抗血栓トライアルデータベース
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GARFIELD-AF Global Anticoagulant Registry in the Field-Atrial Fibrillation
結論 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者において,主要転帰(死亡,脳卒中/全身性塞栓症,大出血)のうち発生率がもっとも高いのは死亡であったが,死因の多くは抗凝固療法による影響はないと考えられるものであった。NVAF患者の転帰を改善するには,抗凝固療法に加え,それ以外のリスク因子を標的とした介入を含む,より包括的な管理が必要であることが示唆された。
コメント 本研究は,五つの追跡コホートにて新規の非弁膜症性心房細動患者における抗血栓療法とアウトカムを検討する,国際的なレジストリーである。2016年8月に最終の第5コホートの登録が終了し,計57,262名の患者が世界35ヵ国から集まった。今後,フォローアップ期間の2年間を経て2018年8月にフォローアップが終了し,その後さまざまな解析がなされていくと期待される。本解析では,登録最初の4ヵ月にける全死亡,脳卒中,大出血は全体に比して高いこと,死因のうち脳梗塞はわずか5.1%で,心不全,悪性腫瘍による死亡が多いことが示されている。今後,地域別,国別の治療の相違やアウトカム比較がなされ,臨床的に大変興味ある結果が示されていくであろう。(是恒之宏

目的 NVAF患者において,診断後の経過時間と転帰との関係は,特に1年以降については明らかになっていない。GARFIELD-AFは五つの連続コホートにて,約52,000例の患者を登録する予定であるが,本解析は最初の二つのコホートにおける全死亡,脳卒中/全身塞栓症,大出血発現率を調査し,さらにその寄与因子を検討した。評価項目:脳卒中/全身塞栓症,肺塞栓症,急性冠症候群(ACS),入院,死亡,心不全,出血。
デザイン 観察研究。NCT 01090362。
セッティング 多施設(858施設),30ヵ国。
期間 登録期間は2010年3月~2013年6月,追跡期間は2年。
対象患者 17,162例。18歳以上,新規にNVAFの診断をうけてから6週間以内,その他の脳卒中リスク因子を1つ以上有する患者。
【除外基準】一過性の可逆性NVAF。
【患者背景】平均年齢69.8歳。女性43.8%。人種:白人64.5%,アジア人(中国人以外)17.5%,中国人5.7%,ヒスパニック/ラテン系7.3%。平均BMI 27.8 kg/m2。LVEF<40% 10.0%。心房細動の種類:永続性13.1%,持続性15.6%,発作性25.2%,新規診断/発症46.1%。既往症:うっ血性心不全20.6%,冠動脈疾患19.9%,ACS 9.4%,脳卒中/一過性脳虚血発作12.7%,高血圧既往78.1%,高コレステロール血症40.1%,糖尿病21.9%,慢性腎臓病(グレードI/II 89.7%,グレードIII~V 10.3%)。平均CHA2DS2-VAScスコア3.3。平均HAS-BLED出血リスクスコア1.5。
治療法 抗血栓療法は以下の通り。ビタミンK拮抗薬37.5%,ビタミンK拮抗薬+抗血小板薬12.5%,第Xa因子阻害薬3.8%,第Xa因子阻害薬+抗血小板薬1.7%,直接トロンビン阻害薬4.1%,直接トロンビン阻害薬+抗血小板薬1.2%,抗血小板薬単独27.4%,治療なし11.8%。
追跡完了率 97%。
結果

●評価項目
追跡2年における発症率は,全死亡3.83%/年(95%CI 3.62-4.05),脳卒中/全身性塞栓症 1.25%/年(1.13-1.38),大出血 0.70%/年(0.62-0.81)であり,いずれも最初の4ヵ月間の発症率は全体にくらべ高く(全死亡+29%,脳卒中/全身性塞栓症+35%,大出血+56%),その後は低下した(全死亡,脳卒中/全身性塞栓症:傾向p<0.001,大出血:傾向p=0.001)。
死因について,うっ血性心不全(10.8%),突然死または目撃者のいない死亡(7.5%),ACS(5.9%),悪性腫瘍(10.3%),呼吸不全(8.0%),感染症/敗血症(6.7%)などをあわせると,全体の65%を占めていた。脳梗塞による死亡は5.1%であった。
脳卒中は365例に発症した(脳梗塞71.2%,脳内出血10.1%,不明18.6%)。
出血イベントは504例に発現した(大出血ではないが臨床的に意味のある出血57.1%,大出血42.9%,致死的出血4.8%)。出血のうちもっとも多かったのは消化管出血(1.47%)で,決定臓器は0.22%,頭蓋内出血は0.22%であった。
抗凝固療法は全死亡の低減と関連していた(補正後HR 0.65,95%CI 0.58-0.73)。

●有害事象

文献: Bassand JP, et al., GARFIELD-AF Investigators. Two-year outcomes of patients with newly diagnosed atrial fibrillation: results from GARFIELD-AF. Eur Heart J 2016; 37: 2882-9. pubmed
関連トライアル ACTIVE W paroxysmal vs sustained, COMPARE, ENGAGE AF-TIMI 48 cerebrovascular events, Fushimi AF Registry type of AF, Lamberts M et al, Lip GY et al, ORBIT-AF, ORBIT-AF bridging, RAF, ROCKET AF temporary interruption, SPAF III 1998, VENTURE-AF
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