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PEGASUS-TIMI 54 peripheral artery disease
結論 心筋梗塞既往の安定患者において,末梢動脈疾患(PAD)合併は虚血リスク上昇と関連した。これらの患者では,ticagrelorは主要有害心事象(MACE)を抑制し,絶対リスク減少が大きかった。また,主要有害肢イベントも抑制した。
コメント 末梢血管疾患単独の症例の心血管イベントリスクは,必ずしも高いとは言えない。しかし,末梢血管疾患の症例では冠動脈,脳血管など他の血管の病変を合併している症例が多い。PEGASUS-TIMI 54試験では,発症後1~3年の心筋梗塞の症例が対象とされた。末梢血管疾患を合併している症例は,冠動脈疾患と末梢血管疾患の合併症例と理解される。PEGASUS-TIMI 54試験には,日本からも900例以上の症例が登録された。アジアの症例を十分に含む本試験のデータベースは,発症後1~3年の心筋梗塞症例の5%に末梢血管疾患を合併することを示した。全体の5%のサブ解析とのこともあり,ticagrelorの心血管イベント予防効果は末梢血管疾患の有無により交互作用はなかった。もともとイベントリスクの高い症例であるため,アスピリン群とのイベント発症率の差は大きい。
末梢血管疾患を対象としてticagrelorの有効性を検証するEUCLID試験が進行中である。本研究は末梢血管疾患を合併した心筋梗塞症例における有効性のサブ解析であるが,末梢血管を対象としたEUCLID試験の結果にも期待が高まる。(後藤信哉

目的 心筋梗塞既往患者では,PADは虚血および出血リスク上昇と関連する。本解析は,心筋梗塞既往患者を対象とした PEGASUS-TIMI 54試験において,症候性PADに関連した虚血および出血リスク,ならびにticagrelorのMACEおよび主要有害肢イベントに対する影響はPADの存在により変わるか,検討を行った。有効性の主要評価項目:MACE(心血管死+心筋梗塞+脳卒中の複合)。安全性主要評価項目:TIMI出血基準大出血
デザイン PEGASUS-TIMI 54は無作為割付,二重盲検,プラセボ対照試験。
セッティング
期間
対象患者 21,162例。自然発症心筋梗塞発症から1~3年以内で,以下の追加リスクを1つ以上有する症例(65歳以上,薬物療法を要する糖尿病,2度目の自然発症心筋梗塞既往,多枝疾患,慢性腎障害[クレアチニンクリアランス<60mL/分])。
【除外基準】試験期間中にP2Y12受容体拮抗薬または抗凝固薬投与を予定,出血性疾患または脳梗塞/頭蓋内出血既往,中枢神経系腫瘍,頭蓋内血管異常,消化管出血から6ヵ月以内,大手術から1ヵ月以内。
【PAD合併の有無別の患者背景】年齢中央値は非PAD患者65歳,PAD患者66歳(p=0.0003)。それぞれの女性24.01%,22.22%。BMI 27.8 kg/m2,27.8 kg/m2。高血圧既往77.14%,84.51%(p<0.0001)。高コレステロール血症76.53%,80.84%(p=0.0008)。現喫煙15.95%,30.18%(p<0.0001)。糖尿病既往31.59%,42.17%(p<0.0001)。脳卒中/TIA既往1.56%,3.06%(p=0.0001)。多枝疾患59.07%,64.39%(p=0.0004)。
治療法 PEGASUS-TIMI 54は90mg群(ticagrelor 90mg 1日2回投与),60mg群(同60mg 1日2回投与),プラセボ群に無作為割付。全例にaspirinを投与した。
追跡完了率
結果

●評価項目
既知のPADは1,143例(5%)であった。
プラセボ群では,PAD患者(404例)で非PAD患者(6,663例)にくらべ,3年後のMACE発症率が高く(19.3% vs. 8.4%,p<0.001),この差はベースライン補正後も維持された(補正後HR 1.60,95%CI 1.20-2.13,p=0.0013)。また,プラセボ群に割付けされた既知のPAD患者は急性肢虚血(1.0% vs. 0.1%),末梢血管血行再建術(9.15% vs. 0.46%)の発症率が高かった。
ticagrelor群におけるMACE抑制効果はPADの有無に関わらず一貫していたが(交互作用p=0.41),MACEの絶対リスクが高いことから,PAD患者では3年後の絶対リスク減少が4.1%と大きかった(治療必要数25)。TIMI大出血のabsolute excessは0.12%(有害必要数834)。
60mg群では心血管イベント,全死亡において,特に転帰良好であった。
2つの用量を統合したticagrelor群では,主要有害肢イベントのリスクが抑制された(HR 0.65,95%CI 0.44-0.95,p=0.026)。

●有害事象

文献: Bonaca MP, et al. Ticagrelor for Prevention of Ischemic Events After Myocardial Infarction in Patients With Peripheral Artery Disease. J Am Coll Cardiol 2016; 67: 2719-28. pubmed
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