抗血栓トライアルデータベース
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Deguchi I et al
結論 本研究より,日本の神経内科医は軽症虚血性脳卒中患者ではより早い時期に経口抗凝固薬(OAC)の投与を開始することが明らかになった。重症脳卒中であっても,OACの投与開始は予想より早かった。
コメント 欧州不整脈学会提唱の脳梗塞再発予防のための抗凝固療法の開始日についてのルールを,わが国の単一施設症例を用いて,神経学的重症度別,抗凝固薬の種類別に検討し,比較した点で興味深い。後ろ向きで症例数も少ないが,DOACの早期開始と安全性を示す結果である。(岡田靖

目的 非弁膜性心房細動(NVAF)患者における心原性脳塞栓症発症後早期の再発率は高く,可能な限り早くOACを開始または再開すべきとされている。本研究では,出血性脳卒中発症リスクの低い比較的軽度の虚血性脳卒中患者に対しては,欧州不整脈学会(EHRA)の推奨より早くOACが投与されているという仮説をもとに,虚血性脳卒中発症後のOAC投与時期を評価した。
デザイン 登録研究の後ろ向き解析。
セッティング 単施設,日本。
期間 試験期間は2012年4月~2016年3月。
対象患者 300例。虚血性脳卒中発症から24時間以内に入院したNVAF患者で,その後OACを投与された症例。
【除外基準】入院前に要介護状態の患者。
【患者背景】平均年齢はwarfarin群79.7歳,DOAC群74.8歳*。それぞれの女性57.9%,36.9%*。平均体重52.5kg,58.6kg*。クレアチニンクリアランス47.5mL/分,66.1mL/分*CHADS2スコア中央値2,2(p=0.001)。CHA2DS2-VAScスコア中央値4,3*。入院時の抗血栓療法:抗血小板薬15.8%,17.2%,抗凝固薬38.6%,27.4%。入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)9.5,4*。再開通療法12.3%,20.4%。OAC投与前のheparin静注23.7%,7.5%*。入院期間中央値37日,18.5日**p<0.001
治療法 担当医の判断によりwarfarinは114例,DOACは186例(dabigatran 24例,rivaroxaban 108例,apixaban 45例,edoxaban 9例)に投与されていた。DOAC投与例のうち減量投与は82例(44.1%)。
追跡完了率
結果

●評価項目
OAC開始時期は,DOAC群(中央値3日,IQR 1~7)のほうがwarfarin群(7日,2~12.75)より早かった(p<0.001)。
プロペンシティスコアマッチングにもとづいて両群各50例を比較したところ,開始時期中央値はDOAC群(5日,2~11.75),warfarin群(6日,2~12)で同様であった(p=0.539)。
DOACの薬剤別におけるNIHSS中央値およびOAC開始時期中央値は,dabigatran群では2および1.5日,rivaroxaban群では4および4日,apixaban群では6および4日,edoxaban群では7および4日。
全体における脳卒中重症度別の開始時期中央値は,軽症(NIHSS<8)では2日(IQR 1~6),中等度(同8~16)では7日(3~12.25),重度(同>16)では11日(8~15)であった。DOAC群では,軽症では3日(1~6),中等度では4日(2~9.5),重度では9日(6~13)。
DOAC群では抗凝固薬中止に至る出血イベントは発症しなかったが,warfarin群では出血イベントが3例(消化管出血1例+出血性梗塞2例)発症した。

●有害事象

文献: Deguchi I, et al. Timing of Treatment Initiation With Oral Anticoagulants for Acute Ischemic Stroke in Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation. Circ J 2017; 81: 180-4. pubmed
関連トライアル da Vinci, ENGAGE AF-TIMI 48 cerebrovascular events, Graham DJ et al, Hylek EM et al, JNAF-ESP, Kim TH et al, Kuramatsu JB et al, NOACISP LONG-TERM Registry, NOACのwarfarinに比較しての死亡率抑制効果, Nomura E et al, Ontario Stroke Registry, RAF, ROCKET AF temporary interruption, SAFE II substudy, SPORTIF II , SPORTIF V, Suzuki S et al, warfarin投与中のAF患者における脳卒中/全身性塞栓症リスク, 心房細動患者に対する脳卒中予防療法における年齢効果
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