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Grzymala-Lubanski B et al
結論 機械弁留置後,TTR高値ならびにINRの変動が小さいことを尺度とした良好なwarfarinコントロールは,転帰を改善した。治療強度が高いこと(平均INR 2.8~3.2)は低いこと(2.2~2.7)にくらべ,ベネフィットを認めなかった。

目的 機械弁留置患者では生涯にわたる抗凝固療法が必要となるが,現行の欧米におけるガイドラインはおもに観察データや専門家の意見にもとづくものであり,抗凝固療法の至適レベルに関する合意はない。本研究では,スウェーデンにおける4つの全国規模の患者登録データ(Auricula,SWENEHEART/Swedish Heart Surgery Registry,患者登録,死因登録)を統合し,機械弁留置後,TTRおよびINRの変動が血栓塞栓イベント,大出血,死亡におよぼす影響を検討した。また,大動脈弁および僧帽弁の機械弁留置患者において,異なるINRレベルのリスク・ベネフィットについても検討した。
デザイン 後ろ向きコホート研究。
セッティング 多施設,スウェーデン。
期間 登録期間は2006年1月~2011年12月。追跡期間18,022/患者・年。
対象患者 4,687例。Auriculaにて当該期間に同定された大動脈機械弁留置患者(3,656例),僧帽機械弁留置患者(842例),両者合併患者(189例)。
【除外基準】三尖弁機械弁留置,TTRに関するデータ欠損。
【warfarinの適応別の患者背景】平均年齢は大動脈弁機械弁例62.91歳,僧帽弁または両者合併例64.51歳。それぞれの女性28.0%,40.7%。平均INR 2.63,2.73。平均TTR 74.2%,66.7%。標的INR 2.5:70.8%,48.1%,同3.0:4.3%,23.5%。高血圧29.4%,27.1%。心房細動28.1%,56.6%。心不全21.9%,44.5%。大出血既往6.2%,8.4%。
治療法 warfarin投与。
追跡完了率
結果

●評価項目
全血栓イベントは2.41/患者・年,大出血は3.15/患者・年(うち頭蓋内出血0.47/患者・年),死亡は2.42/患者・年。
warfarin投与において,INRの変動が大きいこと(≧0.4001)およびTTR低値(≦70%)は,出血リスク上昇と関連していた。
INR≧0.4001:4.33%/年(95%CI 3.87-4.82)vs. INR≦0.4000:2.08%/年(1.78-2.41),HR 2.15,1.75-2.61,p<0.001。
TTR<70%:5.13%/年(4.51-5.82)vs. TTR≧70%:2.30%/年(2.03-2.60),HR 2.43,2.02-2.89,p<0.001。
INRの変動が大きいこと+TTR低値の合併は至適患者とくらべ,出血リスクが上昇していた;4.12%/年(3.68-4.51)vs. 2.02%/年(1.71-2.30),HR 2.50,1.99-3.15。
治療強度が高いこと(平均INR 2.8~3.2)は低いこと(2.2~2.7)にくらべ,機械弁の部位,年齢,併存疾患で補正後も,リスク上昇と関連していた。
出血:2.92%/年(2.39-3.47)vs. 2.48%/年(2.21-2.77),HR 1.29,1.06-1.58。
死亡:3.36%/年(2.79-4.02)vs. 1.89%/年(1.64-2.17),HR 1.65,1.31-2.06。
全合併症:6.61%/年(5.74-7.46)vs. 5.65%/年(5.20-6.06),HR 1.24,1.06-1.41。

●有害事象

文献: Grzymala-Lubanski B, et al. Warfarin treatment quality and prognosis in patients with mechanical heart valve prosthesis. Heart 2016; 103: 198-203. pubmed
関連トライアル ACTION, ACTION Registry-GWTG stratified analysis, Carrero JJ et al, RE-LY quality of INR control, Sanden P et al, SPAF III 1996
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