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Chan YH et al Thromboembolic, Bleeding, and Mortality Risks of Rivaroxaban and Dabigatran in Asians With Nonvalvular Atrial Fibrillation
結論 リアルワールドのアジア人非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において,rivaroxabanおよびdabigatran はwarfarinにくらべ,急性心筋梗塞ならびに消化管出血による入院のリスクを上昇させず,脳梗塞/全身性塞栓症,頭蓋内出血,死亡リスク低減と関連していた。
コメント 台湾のリアルワールドデータである。リバーロキサバン,ダビガトランとワルファリンの有効性,安全性を検討し,プロペンシティスコアマッチング後,両DOACともワルファリンに比し脳梗塞/全身性塞栓症,頭蓋内出血,全死亡が少なかった。一般的にアジア人ではワルファリンコントロール(TTR)がよくないが,どのようなコントロールのワルファリン群かによって結果は大きく異なってくる。台湾のデータがアジア人全体にあてはまるとは限らない。われわれは日本人の大規模データを確立して解析すべきであり,日本人も同じだろうと早計に考えるべきではない。(是恒之宏

目的 非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)のwarfarinに対する有効性は示されているが,アジア人NVAF患者においてもすぐれているかについては,まだデータが不足している。本研究は,dabigatran,rivaroxabanのwarfarinに対する血栓塞栓イベント,出血,死亡リスクについて検討した。評価項目:脳梗塞または全身性塞栓症,頭蓋内出血,消化管出血による入院,急性心筋梗塞,出血による全入院,全死亡。
デザイン 後ろ向きコホート研究。
セッティング 多施設,台湾。
期間 登録期間は2013年2月1日~12月31日。
対象患者 15,088例。台湾の全国規模の医療保険データベースより同定された,当該期間に試験薬(dabigatran,rivaroxaban,warfarin)の初回投与をうけた心房細動患者。dabigatran投与例およびrivaroxaban投与例では,他の2剤の服用経験を有する患者も対象としたが,warfarin投与例では他の2剤の服用経験を有する患者は除外した。
【除外基準】-
【患者背景】平均年齢はrivaroxaban群76歳,dabigatran群75歳,warfarin群71歳。それぞれの女性46%,42%,44%。平均CHA2DS2-VAScスコア4.12,4.08,3.32。平均HAS-BLED出血リスクスコア3.11,3.12,2.69。慢性腎臓病22%,22%,21%。慢性肝疾患27%,28%,22%。うっ血性心不全16%,16%,16%。高血圧87%,86%,75%。脳卒中既往29%,32%,20%。出血既往2%,2%,2%。アドヒアランス65%,58%,63%。
治療法 投与薬剤別にrivaroxaban群(3,916例;rivaroxabanのみ1,441例+dabigatran服用経験あり375例,warfarin服用経験あり2,100例),dabigatran群(5,921例;dabigatranのみ2,781例,rivaroxaban服用経験あり45例,warfarin服用経験あり3,095例),warfarin群(5,251例)にわけ,解析。rivaroxaban群のうち3,425例(87%),dabigatran群のうち5,301例(90%)が低用量を投与されていた。
追跡完了率
結果

●評価項目
プロペンシティスコアマッチング後,rivaroxaban群,dabigatran群ともwarfarin群にくらべ,脳梗塞/全身性塞栓症,頭蓋内出血,全死亡が少なかった。消化管出血による入院ならびに急性心筋梗塞は同程度であった。出血による全入院は,rivaroxaban群ではwarfarin群と同程度であったが,dabigatran群ではwarfarin群にくらべ少なかった(p=0.0050)。
脳梗塞/全身性塞栓症:R群3.07%/年 vs. W群5.62%/年,p=0.0004,D群3.65%/年vs. W群5.71%/年,p=0.0006。
頭蓋内出血:R群0.77%/年vs. W群2.47%/年,p=0.0007,D群1.00%/年vs. W群2.27%/年,p=0.0005。
全死亡:R群3.30%/年vs. W群7.05%/年,p<0.0001,D群2.65%/年vs. W群6.67%/年,p<0.0001。
rivaroxaban 対dabigatranの比較では,脳梗塞/全身性塞栓症(HR 0.78,95%CI 0.54-1.13,p=0.1914),頭蓋内出血(HR 0.73,0.35-1.51,p=0.3947),急性心筋梗塞(HR 0.62,0.22-1.68,p=0.3438),全死亡(HR 1.27,0.86-1.86,p=0.2272)については有意差を認めなかった。rivaroxaban群はdabigatran群にくらべ消化管出血による入院のリスクが高かったが(HR 1.60,1.11-2.51,p=0.0416),on-treatment解析では有意差を認めなかった(p=0.5783)。

●有害事象

文献: Chan YH, et al. Thromboembolic, Bleeding, and Mortality Risks of Rivaroxaban and Dabigatran in Asians With Nonvalvular Atrial Fibrillation. J Am Coll Cardiol 2016; 68: 1389-401. pubmed
関連トライアル Abraham NS et al, Chang HY et al, dabigatran,rivaroxaban,apixabanの間接比較, Graham DJ et al, Hernandez I et al, Larsen TB et al, RE-LY, RE-LY quality of INR control, ROCKET AF, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF post hoc analysis, 新規経口抗凝固薬の冠動脈疾患,死亡リスクに対する有効性
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