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メタ解析
生体弁植込み患者における抗血栓療法
Anticoagulation versus antiplatelet or no therapy in patients undergoing bioprosthetic valve implantation: a systematic review and meta-analysis
結論 生体弁植込み患者において,ビタミンK拮抗薬(VKA)と抗血小板薬/治療なしを比較したRCTおよび観察研究のメタ解析にて,血栓塞栓症または死亡のいずれについてもVKAを追加することのベネフィットは認められなかった。VKAの使用は大出血増加と関連していた。
コメント 生体弁植込み患者において,ワルファリンのベネフィットがメタ解析で示されなかった。このことは,心房細動患者で生体弁植込みをともなう場合,現行のガイドラインではワルファリンのみとなっているが,NOACが有効でないという根拠に乏しいことを示すものとして,意義がある。今後,ガイドライン改定時には考慮されるべきものと思われる。(是恒之宏

目的 生体弁植込み後の抗血栓療法については議論が分かれている。本研究では,これらの患者に対するVKAと抗血小板薬/治療なしの比較についてのシステマティックレビューを行い,また,VKAの抗血小板薬/治療なしに対するリスク・ベネフィットのメタ解析も行った。主要評価項目:血栓塞栓イベント。
方法 1980年1月~2015年7月,PubMed, Medline,Embase,Ovid,Cochraneにて検索。検索は英文論文に限定し,十分な詳細が記載されている場合のみ抄録やconference papersも含めた。
対象:大動脈または僧房弁の生体弁植込み患者(他にも外科手術を行ったかどうかは問わない)において,術後最長6ヵ月まで,VKAを抗血小板薬/治療なしと比較したRCTおよび観察研究で,血栓塞栓および出血イベントについて,治療ごとに報告しているもの。
除外:機械弁植込み,転帰としての血栓塞栓イベントの記載がない,比較群がない,長期の追跡期間にわたって血栓塞栓イベントを報告。
対象 14研究(RCT 2件,前向き観察研究4件,後ろ向き観察研究8件)。
31,740例(RCT 260例,観察研究31,480例)。
主な結果 ・血栓塞栓イベント(14研究)
血栓塞栓イベントはVKA群145例(1%),抗血小板薬/治療なし群262例(1.5%)で,同程度であった(OR 0.96,95%CI 0.60-1.52,p=0.85,I2=63%)。出版バイアスは認められなかった。
Merie et al(生体弁植込み後1ヵ月以内に発症した全イベントを除外して報告)を除外しても(OR 0.99,0.76-1.29,I2=6%),大動脈弁植込み患者のみを対象とした8研究に限定しても(OR 0.93,0.71-1.21),結果は変わらなかった。

・全死亡(8研究)
全死亡はVKA群351例(3.5%),抗血小板薬/治療なし群415例(2.9%)で,同程度であった(OR 1.48,95% CI 0.87-2.50,p=0.14,I2=50%)。

・手術再施行(6研究)
手術再施行はVKA群47例(3.3%),抗血小板薬/治療なし群55例(3.2%)で,同程度であった(OR 0.81,95%CI 0.42-1.58,p=0.54,I2=28%)。

・出血イベント(13研究)
出血イベントはVKA群292例(2.6%)で,抗血小板薬/治療なし群189例(1.1%)にくらべ多かった(OR 2.26,95%CI 1.67-3.05,p<0.00001,I2=15%)。
文献: Masri A, et al. Anticoagulation versus antiplatelet or no therapy in patients undergoing bioprosthetic valve implantation: a systematic review and meta-analysis. Heart 2016; 103: 40-8. pubmed
関連トライアル アブレーション周術期におけるrivaroxabanの有効性および安全性, 心房細動およびVTE患者におけるNOACの大出血関連致死率, 長期VKA療法患者における周術期橋渡し療法
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