抗血栓トライアルデータベース
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Ottosen TP et al
結論 脳出血発症後30日生存した患者では,約半数が抗血栓療法の適応を有していた。退院後の経口抗凝固薬使用は全死亡および血栓塞栓症イベントのリスク低下と関連し,大出血リスクは増加しなかった。
コメント 全国規模の登録データを用いた検討であり,特に抗凝固療法についての結果は意義深い。非ビタミンK阻害経口抗凝固薬の投与例はわずかであり,適応に関する更なる分析も必要であるが,脳出血後の抗血栓療法の治療指針に寄与する論文である。(岡田靖

目的 脳内出血既往患者における抗血栓療法の有効性と安全性は不明である。本研究は,デンマークにおける全国規模の患者データを用い,初発脳内出血により入院した患者における抗血栓薬の処方率を調査し,退院後の抗血栓療法が長期臨床転帰に及ぼす影響を評価した。評価項目:全死亡,血栓塞栓イベント,大出血,脳内出血再発。
デザイン 前向き登録研究の後ろ向き解析。
セッティング 多施設,デンマーク。
期間 追跡期間中央値2.3年。
対象患者 6,369例。18歳以上,初発の自然性脳内出血のために入院後,30日間生存した患者。
【除外基準】外傷性脳内出血。
【抗血栓療法の適応がある2,978例における,退院後の治療別の患者背景】症例数は抗凝固薬群160例,抗血小板薬群799例,抗凝固薬+抗血小板薬併用群63例,治療なし群1,956例。それぞれの年齢(<65歳/65~74歳/≧75歳)21.9%/36.3%/41.8%,19.5%/26.2%/54.3%,23.8%/25.4%/50.8%,26.9%/24.9%/48.2%。男性61.9%,56.6%,66.7%,55.5%。抗血栓療法の適応疾患:虚血性脳卒中41.9%,76.3%,50.8%,73.1%,心房細動71.9%,36.2%,74.6%,29.7%,心筋梗塞7.5%,12.5%,14.3%,7.3%,静脈血栓塞栓症15.6%,6.4%,7.9%,7.9%,人工弁15.0%,2.0%,19.0%,1.3%,末梢動脈疾患1.9%,0.5%,1.6%,1.1%。
治療法
追跡完了率
結果

●評価項目
対象患者のうち,入院時に抗血栓療法の適応を有していたのは2,978例(47%)であった。
抗血栓療法適応患者における薬剤使用率について,脳内出血による入院の90日前と退院の180日後で比較したところ,抗凝固薬の使用率は低下していた(抗凝固薬14.1%→6.3%,抗血小板薬31.1%→31.4%,併用5.1%→3.4%)。
追跡期間中の死亡は1,281例(43%),血栓塞栓症イベントは497例(17%),大出血は536例(18%)であった。脳内出血再発は,退院後抗血栓薬を投与されている患者では91例(6.1%),投与されていない患者では113例(7.6%)。
経口抗凝固薬の適応を有する患者における退院後の同薬使用は,死亡および血栓塞栓イベントのリスク低下と関連したが,出血は増加しなかった。
死亡:補正後HR 0.59,95%CI 0.43-0.82。
血栓塞栓イベント:補正後HR 0.58,0.35-0.97。
大出血:補正後HR 0.65,0.41-1.02。
脳内出血再発:補正後HR 0.90,0.44-1.82。
一方,抗血小板薬の適応を有する患者における退院後の同薬使用は,臨床転帰の改善とは関連しなかった。
死亡:補正後HR 0.96,95%CI 0.80-1.15。
血栓塞栓イベント:補正後HR 0.99,0.75-1.31。
大出血:補正後HR 0.89,0.68-1.16。
脳内出血再発:補正後HR 1.33,0.93-1.92。

●有害事象

文献: Ottosen TP, et al. Use of Antithrombotic Therapy and Long-Term Clinical Outcome Among Patients Surviving Intracerebral Hemorrhage. Stroke 2016; 47: 1837-43. pubmed
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