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白質病変が血栓溶解療法静注後の頭蓋内出血・転帰におよぼす影響
結論 白質病変は,血栓溶解療法静注後の症候性頭蓋内出血リスクおよび脳卒中後の転帰不良を増加させる可能性がある。白質病変例では,症候性頭蓋内出血リスクが上昇するものの,rt-PA投与の正味の臨床ベネフィットが示された。バイアスや交絡のリスクを考慮すると,これらの結果は仮説が生み出したものと考えるべきであり,血栓溶解療法静注を差し控えることを正当化するものではない。

目的 白質病変は急性虚血性脳卒中患者の脳CTスキャン上によくみられ,血栓溶解療法後の症候性頭蓋内出血および転帰不良を増加させる可能性があるが,先行研究では矛盾する結果が報告されている。本研究は,血栓溶解療法静注を行った急性虚血性脳卒中患者において,脳CTスキャン上の白質病変の有無またはその重症度が症候性頭蓋内出血ならびに3~6ヵ月後の機能的転帰不良リスク上昇と関連しているか,検討を行った。また探索的サブ解析として,RCTに登録された白質病変例において,血栓溶解療法の正味の臨床ベネフィットをプラセボと比較した。
方法 1995年1月1日~2016年2月1日,PubMedを検索。検索した論文の文献リストや本分野のレビュー論文なども検索した。症例報告は除外し,英語以外の論文は必要に応じて翻訳した。
対象:(1)血栓溶解療法静注を行った虚血性脳卒中患者(100例以上)において,症候性頭蓋内出血リスクまたは3~6ヵ月後の機能的転帰を評価した試験,(2)妥当性を検証された評価尺度を用い,脳の白質病変の有無別にリスクを定量化した試験。白質病変の重症度はVan Swieten,FazekasまたはARWMC分類を用い,CTで評価した。
ランダム効果モデルを用いて関連データを統合した。ORを用いて,白質病変の有無またはその重症度と血栓溶解療法後の症候性頭蓋内出血または3~6ヵ月後のmodified Rankin Score(mRS)>2との関連の程度を定量化した。
対象 11研究,7,194例。
主な結果 ・白質病変の粗有病率
治療前CTスキャンにおける白質病変の粗有病率は40%(95%CI 33%-48%),重度の白質病変の粗有病率は15%(95%CI 10%-20%)であった。

・症候性頭蓋内出血リスク
血栓溶解療法静注後の症候性頭蓋内出血は,非白質病変例4%にくらべ白質病変例(6%,OR 1.55,95%CI 1.17-2.06,p=0.002)および重度の白質病変例(9%,OR 2.53,95%CI 1.92-3.34,p<0.0001)で高かった。不均一性ならびに出版バイアスは認めなかった。
6研究(4,976例)の解析において,白質病変は症候性頭蓋内出血の独立予測因子であった(補正後OR 1.75,95%CI 1.35-2.27,p<0.0001)。

・転帰不良(6研究,5,498例)
転帰不良(3研究ではmRS>2,2研究ではmRS≧2と定義)は,非白質病変例47%にくらべ白質病変例のほうが高かった(64%,OR 2.02,95%CI 1.54-2.65,p<0.0001)。研究間に有意な不均一性を認めた(I2=73.5%,p=0.002)。白質病変と転帰不良の関連についてのエフェクトサイズが得られた5研究,3,688例における解析でも,白質病変は転帰不良の独立予測因子であった(補正後OR 1.61,95%CI 1.44-1.79,p<0.0001)。ただし,有意な不均一性を認めた。

・サブ解析
RCT(IST-3,NINDS,ECASS-1-2)の白質病変例2,234例のみを対象としたpost hoc解析において,rt-PAは対照とくらべて症候性頭蓋内出血リスクを上昇したが(7.9% vs. 3.4%,OR 5.50,95%CI 2.49-12.13,p<0.001),転帰不良リスクは低下した(OR 0.75,95%CI 0.60-0.95,p=0.015)。
文献: Charidimou A, et al. Leukoaraiosis, Cerebral Hemorrhage, and Outcome After Intravenous Thrombolysis for Acute Ischemic Stroke: A Meta-Analysis (v1). Stroke 2016; 47: 2364-72. pubmed
関連トライアル ECASS, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, Hsieh CY et al, Kellert L et al, Madrid Stroke Network, Sarikaya H et al, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST multivariable analysis, Toni D et al, Tsivgoulis G et al, Turc G et al, Tutuncu S et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血, 前方循環閉塞に対する血栓溶解療法, 内頸動脈閉塞に続発する脳梗塞に対するtPA静注および動脈内血管内療法, 脳微小出血と血栓溶解療法後の脳内出血
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