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ENGAGE AF-TIMI 48 renal function
結論 クレアチニンクリアランス(CrCl)値が高い患者では,動脈血栓塞栓症予防の相対的有効性に明らかな低下がみられたものの,高用量edoxabanのwarfarinに対する安全性および正味の臨床ベネフィットは,さまざまな腎機能の患者において一貫していた。
コメント ENGAGE AF-TIMI 48における腎機能別アウトカムを検討した論文である。CrCl 30~50mL分では全体の結果と一致した有効性と安全性のデータが示されている。CrCl>95mL/分で,有意差はないもののwarfarinに比し脳卒中/全身性塞栓症の発症率が高く,FDAではきわめて良好な腎機能患者においては使用が制限されている。実際のデータをみると,edoxaban群で発症率が増加している訳ではなく,warfarin群での発症率がかなり低いために生じた結果といえる。したがって,CrCl>95mL/分の患者でより高用量のedoxabanが必要かもしれないという推論は慎重であるべきであろう。(是恒之宏

目的 edoxabanは50%が腎臓で排泄されるが,心房細動患者における脳卒中/全身性塞栓症予防について,良好に管理されたwarfarinに対し非劣性を示し,出血は抑制した。本解析は事前に定められた解析として,ENGAGE AF-TIMI 48のさまざまなCrCl値の患者について,edoxaban高用量およびCrCl値が高い患者にフォーカスを当て,edoxabanのwarfarinに対する有効性・安全性を評価した。有効性主要評価項目:脳卒中/全身性塞栓症。安全性主要評価項目:ISTH出血基準大出血
デザイン ENGAGE AF-TIMI 48は無作為割付,二重盲検,ダブルダミー試験。
セッティング 多施設,複数国。
期間 追跡期間中央値は2.8年。
対象患者 14,071例。ENGAGE AF-TIMI 48登録患者(21歳以上,無作為割付前12ヵ月以内に心房細動を確認,CHADS2スコア 2点以上の患者)21,105例のうち,edoxaban高用量群またはwarfarin群に割り付けられた症例。
【除外基準】CrCl<30mL分,出血高リスク,抗血小板薬2剤併用療法中。
【腎機能別の患者背景】年齢中央値は中等度腎機能障害例(CrCl 30~50mL/分2,740例)79歳,軽度腎障害または正常腎機能例(CrCl>50mL分11,331例)70歳。それぞれの女性54%,34%。平均CHADS2スコア3.1,2.8。平均CHA2DS2-VAScスコア5.0,4.2。無作為割付時の用量減量84%,11%。
治療法 ENGAGE AF-TIMI 48はCHADS2スコア2~3点または4点以上,edoxabanの減量の必要性により層別化後,以下の3群に割付。
edoxaban高用量群:7,035例。60mg 1日1回投与。
edoxaban低用量群:7,034例。30mg 1日1回投与。
warfarin群:7,036例。PT-INR 2.0~3.0となるよう用量調整投与。
edoxaban両用量群とも,登録時もしくは試験期間中にCrCl 30~50mL/分,体重≦60kg,P糖蛋白阻害薬併用の場合,用量を半分に減量した。
追跡完了率
結果

●評価項目
edoxaban高用量群のwarfarin群に対する脳卒中/全身性塞栓症の相対リスクは,腎機能にかかわらず一貫していた(交互作用p=0.94)。
CrCl>50 mL/分:edoxaban高用量群1.4%/年,warfarin群1.6%/年,HR, 0.87,95%CI 0.72-1.04。
CrCl≦50 mL/分:edoxaban高用量群2.3%/年,warfarin群2.7%/年,HR 0.87,95%CI 0.65-1.18。
探索的解析によると,CrCl 高値の患者では,edoxaban高用量のwarfarinに対する相対的有効性が低い傾向がみられた(CrCl≦50mL/分:HR 0.87,0.65-1.18,CrCl>50~95 mL/分:HR 0.78,0.64-0.96,CrCl>95 mL/分:HR 1.36,0.88-2.10,交互作用p=0.08)。
高用量edoxaban群のISTH出血基準大出血は,CrClの全カテゴリーで低かった(CrCl≦50mL/分:HR 0.76,0.58-0.98,CrCl>50~95 mL/分:HR 0.89,0.75-1.04,CrCl>95 mL/分:HR 0.60,0.42-0.85,交互作用p=0.11)。
出血についての効果のため,正味の臨床転帰(脳卒中/全身性塞栓症,大出血,全死亡)はCrClの全カテゴリーで高用量edoxabanのほうがすぐれていた(CrCl≦50mL/分:HR 0.86,0.75-0.98,CrCl>50~95 mL/分:HR 0.91,0.82-1.00,CrCl>95 mL/分:HR 0.93,0.77-1.13,交互作用p=0.73)。CKD-EPI 式を用いた感度解析でも,同様の結果がみられた。

●有害事象

文献: Bohula EA, et al. Impact of Renal Function on Outcomes With Edoxaban in the ENGAGE AF-TIMI 48 Trial. Circulation 2016; 134: 24-36. pubmed
関連トライアル Alberta Kidney Disease Network, AMADEUS post hoc analysis, ARISTOTLE, ARISTOTLE according to age, ARISTOTLE major bleeding, ARISTOTLE outcome of major bleeding, ARISTOTLE renal function, ARISTOTLE risk score, Carrero JJ et al, ENGAGE AF-TIMI 48, ENGAGE AF-TIMI 48 cerebrovascular events, ENGAGE AF-TIMI 48 dose and outcomes, ENGAGE AF-TIMI 48 East Asian patients, ENGAGE AF-TIMI 48 mortality, ENGAGE AF-TIMI 48 previous stroke/TIA, ENGAGE AF-TIMI 48 transition to open-label anticoagulation, ENGAGE AF-TIMI 48 VKA experienced and naive, ENSURE-AF, Hokusai-VTE, Hokusai-VTE East Asia patients, J-ROCKET AF renal impairment, RE-LY, RE-LY Asian subgroup, RE-LY concomitant use of antiplatelet, RE-LY quality of INR control, ROCKET AF, ROCKET AF East Asian patients, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF major bleeding, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF renal dysfunction, ROCKET AF temporary interruption, 新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性
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