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ANNEXA-4 interim report Andexanet Alfa, a Novel Antidote to the Anticoagulation Effects of FXA Inhibitors Study
結論 第Xa因子阻害薬に伴う急性大出血発現患者において,andexanet alfa(以下,andexanet)ボーラス投与および2時間注入は抗第Xa因子活性を大きく低下させ,重篤な副作用は認めず,12時間後に79%で有効的な止血が得られた。
コメント トロンビンは液相のフィブリン産生と直結すると想定されるが,血液凝固第X因子のおもな役割は,血小板などの細胞膜上におけるプロトロンビンナーゼ複合体の形成と理解される。抗Xa薬も液相のみならず,細胞膜上のXaにも結合していると想定されるので,抗Xa薬の薬効の中和には細胞膜上のXaに結合した抗Xa薬の吸い出しも必要となる。囮(デコイ)療法は論理的である。
 抗Xa薬は当初想定されたよりも広い範囲で使用されている。抗凝固薬であるので,重篤な出血イベントは避けがたい。救急外来を受診して即座に止血するために中和薬はあった方がよいように思えるが,中和薬による血栓イベントも心配である。期待が大きな薬剤として抗Xa薬の囮は注目され,本研究は小規模の試験であるがNEJMに掲載された。止血,血栓イベント発症におけるXaの役割が明確でない。抗Xa薬の囮を使うと血漿のXa活性は大分戻った。15%が死亡し,15%が臨床的血栓イベントを起こした。ダビガトランの抗体と同様に,中和薬による臨床検査値の変化と臨床イベントの関連を明らかにできるほどのパワーはない。
 臨床イベントとして,死亡を1例でも回避できるのであれば,このような薬剤には意味がある。1例でも回避できたと主張できる臨床データを作るのが難しい。(後藤信哉

目的 遺伝子組み換え型ヒト第Xa因子デコイandexanetは,健常人において第Xa因子阻害薬の作用を中和することが示されている。本試験では,生命にかかわる急性大出血患者において,andexanet の使用を評価した。本論文は2016年6月17日時点での完遂例についての中間報告である。主要評価項目:12時間後の抗第Xa因子活性の変化率,優良/良好な止血有効率。
デザイン ANNEXA-4は前向き,オープン,単群試験。NCT02329327。
セッティング 多施設(22施設),3ヵ国(米国,英国,カナダ)。
期間 試験開始は2015年4月10日。試験期間は30日。
対象患者 67例(安全性解析対象)。≧18歳,第Xa因子阻害薬(apixaban,rivaroxaban,edoxaban,enoxaparin)のいずれかを服用してから18時間以内に急性大出血が発現した患者。急性大出血の定義は,血行動態悪化の兆候/症状をともなう生命にかかわると考えられる急性顕性出血,ヘモグロビン低下≧2g/dLまたはベースラインのヘモグロビン値が不明の場合はヘモグロビン値≦8g/dLをともなう急性顕性出血,重要部位/臓器における急性症候性出血。有効性解析対象は47例(ベースラインの抗第Xa因子活性≧75ng/mL(enoxaparin投与患者では≧0.5IU/mL)かつ急性大出血エピソードが試験基準に合致すると判断された症例(rivaroxaban 26例,apixaban20例,enoxaparin 1例)。
【除外基準】来院後12時間以内に手術の予定(最小侵襲手術/手技を除く),グラスゴー昏睡尺度スコア<7または推定脳内血腫体積>60mLの患者における頭蓋内出血,推定生存期間<1ヵ月,主要な血栓症イベントの発生から2週間以内,ビタミンK拮抗薬・dabigatran/プロトロンビン複合体濃縮製剤/全血/血漿投与から7日以内。
【安全性解析集団の患者背景】平均年齢は77.1歳,男性52%,抗凝固療法の適応症:心房細動70%,静脈血栓塞栓症22%,心房細動+静脈血栓塞栓症7%。第Xa因子阻害薬:rivaroxaban 32例,apixaban 31例,enoxaparin 4例。
治療法 15~30分間のandexanet ボーラス投与後,2時間注入。apixaban,rivaroxabanの服用後7時間を超えている場合は,ボーラス用量400mg,注入用量480mg。enoxaparin,edoxaban,rivaroxabanの服用後7時間以内の場合または服用時間不明の場合は,ボーラス用量800mg,注入用量960mg。
andexanetボーラス投与(ベースライン)の3時間前および15分前,ボーラス投与終了時(開始後15~30分),2時間の注入終了時,注入終了後4,8,12時間,3日後,30日後に評価。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
原発出血部位は,消化管33例(49%),頭蓋内28例(42%),その他6例(9%)。救急治療室受診からandexanet ボーラス投与開始までの平均経過時間は4.8±1.9時間。
有効性解析集団において,andexanetボーラス投与後の抗第Xa因子活性の相対的低下率は,rivaroxaban投与患者で89%(95%CI 58-94),apixaban投与患者で93%(95%CI 87-94),2時間注入後の相対的低下率はそれぞれ86%(95%CI 55-93),92%(95%CI 85-94),注入終了4時間後の相対的低下率はそれぞれ39%(95%CI 27-45),30%(95%CI 23-46)であった。8時間後,12時間後も同等レベルが維持された。
andexanet注入12時間後の臨床的な止血状態が優良/良好と評価されたのは37例(79%,95%CI 64-89)であった(優良31例,良好6例)。
血栓症イベントは12例(18%)に発症,うち4例はandexanet投与後3日以内の発症であった。死亡は10例(15%),うち心血管死は6例。

●有害事象
安全性解析集団において,注入反応,第Xa因子/第X因子抗体,andexanet中和抗体の出現は認めなかった。

文献: Connolly SJ, et al.; ANNEXA-4 Investigators. Andexanet Alfa for Acute Major Bleeding Associated with Factor Xa Inhibitors. N Engl J Med 2016; 375: 1131-41. pubmed
関連トライアル ADOPT, ADVANCE, ADVANCE-2, ADVANCE-3 , AMPLIFY, AMPLIFY cancer patients, AMPLIFY-J, APEX, APPRAISE, APPRAISE-2, APPRAISE-2 characterising and predicting bleeding, APROPOS, ARISTOTLE, ARISTOTLE according to age, ARISTOTLE major bleeding, ARISTOTLE outcome of major bleeding, ATLAS ACS 2-TIMI 51, AVERROES, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, EINSTEIN PE and DVT major bleeding, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, ENGAGE AF-TIMI 48 dose and outcomes, ENSURE-AF, MAGELLAN, ODIXa-OD-HIP, RECORD3
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