。
症候性VTE再発はrivaroxaban群34例(21%),enoxaparin/VKA群29例(17%)。
死亡はrivaroxaban群10例(6%),enoxaparin/VKA群16例(9%)。

●有害事象

文献: Cheung YW, et al.; Einstein PTS Investigators Group. Post-thrombotic syndrome in patients treated with rivaroxaban or enoxaparin/vitamin K antagonists for acute deep-vein thrombosis. A post-hoc analysis. Thromb Haemost 2016; 116: 733-8. pubmed
関連トライアル González-Fajardo JA et al
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