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XALIA XA inhibition with rivaroxaban for Long-term and Initial Anticoagulation in venous thromboembolism
結論 日常診療下の深部静脈血栓症(DVT)患者に対し,rivaroxabanは標準的抗凝固療法をうける患者にくらべ,若齢で,リスクの低い症例に処方されていた。rivaroxaban群における大出血および静脈血栓塞栓症(VTE)再発率は低く,第III相試験の結果と一致していた。また,プロペンシティスコア補正解析により,rivaroxabanは幅広い患者集団に対し標準的抗凝固療法と同程度に安全かつ有効であることが確認された。一方,標準的抗凝固療法にくらべrivaroxaban群では入院期間の短縮が認められ,経済的ベネフィットが期待されることが示唆された。
コメント 本研究は,実臨床における静脈血栓塞栓症に対する非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬の効果と安全性を検討した,世界初の多施設共同前向き観察研究である。厳格な基準に従い選別された患者のみが組み入れられた第Ⅲ相試験と異なり,実臨床でさまざまな背景を有する患者に使用された結果が報告されている。当然,患者背景は大きく異なるものの,プロペンシティスコア解析にて補正後にも,有意差はないが標準治療と比較してリバーロキサバンで大出血,VTE再発ともに低率と重要な情報を提供してくれている。(山田典一

目的 深部静脈血栓症(DVT)および肺塞栓症(PE)の治療ならびに再発予防について,rivaroxabanの有効性,安全性はEINSTEIN DVTならびにEINSTEIN PEなどの第III相試験で示されているが,日常診療下の幅広い患者層におけるデータが必要とされている。本研究は,日常診療における典型的な症候性DVTの患者において,rivaroxabanの安全性と有効性を標準的抗凝固療法と比較する国際多施設共同の前向き観察研究である。安全性・有効性主要評価項目:大出血,VTE再発,全死亡。
デザイン 前向き観察研究。NCT01619007。
セッティング 多施設,21ヵ国(欧州,カナダ,イスラエル)。
期間 登録期間は2012年6月26日~2014年3月31日。追跡期間は12ヵ月以上。
対象患者 4,768例。18歳以上で,症候性DVTの客観的確定診断を受け,3ヵ月以上の抗凝固療法の適応を有する患者。rivaroxabanがPEに対して認可された後はDVTとPEの合併も対象としたが,PE単独は含めなかった。
【患者背景】年齢中央値はrivaroxaban群59歳,標準療法群66歳*。それぞれの男性55%,52%。当該疾患がDVT単独 92%,88%*。DVTの種類(p=0.0033):誘発因子を有する34%,38%,特発性65%,61%。活動性がん6%,19%*。大出血既往1%,3%(p=0.0002)。*p<0.0001
治療法 抗凝固療法の種類,用量,期間は医師の裁量で行われた。
rivaroxaban群:試験薬を1回以上投与された安全性の解析対象集団2,619例(プロペンシティスコア補正集団2,505例)。初期治療として最長48時間までのheparinまたはfondaparinuxを投与された患者も対象としたが,両剤を2~14日間またはビタミンK拮抗薬が1~14日間投与された後にrivaroxabanに変更された患者は,早期変更群として別解析とした。94%に用法・用量とおりの初期用量15mg 1日2回投与されており,73%は21日後に20mg 1日1回投与に切り替えられた。
標準療法群:2,149例(2,010例)。24%にはheparinまたはfondaparinuxのみ,76%にはheparinまたはfondaparinux+ビタミンK拮抗薬(VKA)併用投与が行われた。VKA投与例におけるTTRは56.2%。
治療期間の中央値は184日。
追跡完了率
結果

●評価項目
大出血や死亡はrivaroxabanで有意に抑制され,VTEの再発もrivaroxaban群で低値であった。群間の患者背景の潜在的不均衡のため,プロペンシティスコアにより補正した解析を行った結果,大出血やVTEの再発に有意差は認めなかったが,死亡はrivaroxaban群で抑制傾向を認めた。
大出血:rivaroxaban群19例(0.8%) vs. 標準療法群43例(2.1%),HR 0.77,95%CI 0.40-1.50,p=0.44。
VTE再発:36例(1.4%) vs. 47例(2.3%),HR 0.91,0.54-1.54,p=0.72。
全死亡:11例(0.4%) vs. 69例(3.4%),HR 0.51,0.24-1.07,p=0.074。
その他の評価項目については,主要有害心血管イベント(0.4% vs. 0.6%,p=0.50),その他の血栓塞栓イベント(0.2% vs. 0.3%)ともに両群で同程度であったが,静脈血栓塞栓症による入院日数(最小二乗平均)はrivaroxaban群5.0日と,標準療法群7.7日にくらべ短かった(幾何平均比0.66,95%CI 0.61-0.72,p<0.001)。

●有害事象
安全性解析対象集団において,治療により発現した有害事象はrivaroxaban群944例(36.0%),標準療法群805例(37.5%)で,同程度であった。

文献: Ageno W, et al. Safety and effectiveness of oral rivaroxaban versus standard anticoagulation for the treatment of symptomatic deep-vein thrombosis (XALIA): an international, prospective, non-interventional study. Lancet Haematol 2016; 3: e12-21. pubmed
関連トライアル ATLAS ACS-TIMI 46 , Campbell IA et al, CASSIOPEA, CATCH, EINSTEIN-DVT and EINSTEIN-Extension, EINSTEIN-PE, Hokusai-VTE, J-EINSTEIN DVT and PE, Matisse Study, PADIS-PE, PREVAIL, RECORD1, RECORD2, RECORD3, RECORD4, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF temporary interruption, THRIVE, van Gogh Studies, VTEの治療ストラテジー:8つの抗凝固療法の比較
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