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TRILOGY ACS prior clopidogrel
結論 急性冠症候群(ACS)による入院前にclopidogrelの投与歴があり,その後も薬物療法のみの治療を継続した患者では,clopidogrelを入院時に開始した患者にくらべ,心血管(CV)イベント発症リスクが高かった。さらにより強力な抗血小板薬prasugrelでも,clopidogrelにくらべ,このリスクを抑制しなかった。

目的 血行再建術をうけず,薬物療法で管理された,抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)のみで管理されたACS患者において,ACS発症前のclopidogrel投与がは長期の虚血・出血転帰に影響するか,割付治療(されたclopidogrel+aspirinまたは対prasugrel+aspirin)の治療効果を修飾するか検討した。有効性主要評価項目: CV心血管死,心筋梗塞(MI),脳卒中の複合。安全性主要評価項目: GUSTO出血基準の重篤/生命にかかわる出血の複合。
デザイン TRILOGY ACSは無作為割付,二重盲検,第III相試験。NCT 00699998。
セッティング 多施設(966施設),52ヵ国。-
期間 治療期間は最長30ヵ月。
対象患者 8,927例。薬物療法で管理されたACS患者。
【除外基準】-
【患者背景】年齢中央値はclopidogrel院内投与群66歳,clopidogrel既投与群64歳(p<0.001)。各群の女性は40.5%,35.0%。疾患分類:不安定狭心症24.1%,43.0%,NSTEMI 75.9%,57.0%。心血管危険因子:CAD家族歴28.8%,34.5%,高血圧81.4%,82.7%,脂質異常症58.1%,61.2%,糖尿病37.0%,41.1%,。心血管疾患既往:MI既往35.5%,63.8%,PCI歴16.7%,52.1%,慢性心不全既往14.7%,24.5%。併用薬:アスピリン:aspirin<100mg/日32.5%,36.2%,100~250mg/日53.2%,52.4%,>250mg/日7.0%,7.3%,β遮断薬77.4%,79.2%,ACE阻害薬/ARB 76.4%,73.1%,スタチン84.2%,83.0%,PPI プロトンポンプ阻害薬25.5%,25.2%。
治療法 TRILOGY ACSは,割付前のclopidogrel投与の有無により以下の3通り(①服用経験がなく,当該ACSイベントから72時間以内,②当該イベント発症の72時間以内に院内で負荷用量≧300mg投与後,無作為割付まで75mg/日投与,③ACSによる入院前に5日以上,その後無作為割り付けまで毎日75mg/日を服用)に層別化し,当該イベント発症から10日以内にclopidogrel群,prasugrel群に無作為割付。本サブ解析では,clopidogrel院内投与例(6,513例),clopidogrel既投与例(2,414例)を比較した。

clopidogrel投与歴なし:当該ACS発症から72時間以内に無作為割付された症例。
clopidogrel院内投与:当該ACS発症から72時間以内にclopidogrelを負荷用量≧300mg,その後割付まで75mg/日投与された症例。
clopidogrel既投与:当該ACS発症により入院する前にclopidogrel 75mg/日を5日以上投与されており,その後も割付けまで75mg/日投与された症例群または。
prasugrel群(:維持用量10mg[75歳未満は10mg/日,75歳以上かつ/または体重60kg未満は5mg]を投与に無作為割付。本サブ解析では②(院内投与6,513例)と③(既投与2,414例)を比較した。なお,clopidogrel投与歴なしの症例は,prasugrelを負荷用量30mg投与後,維持用量10mg/日(75歳以上かつ/または体重50kg未満:5mg/日)を投与。clopidogrel院内投与/既投与の症例は,prasugrelを維持用量10mg(75歳未満は10mg/日,75歳以上かつ/または体重60kg未満は5mg)を投与。
clopidogrel群:clopidogrel投与歴なしの症例は,clopidogrelを負荷用量300mg投与後,維持用量75mg/日を投与。clopidogrel院内投与/既投与の症例は,維持用量75mg/日を投与。
全例に対し,低用量aspirinの併用を推奨した。
本サブ解析では,clopidogrel院内投与例(6,513例),clopidogrel既投与例(2,414例)を比較した。
追跡完了率
結果

●評価項目
clopidogrel既投与例のほうが院内投与例にくらべ,有効性主要評価項目の発症率が高かった。
CV死+MI+脳卒中の複合:20.8%,18.2%,HR 1.22,95%CI 1.08-1.37,p=0.002)。
各項目についても,脳卒中を除き,clopidogrel既投与例のほうが高かった。
CV心血管死:11.3%,9.3%,HR 1.24,1.05-1.47,p=0.013。
MI:12.5%,10.5%,HR 1.27,1.09-1.49,p=0.003。
脳卒中:1.4%,2.5%,HR 0.66,0.43-1.02,p=0.064。
全死亡:13.1%,11.2%,HR 1.17,1.00-1.37,p=0.044。
出血イベントに差はみられなかった。
安全性主要評価項目は同程度であった(GUSTO中等度/重度の出血:2.3%,3.4%,HR 0.88,0.61-1.27,p=0.505)。
clopidogrel院内投与は既投与にくらべ,虚血・転帰,出血転帰に対する割付け治療の効果(prasugrel対clopidogrel)に影響しなかった(すべての交互作用のp>0.05)

●有害事象

文献: Chin CT, et al. Effect of prior clopidogrel use on outcomes in medically managed acute coronary syndrome patients. Heart 2016; 102: 1221-9. pubmed
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