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SOCRATES Acute Stroke or Transient Ischemic Attack Treated with Aspirin or Ticagrelor and Patient Outcomes
結論 急性脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)患者における90日以内の脳卒中,心筋梗塞,死亡の抑制について,ticagrelorのaspirinにくらべた優越性は認められなかった。
コメント 脳梗塞やTIAにおける発症90日以内の脳卒中,心筋梗塞,死亡の抑制において,可逆性で代謝の影響を受けにくいという優れた特質を有するチカグレロールがアスピリンに対する優越性を示せなかったことは残念であるが,改めて安価なアスピリンの虚血イベント抑制効果の高さを示す結果とも言えよう。(矢坂正弘

目的 脳梗塞またはTIA発症後,90日以内は再発リスクが特に高いとされる。再発予防について,ticagrelorは通常使用されているaspirin 50~325 mgにくらべて優れていると考えられるが,そのエビデンスは限られている。本研究では,脳梗塞またはTIA患者における90日以内の主要血管イベント予防効果について,ticagrelorをaspirinと比較した。有効性主要評価項目:無作為割付から脳卒中(虚血性/出血性),心筋梗塞,死亡の複合までの経過時間。安全性評価項目 :PLATO出血基準大出血発現までの経過時間。
デザイン 無作為割付,二重盲検試験,有効性:intention-to-treat解析,安全性:治療薬を投与された集団にて解析。NCT01994720。
セッティング 674施設,33ヵ国。
期間 登録期間は2014年1月7日~2015年10月29日。
対象患者 13,199例。40歳以上の急性脳梗塞(National Institute of Health stroke scale:NIHSS≦5)または高リスクのTIA(ABCD2スコア≧4,または症候性頭蓋内/頭蓋外動脈狭窄)患者で,発作後24時間以内,CT/MRIにて頭蓋内出血,神経症状をきたすその他の症状,試験薬禁忌が否定された患者。
【除外基準】試験薬以外の特定の抗血小板療法/抗凝固療法の予定,無作為割付後7日以内に試験薬中止を要する頸動脈 /脳血管/冠血行再建術の予定,試験薬に対する過敏症,心房細動/心室瘤既往,心塞栓性TIA/脳塞栓症の疑い,割付前24時間以内に血栓溶解療法(静注/動注)/機械的血栓除去を実施,強力なCYP3A阻害薬または治療指数が小さいCYP3A基剤による治療を要する,連続7日以上のNSAIDsを要する,既知の出血性素因/凝固障害,非外傷性症候性頭蓋内出血既往,消化管出血から6ヵ月以内,大手術から30日以内,重篤な肝疾患,透析を要する腎不全 など。
【患者背景】平均年齢はticagrelor群65.8歳,aspirin群65.9歳。それぞれの女性41.9%,41.2%。 既往症:高血圧72.8%,74.6%,脂質異常症38.4%,37.8%,糖尿病25.3%,23.4%,脳梗塞既往11.6%,12.5%,TIA既往6.2%,6.7%,心筋梗塞既往4.2%,4.1%,冠動脈疾患8.7%,8.6%。無作為割付前の治療歴:aspirin 32.3%,31.8%,clopidogrel 3.3%,3.6%。症状発現から割付まで12時間以内36.4%,36.7%。試験参加の当該 イベント:TIA 27.2%,26.3%,脳梗塞72.8%,73.7%。TIA症例におけるABCD2スコア≦5:73.4%,72.2%,脳梗塞症例におけるNIHSSスコア≦3:67.4%,67.4%。
治療法 発作後24時間以内に以下の2群に無作為割付。90日間の試験薬投与後,担当医の裁量により追加投与。
ticagrelor群:6,589例。第1日に負荷用量180mg 投与後,第2~90日に90mg 1日2回投与。
aspirin群:6,610例。第1日に負荷用量300mg投与後,第2~90日に100mg/日投与。
追跡完了率 98.5%(主要評価項目)。
結果

●評価項目
有効性主要評価項目は,ticagrelor群442例(6.7%),aspirin群497例(7.5%)で,有意差を認めなかった(HR 0.89,95%CI 0.78-1.01,p=0.07)。各項目は以下の通り。
脳梗塞:ticagrelor 群5.8%,aspirin群6.7%,p=0.046。
心筋梗塞:0.4%,0.3%,p=0.55。
死亡:1.0%,0.9%,p=0.36。
安全性主要評価項目は,ticagrelor群31例(0.5%),aspirin群38例(0.6%)で同程度であった(HR 0.83,0.52-1.34 ,p=0.45)。頭蓋内出血は0.2%,0.3%(p=0.30),致死的出血は0.1%,0.1%。

●有害事象

文献: Johnston SC, et al.; SOCRATES Steering Committee and Investigators. Ticagrelor versus Aspirin in Acute Stroke or Transient Ischemic Attack. N Engl J Med 2016; 375: 35-43. pubmed
関連トライアル APPRAISE, APPRAISE-2, ATLANTIC, AVERROES previous stroke/TIA, CHANCE, Dutch-TIA Trial, EARLY, ESPRIT , EXPRESS risk of bleeding, FASTER, JPPP, MATCH, ONSET/OFFSET dyspnea, PEGASUS-TIMI 54, PERFORM, PLATO, PLATO bleeding complications, PLATO history of stroke, PLATO invasive strategy, PLATO renal function, PLATO total events, PLATO undergoing CABG, PRoFESS, SPIRIT, SPS3, TRA 2P-TIMI 50, TRA 2P-TIMI 50 prior ischemic stroke, TRILOGY ACS, TRILOGY ACS elderly patients, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 discharge aspirin dose, WARCEF, WARSS, WASID, WHS, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較(2013), 血管疾患患者に対する抗血小板療法, 脳卒中/TIA後のDAPTによる二次予防
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