抗血栓トライアルデータベース
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Jones DW et al Dual antiplatelet therapy reduces stroke but increases bleeding at the time of carotid endarterectomy
結論 頸動脈血管内膜切除術(CEA)術前の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は,施行後,神経学的イベントを40%減少させたが,出血のための再手術を増加させた。全体的な神経保護効果がみられたことから,周術期のDAPT継続は正当化された。CEA施行患者全例に対しDAPTを開始することは,神経学的合併症減少につながると考えられる。
コメント 大規模データベースを用いた,頸動脈内膜剥離術の周術期抗血栓療法に関する検討で,実臨床に有意義な分析である。2剤抗血小板療法は発症リスクがより高い群に行われているが,無症候性狭窄でベネフィットがより大きい点が興味深い。(岡田靖

目的 CEA施行患者において,周術期のclopidogrel投与に関しては意見が分かれている。本研究は,術前のDAPT(aspirin+clopidogrel)の院内転帰に対する影響について検討した。主要評価項目:出血のための再手術,血栓性合併症(脳卒中,一過性脳虚血発作[TIA],心筋梗塞)。
デザイン 前向き登録研究の後ろ向き解析。
セッティング 多施設(約350施設),米国。
期間 登録期間は2003年~2014年。
対象患者 28,683例。Vascular Quality Initiative(VQI)データベースに登録された,初回CEA施行例全例。
【除外基準】同側CEA施行歴,頸動脈ステント施行歴,緊急手術施行例,CABGなどの手術を同時に施行する症例,抗血栓療法非実施,clopidogrel単独投与,aspirin/clopidogrel以外の抗血小板療法(prasugrel,ticlopidine,ticagrelorなど)をうけている症例。
【患者背景】平均年齢はaspirin単独群70.4歳,DAPT群69.6歳。それぞれの男性59.5%,63.2%。同側の神経学的症状22.2%,31.2%。高血圧88.2%,90.9%。冠動脈疾患26.1%,39.3%。うっ血性心不全8.4%,11.0%。糖尿病32.7%,38.2%。術前の薬物療法:β遮断薬63.4%,69.0%,スタチン79.5%,85.4%,抗凝固薬9.0%,3.1%。手術の因子:ドレーン留置39.9%,46.1%,heparin 99.0%,98.9%,protamine 59.1%,68.2%。シャント使用51.1%,57.3%。ここにあげた項目は,heparinを除きすべてp<0.001
治療法 手術前≦48時間の抗血小板療法より,aspirin単独群21,624例(75%),DAPT群7,059例(25%)に分けて解析を行った。DAPT施行例が手術の5日前にclopidogrelを中止した場合は,aspirin単独群とした。
追跡完了率
結果

●評価項目
多変量解析によると,DAPTは出血による再手術施行の増加と独立して関連していた一方,TIA/脳卒中,全脳卒中,脳卒中/死亡とは保護的に関連していた。
出血による再手術施行:DAPT群1.2%,aspirin単独群0.7%,OR 1.71,95%CI 1.20-2.42,p=0.003。
TIA/脳卒中:1.0%,1.3%,OR 0.61,0.43-0.87,p=0.007。
全脳卒中:0.7%,0.8%,OR 0.63,0.41-0.97,p=0.04。
脳卒中/死亡:0.8%,1.0%,OR 0.66,0.44-0.98,p=0.04。
プロペンシティスコア解析(各群4,548例)によると,DAPT群は出血による再手術が多く(1.3%,0.7%,p=0.004),TIA/脳卒中(0.9%,1.6%,p=0.002),全脳卒中(0.6%,1.0%,p=0.04),脳卒中/死亡(0.7%,1.2%,p=0.03)が少なかった。
プロペンシティスコア合致コホート内において,DAPT群は頸動脈症状の状態にかかわらず,出血による再手術施行が多かった(無症候性頸動脈疾患:DAPT群1.2%,aspirin単独群0.7%,p=0.05,症候性頸動脈疾患:1.7%,0.8%,p=0.03)。無症候性の患者では,DAPTはTIA/脳卒中(0.6%,1.5%,p<0.001),全脳卒中(0.4%,0.9%,p=0.01),脳卒中/死亡(0.5%,1.0%,p=0.02)を抑制したが,症候性頸動脈疾患のプロペンシティスコア合致コホートにおいては,これらの有意差は認めなかった。

●有害事象

文献: Jones DW, et al. Dual antiplatelet therapy reduces stroke but increases bleeding at the time of carotid endarterectomy. J Vasc Surg 2016; 63: 1262-70.e3. pubmed
関連トライアル Alcocer F et al, APPRAISE-2 post hoc analysis, CARESS, CREDO, DAPT BMS or DES, Saadeh C et al, SPS3, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較(2013), 脳卒中/TIA後のDAPTによる二次予防
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