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メタ解析
血栓溶解療法静注後の早期再開通の発生率と予測因子
Incidence and Predictors of Early Recanalization After Intravenous Thrombolysis: A Systematic Review and Meta-Analysis
結論 血栓溶解療法静注後の全体的な早期再開通率はかなり高く,無益な病院間の搬送を少なくするために,早期再開通を確実に予測することの重要性が強調された。非早期再開通は,近位部閉塞および重症脳卒中で特に多かった。出版されたデータが乏しいことから,非早期再開通の正確な予測を改善するためにはさらなる研究が必要である。

目的 最近のRCTでは,大血管閉塞による急性脳卒中の治療には,血栓溶解療法静注単独よりもブリッジング療法(血栓溶解療法静注+機械的血栓除去術)のほうが優れていることが示されている。ただし現時点では,血管内手技は脳卒中専門施設のみで行われているため,一次施設または総合病院を受診したブリッジング療法適応患者は,血栓溶解療法静注後にすみやかに専門施設に搬送する必要がある。しかし,最終的にブリッジング療法を行わないなど,無益な搬送となることもある。したがって,早期再開通(血栓溶解療法静注開始から3時間以内)を確実に予測することは,無益で医療資源を消費する病院間の搬送を少なくするために必須である。われわれは,血栓溶解療法静注のみを実施後の早期再開通の発生率と予測因子を検討した。
方法 1990年1月1日~2016年1月27日に発表され,(1)15例以上の血栓溶解療法静注実施脳卒中患者を登録,(2)血栓溶解療法静注前に動脈閉塞の有無を確認,(3)早期再開通の発生率または予測因子について報告した研究を対象とした。
Freeman-Tukey二重逆正弦法を用いて早期再開通の推定割合(発生率)を統合後,元の尺度に逆変換。再開通評価の方法および時期についての研究間の不均一性を考慮し,早期再開通のランダム効果推定発生率を算出した。4研究以上で評価された変数についてのみ,メタ解析を実施した(閉塞部位別の再開通を含む統合発生率を算出)。
対象 26研究,2,063例。
主な結果 ・早期再開通の発生率
部分的または完全な早期再開通の全発生率は33%(95%CI 27-40),完全な早期再開通の発生率は20%(95%CI 15-26)であった。
部分的または完全な早期再開通の発生率は閉塞部位により異なり,遠位部中大脳動脈(M2~M3)閉塞では52%(95%CI 39-64),近位部中大脳動脈(M1)閉塞では35%(95%CI 28-42),頭蓋内頸動脈閉塞では13%(95%CI 6-22),脳底動脈閉塞では13%(95%CI 0-35),完全な早期再開通の発生率はそれぞれ 38%(95%CI 22-54),21%(95%CI 15-29),4%(95%CI 1-8),4%(95%CI 0-22)であった。
デジタルサブトラクション血管造影を用いた研究では他の方法を用いた研究にくらべ,部分的または完全な早期再開通の発生率が低かったが,完全な早期再開通については,用いられた画像法にかかわらず同等であった。出版バイアスは示されなかった。

・非早期再開通の予測因子
前方循環脳卒中については,近位部閉塞(M1または頭蓋内頸動脈閉塞)が非早期再開通の強力な予測因子であった(OR 2.09,95%CI 1.50-2.94)。入院時のNIHSSスコア高値は,非早期再開通と関連が認められた唯一の臨床的変数であった(標準化平均差0.20,95%CI 0.01-0.39)。
4研究未満で評価された非早期再開通の予測因子としては,動脈造影における側副血行不良,T2*強調画像でのM1 susceptibility vessel sign,中大脳動脈起始部から<10mmに位置する血栓,長い血栓,CT血管造影(CTA)における血栓内の残存血流なし,4次元CTAにおける血栓上の順行性血流なし,HDLコレステロール低値があげられた。
文献: Seners P, et al. Incidence and Predictors of Early Recanalization After Intravenous Thrombolysis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Stroke 2016; 47: 2409-12. pubmed
関連トライアル HERMES, Jung S et al, SITS-ISTR importance of recanalization, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法
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