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Martinez C et al Risk of recurrent venous thromboembolism after discontinuation of vitamin K antagonist treatment: a nested case-control study
結論 静脈血栓塞栓症(VTE)患者において,再発リスクはビタミンK拮抗薬(VKA)中止から60日後までがもっとも高く,このリスク上昇は120日後まで持続した。この期間に,症状,兆候に関する特定の患者教育を行い,VTE再発に対し注意することが推奨される。

目的 VTEの標準治療および再発予防は,抗凝固療法が行われる。抗凝固療法の至適治療期間はVTE再発の危険因子の存在に左右され,特発性VTE患者では一過性リスク因子によるVTEまたは癌合併患者にくらべ長くなる。しかしながら,治療のストラテジーは抗凝固療法の早期中止がVTE再発に及ぼす潜在的影響によっても形作られる。ここでは,VKA中止後の経過時間に関連したVTE再発リスクを評価した。
デザイン ネスティド・ケース・コントロール研究。
セッティング 多施設,英国。
期間 試験期間終了は2013年5月。
対象患者 41,841例。英国臨床診療研究データリンク(CPRD)より同定された,2001年1月~2013年5月に初発VTEが発症し,再発リスクにさらされている症例のうち,初発VTEから30日以内にVKA投与を開始した患者。入院患者では退院1日後,プライマリケア受診のみの患者では診断から7日後に登録した。VTE再発例は1,242例,非再発患者からマッチングさせた対照例は6,205例。
【除外基準】初発VTE以前のCPRD登録期間が1年未満,心房細動既往,初発VTEの7~365日前に経口抗凝固薬を使用している,以前に非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)を使用。
【患者背景】平均年齢は再発例65.0歳,対照例64.5歳。それぞれの男性47.9%,48.1%。初発VTEの病型:DVT 46.1%,49.4%,PE 53.9%,50.6%。再発例における再発VTEの病型:DVT 37.4%,PE 62.6%。初発VTEの誘発因子:活動性癌9.1%,9.1%,手術8.5%,8.5%,外傷6.1%,6.1%,内科的疾患5.2%,5.2%,エストロゲン3.7%,3.7%,非活動性癌2.9%,2.9%,特発性64.2%,64.2%。当該イベント発症時にVKA服用中42.5%,45.9%。
治療法 VKA(acenocoumarol,phenindione,warfarin)を投与。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
VTE再発の率比(rate ratio)は,VKA中止から60日以内(2.23,95%CI 1.71~2.91),VKA中止から61~120日(1.49,1.08~2.05)ともにVKA使用下にくらべて上昇した。それ以降は上昇しなかった(121~180日:1.13,0.78~1.63,181~365日:0.91,0.64~1.31)。VTE再発の率比はVKA中止から30~40日後がピークであり,この傾向は特発性VTEでより明白であった。
VTE再発の過剰発症率は,VKA中止から60日以内では6.72/100人・年(3.90~10.06)と著しく増加し,61~120日でも2.68/100人・年(0.42~5.58)であった。121~180日は0.71/100人・年(-1.23~3.43),181~365日は-0.49/100人・年(-2.01~1.52)であった。

●有害事象

文献: Martinez C, et al. Risk of recurrent venous thromboembolism after discontinuation of vitamin K antagonist treatment: a nested case-control study. J Thromb Haemost 2016; 14: 1374-83. pubmed
関連トライアル DURAC, INSPIRE, Lalmohamed A et al, Lamberts M et al, 急性VTE治療における新規経口抗凝固薬とビタミンK拮抗薬の比較
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