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da Vinci definitive anticoagulation for acute cardioembolic ischemic stroke patients with atrial fibrillation
結論 軽症脳卒中患者に対し,多くの臨床医が非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)を処方する傾向にあり,NOACは潜在的ベネフィットをもたらす可能性がある。また,rt-PA後早期のNOAC開始はwarfarinにくらべ,出血イベントを低減する可能性が示唆された。
コメント rt-PA施行後早期のNOAC療法がワルファリン療法と比較し,出血イベントを低減する可能性が示された。このことは,NOAC第III相試験において,ワルファリンと比較してNOACの大出血発現率が同等かそれ以下で,頭蓋内出血が大幅に少なかったことと合致しよう。今後,脳梗塞急性期におけるNOAC療法がますます広がると期待される。(矢坂正弘

目的 脳梗塞を発症したNVAF患者における再発予防について,NOACの有効性を示すエビデンスが蓄積されてきている。しかし,その管理についてはまだ明確になっておらず,またrt-PA施行後の安全性・有効性も不明である。本研究では,脳梗塞/一過性脳虚血発作(TIA)を発症したNVAF患者,とくにrt-PAをうけた患者において,NOACの短期転帰をwarfarinと比較した。主要評価項目:退院時または入院から30日後のmodified Rankin Score(mRS),全死亡,出血/虚血イベント。
デザイン 前向きコホート研究。UMIN000017296。
セッティング 多施設(12施設),日本。
期間 試験期間は2012年4月~2014年12月。
対象患者 235例(うちrt-PA静注73例)。脳梗塞/TIAを発症したNVAF患者連続例で,虚血病変をMRI/CTで検出,入院から24時間以内に心房細動を12誘導心電図かつ/またはベッドサイド心臓モニタリングかつ/または病歴により確定,脳卒中発症から24時間以内に入院,18歳以上の患者。
【除外基準】リウマチ性僧帽弁疾患,人工弁置換術/僧帽弁の外科的修復,活動性感染性心内膜炎,入院後経口抗凝固薬を投与されていない,悪性腫瘍など。
【患者背景】平均年齢はwarfarin群81.1歳,NOAC群75.8歳*。それぞれの男性43.2%,61.5%(p=0.006)。mRS 0~1 61.0%,74.4%(p=0.036)。平均 CHADS2スコア3,2*。平均 CHA2DS2-VAScスコア 5,3*。発症-来院時間2.9時間,3.5時間。治療歴:抗血小板薬33.1%,16.2%(p=0.004),抗凝固薬50.0%,34.2%(ヘパリン投与1例含む)(p=0.017),warfarin 42.4%,24.8%(p=0.006),高血圧77.1%,69.2%。糖尿病21.2%,15.4%。脂質異常症32.2%,25.6%。虚血性心疾患19.5%,6.0%(p=0.003)。脳卒中既往27.1%,22.2%。入院時平均National Institute of Health stroke scale(NIHSS) 16,6*。梗塞サイズ>3.0 cm 59.3%,29.9%*。治療:rt-PA 30.5%,31.6%,ヘパリン53.4%,12.8%*,edaravone 77.1%,83.8%,抗血小板薬34.2%,6.7%*,降圧薬44.1%,57.3%。OAC平均開始日 入院後3日目,入院後2日目。
*p<0.001
治療法 対象をwarfarin投与群(118例)とNOAC投与群(117例:rivaroxaban 51例,dabigatran 35例,apixaban 31例)に分けて比較した。
さらに,rt-PA静注を施行したサブグループ(73例:warfarin投与群36例,NOAC投与群37例[rivaroxaban 22例,dabigatran 10例,apixaban 5例])における比較も実施した。
治療法は日本の脳卒中ガイドラインに準じ,抗凝固薬の選択は担当医の裁量とした。
追跡完了率
結果

●評価項目
全死亡率はNOAC群0%で,warfarin群4.2%にくらべ低い傾向がみられた(p=0.060)。
虚血イベント(NOAC群6.0%,warfarin群7.6%,p=0.797),全出血イベント(それぞれ3.4%,3.4%,p=1.000)は同程度であった。
rt-PA静注施行のサブグループにおける出血/虚血イベントは,NOAC群でwarfarin群にくらべ数値的には少なかったが,有意差はなかった(2.7%,8.3%,p=0.358)。NOACはrt-PA静注後早期に開始され,出血イベントリスクを低下させたようであったが,有意差は認められなかった(0%,5.6%,p=0.240)。

●有害事象

文献: Saji N, et al.; daVinci Study Group. Safety and efficacy of non-vitamin K oral anticoagulant treatment compared with warfarin in patients with non-valvular atrial fibrillation who develop acute ischemic stroke or transient ischemic attack: a multicenter prospective cohort study (daVinci study). J Thromb Thrombolysis 2016; 42: 453-62. pubmed
関連トライアル Caprio FZ et al, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, JNAF-ESP, Kim TH et al, Nomura E et al, RAF, Saji N et al, SPORTIF V, 新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性, 日本人NVAF患者におけるNOACの有効性および安全性, 脳卒中/TIA既往を有する心房細動患者における新規抗凝固薬
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