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DAPT diabetes mellitus
結論 糖尿病患者において,冠動脈ステント留置後にチエノピリジン系薬剤を1年超継続すると,心筋梗塞リスクが抑制されたが,この効果は非糖尿病患者に比べると弱かった。
コメント DAPT試験,PEGASUS-TIMI 54試験が心筋梗塞後の抗血小板併用の長期使用を推奨する根拠となっている。しかし,DAPT試験とPEGASUS-TIMI 54試験には大きな相違がある。筆者の目からみた最大の相違は,PEGASUS-TIMI 54試験には相応のアジア人症例が含まれているのに対し,DAPT試験にはアジアからの症例登録がなかったという点である。アジア人は肥満せずに糖尿病になるので,PEGASUS試験とDAPT試験の糖尿病解析には相応の差があると想定したが,実際に両者の差はほとんどなかった。糖尿病症例は血管イベントが多く,より抗血小板介入を要するグループなのだろう。(後藤信哉

目的 糖尿病患者では,冠動脈ステント留置後の虚血イベント再発リスクが非糖尿病患者にくらべ高い。本解析はDAPT試験の事前設定解析として,糖尿病患者におけるチエノピリジン系薬剤継続投与のベネフィットおよびリスクが非糖尿病患者と同様であるか,検討を行った。有効性主要評価項目:ステント血栓症(ARC基準definite/probable),主要心/脳血管事象(MACCE)。安全性主要評価項目:GUSTO出血基準中等度~重度の出血
デザイン DAPTは無作為割付,二重盲検,プラセボ対照試験。NCT00977938。
セッティング
期間
対象患者 11,648例(糖尿病患者3,391例+非糖尿病患者8,257例)。冠動脈ステント留置後,チエノピリジン系薬剤+アスピリンを12ヵ月投与しても虚血/出血イベントがなく,治療の同意が得られた患者。
【除外基準】-
【糖尿病の有無別の患者背景】平均年齢は糖尿病患者62.7歳,非糖尿病患者60.8歳。それぞれの女性30.1%,23.1%。BMI 32.5,29.5。高血圧87.9%,67.4%。喫煙20.8%,30.1%。脳卒中/一過性脳虚血発作4.7%,2.9%。心筋梗塞既往24.0%,20.3%。PCIの適応:急性冠症候群21.9%,34.3%,不安定狭心症16.5%,15.3%(p=0.12),安定狭心症39.4%,34.1%。チエノピリジン系薬剤(p=0.004):clopidogrel 66.4%,69.2%,prasugrel 33.6%,30.8%。当該手技のステントの種類:薬剤溶出性ステント89.6%,83.9%,ベアメタルステント10.4%,16.1%。(p値を示した項目以外すべてp<0.001)。
治療法 ステント留置後,aspirin+clopidogrelまたはprasugrelを12ヵ月投与。12ヵ月後,MACCEならびに出血がなく,チエノピリジン系薬剤のアドヒアランスが良好な症例(14日を超える中断がなく,服用率が80~120%)について,以下の2群に無作為割付を行った。
30ヵ月群:5,862例(糖尿病患者1,737例+非糖尿病患者4,125例)。上記DAPTをさらに18ヵ月継続(DAPT期間は計30ヵ月)。
12ヵ月群: 5,786例(1,654例+4,132例)。aspirin単独投与(DAPT期間は12ヵ月)。
追跡完了率 追跡完了/生命状態のデータが得られたのは糖尿病患者95.5%,非糖尿病患者95.2%。
結果

●評価項目
無作為割付後,糖尿病患者では非糖尿病患者にくらべ,MACCE(6.8% vs. 4.3%,p<0.001),死亡(2.5% vs. 1.4%,p<0.001),心筋梗塞(4.2% vs. 2.6%,p<0.001)が増加したが,ステント血栓症(0.8% vs. 0.9%,p=0.79),中等度~重度の出血(2.1% vs. 1.9%,p=0.48)は同程度であった。
30ヵ月群と18ヵ月群の比較において,ステント血栓症では交互作用を認めなかった(糖尿病患者:30ヵ月群0.5% vs. 18ヵ月群1.1%,p=0.06,非糖尿病患者:0.4% vs. 1.4%,p<0.001,交互作用のp=0.21)。
心筋梗塞については,糖尿病患者ではチエノピリジン系薬剤継続によるリスク低減効果は軽度であった(糖尿病患者:30ヵ月群3.5% vs. 18ヵ月群4.8%,p=0.058,非糖尿病患者:1.6% vs. 3.6%,p<0.001,交互作用のp=0.02)。
チエノピリジン系薬剤継続による出血リスクは糖尿病患者と非糖尿病患者で同様であった(交互作用のp=0.61)。

●有害事象

文献: Meredith IT, et al.; DAPT Study Investigators. Diabetes Mellitus and Prevention of Late Myocardial Infarction After Coronary Stenting in the Randomized Dual Antiplatelet Therapy Study. Circulation 2016; 133: 1772-82. pubmed
関連トライアル ARCTIC-Interruption, CHARISMA bleeding complications, CHARISMA subgroup analysis, CREDO, DAPT, DAPT BMS or DES, DAPT late mortality, DAPT myocardial infarction, DECLARE-DIABETES, DECLARE-LONG II, DES留置後長期DAPTによる死亡率, EXCELLENT, ISAR-SAFE, ITALIC, j-Cypher, OPTIMIZE, PRODIGY, PRODIGY impact of clinical presentation, PRODIGY in-stent restenosis, REAL-LATE / ZEST-LATE, RESET, SECURITY, SPIRIT III, Thukkani AK et al, TL-PAS, TRA 2P-TIMI 50 diabetes mellitus, TRA 2P-TIMI 50 stent thrombosis, TRA 2P-TIMI 50 thienopyridine, TRILOGY ACS elderly patients, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 diabetes, TRITON-TIMI 38 PCI, ステント留置術施行患者におけるTAPTの有効性および安全性
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