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CHANCE functional outcome
結論 軽症脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)患者における90日後の機能転帰について,clopidogrel+aspirin併用はaspirin単独に比べすぐれているようであり,これは併用群で後遺障害のある脳卒中が抑制されたことと一致していた。
コメント 軽症脳梗塞やTIAの急性期におけるクロピドグレルとアスピリンの3週間の併用療法が,アスピリン単独療法よりも発症90日間の再発予防に有効であることを示したCHANCE研究のサブ解析である。本解析より,同併用療法の方が90日後の機能予後もより良好であることが示された。本邦では,同併用療法をアルガトロバンやオザグレルナトリウム静注療法とどのように使い分けるかに関する検討が必要であろう。(矢坂正弘

目的 軽症脳卒中またはTIA発症後,ただちに強力な抗血小板療法を行うことにより,後遺障害の低減やQOLの改善が得られるかについては不明である。本CHANCE試験サブ解析では,90日後の機能的転帰およびQOLについて,clopidogrel+aspirin併用をaspirin単独と比較した。主要評価項目:90日後の後遺障害または死亡(modified Rankin Score:mRS2~6),QOL不良(EQ-5D≦0.5)。
デザイン CHANCEは無作為割付,二重盲検試験。NCT00979589。
セッティング 多施設(114施設),中国。
期間 試験期間は2009年10月~2012年7月。
対象患者 5,131例。CHANCE対象患者(40歳以上,症状発現から24時間以内に試験薬の投与開始が可能な,軽症脳梗塞[NIHSSスコア≦3]または高リスクのTIA[ABCD2スコア≧4])患者5,170例のうち,90日後のmRSのデータが得られた症例。
【主要除外基準】,当該症状発症前にmRS>2の後遺障害を有する。
【患者背景】平均年齢はaspirin単独群62.0歳,併用群62.7歳。各群の女性34.7%,33.0%。病歴:脳卒中/TIA 22.4%,23.0%,高血圧65.2%,66.5%,脂質異常症10.9%,11.2%,冠動脈疾患4.6%,5.0%,既知の心房細動/粗動3.4%,3.4%。ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値1,2。当該イベント前のmRS 0:83.0%,82.0%,1:14.3%,15.3%,2:2.7%,2.7%。当該イベント:軽症脳卒中71.8%,72.2%,高リスクTIA 28.2%,27.8%。
治療法 CHANCEは以下の2群に無作為割付。
併用群:2,562例。clopidogrel初期用量300mg,第2~90日に75 mg/日投与し,aspirinを第2~21日に 75 mg/日併用。
aspirin単独群:2,569例。第2~90日に75 mg/日を投与。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
90日後の後遺障害または死亡は併用群254例(9.9%)で,aspirin単独群299例(11.6%)にくらべ抑制された(p=0.046)。
QOL不良は併用群 142例(5.5%)で,aspirin単独群175例(6.8%)にくらべ抑制傾向がみられた(p=0.06)。
90日の追跡期間中において,脳卒中は515例(後遺障害なし130例+あり385例)発症した。試験薬群別では,併用群では後遺障害なし46例(1.8%),あり166例(6.5%),aspirin単独群ではそれぞれ84例(3.3%),219例(8.5%)であった(p<0.001)。
脳卒中発症の有無別の層別化解析では,90日後の機能転帰およびQOLについての群間差は認めなかった。
[脳卒中発症なし(4,616例)]
90日後のmRS 2~6:OR 1.05,95%CI 0.77-1.43,p=0.77。
QOL不良:OR 1.07,0.52-2.20,p=0.86。
[脳卒中発症あり(515例)]
90日後のmRS 2~6:OR 1.27,95%CI 0.82-1.95,p=0.28。
QOL不良:OR 1.19,0.82-1.73,p=0.35。

●有害事象

文献: Wang X, et al.; CHANCE investigators. Effect of clopidogrel with aspirin on functional outcome in TIA or minor stroke: CHANCE substudy. Neurology 2015; 85: 573-9. pubmed
関連トライアル CAPRIE 2000, CARESS, CHANCE, CHARISMA, CHARISMA stroke severity, CHARISMA subgroup analysis, CLASSICS, CREDO, CURRENT-OASIS 7 undergoing PCI, EARLY, EXPRESS risk of bleeding, FASTER, MATCH, PRoFESS, PRoFESS acute ischemic stroke, PRoFESS disability and cognitive function, PRoFESS post hoc analysis, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SPS3, SPS3 post hoc analysis, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較, 急性脳梗塞/TIA患者への抗血小板療法:2剤併用療法と単剤療法の比較(2013), 脳卒中/TIA後のDAPTによる二次予防
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