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PATCH Platelet transfusion versus standard care after acute stroke due to spontaneous cerebral haemorrhage associated with antiplatelet therapy
結論 脳内出血発症前に抗血小板薬を服用していた患者において,血小板輸血は通常治療にくらべ劣っているようであった。臨床において,血小板輸血は推奨できない。
コメント 抗血小板療法中の脳出血における血小板輸血の有効性がRCTで検討された結果,仮説に反して,血小板輸血が転帰改善の点で無効であるばかりか劣っていることが示された。抗血小板療法中の脳出血への血小板輸血は推奨されないと結論づけられている。結果の要因を特定することはできないが,出血性梗塞症例の混入,血小板輸血の血栓形成や炎症の助長作用などが推定されている。(矢坂正弘

目的 抗血小板薬服用者において,急性自然発症初発脳内出血後の血小板輸血は,出血の増大を抑制することにより,死亡または後遺障害を低減する可能性がある。本研究は,通常治療+血小板輸血は通常治療単独にくらべ,死亡または後遺障害を低減するかどうか検討した。有効性主要評価項目:3ヵ月後の予後不良(modified Rankin Score:mRS 4~6)への移行。安全性主要評価項目:血小板輸血の合併症(輸血反応,血栓性合併症),その他の重篤な有害事象。
デザイン PROBE試験。
セッティング 多施設(参加60施設,実際の患者登録は41施設),3ヵ国(オランダ,英国,フランス)。
期間 登録期間は2009年2月4日~2015年10月8日。追跡終了は2016年1月6日。
対象患者 190例。18歳以上,脳画像で確認された非外傷性テント上脳内出血,Glasgow coma scale(GCS)8~15,脳内出血発症(または最後に健常な姿を確認された時点)から6時間以内かつ脳画像撮像から90分以内に血小板輸血を開始可能,脳内出血発症前にCOX阻害薬(aspirin,carbasalate calcium),ADP受容体阻害薬(clopidogrel),アデノシン再取り込み阻害薬(dipyridamole)を7日以上服用,脳内出血前のmRS≦1,日常の仕事や活動を行うことが可能。
【除外基準】硬膜外,硬膜下血腫,もしくは動脈瘤または動静脈奇形が根本にあると示唆される脳画像所見,入院から24時間以内に脳内出血の外科的排出を予定,大脳側脳室後角内の沈殿以上の脳室内出血,血小板輸血に対する以前の有害反応,ビタミンK拮抗薬の使用(INR≦1.3でない場合)または血液凝固障害既往,血小板減少症既往(<100,000/μL),瀕死状態,テント下または広汎な脳室内血腫など。
【患者背景】平均年齢は血小板輸血群74.2歳,通常治療群73.5歳。各群の男性57%,61%。併存疾患:虚血性脳卒中/TIA 40%,43%,脳内出血4%,5%,高血圧72%,73%,糖尿病15%,19%,高コレステロール血症49%,48%,虚血性心疾患24%,24%,末梢動脈疾患16%,4%。脳出血前の抗血小板薬:COX阻害薬単独73%,84%,COX阻害薬+dipyridamole 19%,14%,ADP阻害薬単独4%,1%,COX阻害薬+ADP阻害薬3%,1%,なし1%,0%。GCS中央値14,15。National Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値12,13。脳内出血の部位:テント上(髄質)65%,76%,テント上(皮質下)33%,24%,テント下2%,0%。出血量中央値13.1mL,8.0mL。
治療法 施設および脳内出血前の抗血小板薬の種類により層別化後,以下の2群に無作為割付。
血小板輸血群:97例。通常治療+白血球を除去した血液製剤を輸血(アデノシン再取り込み阻害薬服用の有無にかかわらず,COX阻害薬服用者は濃厚血小板1単位,ADP受容体阻害薬服用者は同2単位)。
通常治療群:93例。通常治療のみ。
追跡完了率 3ヵ月後の追跡完了率は100%。
結果

●評価項目
3ヵ月後の予後不良への移行は,血小板輸血群のほうが通常治療群より多かった(共通OR 2.05, 95%CI 1.18-3.56,p=0.0114)。
3ヵ月後のmRS 4~6は血小板輸血群72%,通常治療群56%(p=0.0195),同3~6はそれぞれ89%,82%(p=0.18)。
入院中の死亡は血小板輸血群23例(24%),通常治療群16例(17%),3ヵ月後の死亡はそれぞれ31例(32%),21例(23%)(p=0.15)。

●有害事象
入院中,血小板輸血群40例(42%),通常治療群は28例(29%)に重篤な有害事象(脳内出血増大,尿路または肺感染症)が発症した。

文献: Baharoglu MI, et al.; PATCH Investigators. Platelet transfusion versus standard care after acute stroke due to spontaneous cerebral haemorrhage associated with antiplatelet therapy (PATCH): a randomised, open-label, phase 3 trial. Lancet 2016; 387: 2605-13. pubmed
関連トライアル ARCTIC-Interruption, CADISS, CASISP, CHANT antiplatelet use, DIAS-3, EARLY, ECASS III additional outcomes, ESCAPE, HERMES, IST-3 18-month follow-up, IST-3 brain imaging signs, SAINT postthrombolysis ICH, SITS-ISTR
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