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NOACISP LONG-TERM Registry Novel Oral Anticoagulants in Ischemic Stroke Patients
結論 イベント発症後早期に直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の投与を開始しても,頭蓋内出血リスクは低いようであった。抗凝固療法をうけている全例において,脳梗塞再発率は頭蓋内出血発症率の6倍高かった。
コメント DOACを脳梗塞発症7日以内の早期に開始しても,7日以降に開始しても脳梗塞再発率に差異はなく,神経症候悪化を伴う頭蓋内出血のリスクは両者ともに低かった。早期に開始した群でNIHSSが有意に低かったことから,脳梗塞軽症例では早期のDOAC開始が安全であることを示していると考えられる。(矢坂正弘

目的 脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)発症後の至適抗凝固薬開始時期については,明確になっていない。実臨床では発症当日からDOACを投与されることもあるが,その頻度や,投与開始が頭蓋内出血や脳梗塞再発リスクにおよぼす影響については不明である。本研究では,二次予防のためのDOAC投与開始時期,頭蓋内出血発現率,虚血イベント再発率について検討を行った。安全性評価項目:症候性頭蓋内出血の年間発症率。有効性評価項目:虚血イベント(脳梗塞/TIA)の年間発症率。
デザイン 前向きコホート研究。
セッティング 単施設,スイス。
期間 NOACISP LONG-TERM Registryの予定追跡期間は24ヵ月。本解析の追跡期間は最低3ヵ月,78.25患者・年。
対象患者 204例。18歳以上,2013年4月~2015年9月に脳梗塞またはTIAのため入院,事前にまたは院内にて非弁膜症性心房細動(NVAF)と診断,DOACまたはVKAをすでに投与されていたか,当該イベント後6ヵ月以内に開始/再開した症例。
【除外基準】機械弁,当該イベントから6ヵ月以上経過後に抗凝固療法を開始。
【DOAC開始時期別の患者背景】年齢中央値は早期開始群79歳,後期開始群81歳。それぞれの女性43%,45%。当該イベント:脳梗塞88%,93%,TIA 12%,7%。病歴:高血圧73%,84%,脳卒中既往21%,11%,糖尿病26%,20%,腎不全42%,36%,CHA2DS2-VAScスコア中央値5,6。HAS-BLED出血リスクスコア中央値2,3。NVAFの診断:新規または入院後48%,60%,入院前52%,40%。入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値3,7(p<0.001)。血栓溶解療法:実施せず78%,71%,静注18%,25%,動注(ブリッジング含む)4%,4%。脳卒中の病型(TOAST分類):心原性89%,91%,大血管疾患0%,4%,小血管疾患1%,0%,複数の原因10%,5%。
治療法 経口抗凝固薬の選択は担当医の判断ならびに患者の意向にもとづいて行われ,当該イベント発症から5日(中央値)経過後,155例(76%)がDOACを,49例(24%)がVKAを開始した。DOAC開始例のうち,100例(65%)は早期(イベント発症後7日以内),55例(35%)は後期(イベント発症から7日以上経過後)に開始された。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
頭蓋内出血はVKA群に1例(1.3%/年)認めた。この患者は脳梗塞のため入院した症例で,VKAを一時中止し,4日後に再開したところ,その翌日に脳梗塞部位の症候性出血性変化を認めた。
脳梗塞は6例(7.7%/年)発症した。DOAC早期開始群,後期開始群について,脳梗塞再発には有意差を認めなかった(5.1%/年,9.3%/年,p = 0.53)。VKA群の発症率は11.3%/年であった。
3~6ヵ月後の後遺障害なし(mRS 0)はDOAC早期開始群のほうが後期開始群より多かった(38% vs. 13%,p=0.002)。VKA群は16%であった。

●有害事象

文献: Seiffge DJ, et al. Early start of DOAC after ischemic stroke: Risk of intracranial hemorrhage and recurrent events. Neurology 2016; 87: 1856-62. pubmed
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