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EPICOR Long-term Follow-up of Antithrombotic Management Patterns in Acute Coronary Syndrome Patients
結論 ガイドラインの推奨にもかかわらず,欧州とラテンアメリカにおける急性冠症候群(ACS)患者の多くは,12ヵ月を超えて抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)を継続していた。DAPT継続期間のもっとも重要な決定因子は国であった。DAPTから抗血小板薬単剤療法(SAPT)へ切り替えた後,短期心血管リスクの上昇がみられた。冠動脈イベントや死亡リスクに対する長期の影響は認められなかった。
コメント ヨーロッパ,ラテンアメリカの20ヵ国にわたる1万人以上のACS患者の抗血小板療法についての,退院後2年間の観察研究である。6割の患者が,後にガイドラインで推奨された12ヵ月間を超えてDAPT(抗血小板薬2剤療法)を継続していた。しかも,DAPT継続率が患者の臨床的プロファイルよりも住んでいる国(の文化や経済・医療状況?)によって大きく異なるという結論である。本研究の対象患者の2/3しかPCIを施行していない。さらに,平均年齢が60歳代前半で,2年間の死亡率が5.7%,心血管イベント発生率9.8%ときわめて高い。PCIの様式(ステントの有無,種類)についての情報は欠如している。したがって,わが国での薬剤溶出性ステントを用いたPCIの施行後,いわゆる確認カテーテルを施行して12ヵ月未満でDAPTからSAPT(抗血小板薬単剤療法)への切り替えという平均的実態とは,相当かけ離れている可能性がある。(島田和幸

目的 欧米のACS管理ガイドラインでは,大部分の患者に対し12ヵ月までのDAPTを推奨している。しかし,実臨床におけるDAPT期間に関する情報は不足している。本研究では,ACS後のDAPT期間を調査し,その決定因子ならびに臨床イベントとの関連を検討した。
デザイン 前向きコホート研究。NCT01171404。
セッティング 多施設(555施設),20ヵ国(欧州,ラテンアメリカ)。
期間 登録期間は2010年9月~2011年3月。追跡期間は退院後2年(3ヵ月ごとに電話で確認)。
対象患者 10,069例。18歳以上,当該イベント発症後24時間以内に入院し,最終診断がST上昇型心筋梗塞(STEMI)または非ST上昇型ACS(NSTE-ACS)であった患者連続例。
【除外基準】続発性ACS(手術,外傷,消化管出血,PCIに起因するもの,またはそれらの合併症として発症)など。
【患者背景】平均年齢*はDAPT群61歳,SAPT群64歳,抗凝固薬群67歳。それぞれの女性*81.5%,11.9%,6.5%。地域*:北欧85.3%,8.0%,6.7%,南欧89.4%,6.2%,4.4%,東欧85.3%,9.8%,4.9%,ラテンアメリカ82.7%,12.7%,4.6%。ACSの病型*:STEMI 90.9%,4.5%,4.6%,NSTE-ACS 81.0%,13.0%,6.0%。治療ストラテジー*:PCI単独94.4%,1.7%,3.9%,CABG 19.4%,69.4%,11.2%,薬物療法単独72.9%,19.2%,7.9%。*p<0.0001
治療法 退院時に行われていた抗血栓療法により,以下の3群に分けた。なお,40例には何の抗血栓薬も投与されていなかった。
DAPT群:8,593例。DAPT(aspirin+clopidogrel,prasugrel,ticlopidine)併用投与。
SAPT群:899例。抗血小板薬単剤投与。
抗凝固薬群:537例。warfarinまたはdabigatranを投与(抗血小板薬投与状況は問わない)。
追跡完了率 DAPT群の追跡完了率は100%。
結果

●評価項目
退院時にDAPTを投与されていた8,593例のうち,追跡終了時に継続していたのは4,859例(56.5%)であった。年齢,性別,リスク因子,治療ストラテジー,地域によるDAPT施行率の差はわずかであったが,国別では大きな差異がみられた。
試験終了までに559例(5.7%)が死亡し,心血管イベントは978例(9.8%),1,173件に発症した。このうち冠動脈イベントは653例,MIは252例。
追跡期間中の臨床的に問題となる出血は168例(1.7%)に発症した。このうち,致死的出血は14例であった(対象患者全体の0.1%)。
イベントおよび死亡の85%はDAPT継続中に発生した。
DAPTからSAPTへ変更は,変更後7日以内の心血管イベントリスク上昇と関連していた(HR 2.29,95%CI 1.08-4.84)。初発冠イベント発症や死亡までの時間とは関連していなかった。

●有害事象

文献: Bueno H, et al. International patterns of dual antiplatelet therapy duration after acute coronary syndromes. Heart 2017; 103: 132-8. pubmed
関連トライアル APPRAISE-2 characterising and predicting bleeding, ARCTIC-Interruption, DAPT BMS or DES, DES留置後のDAPTの至適期間, DES留置後のDAPT期間:短期と長期の比較, DES留置後長期DAPTによる死亡率, ITALIC, OPTIMIZE, PARIS, PRODIGY impact of clinical presentation, PRODIGY in-stent restenosis, RESET, RESOLUTE post hoc analysis, Varenhorst C et al, 心筋梗塞患者におけるDAPT延長による心血管イベント二次予防, 複雑PCI施行後のDAPTの有効性および安全性
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