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Sanden P et al Bleeding complications in venous thrombosis patients on well-managed warfarin
結論 warfarinによる静脈血栓塞栓症(VTE)治療は安全で,少なくとも若齢患者における出血性合併症発現率は低かった。非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)の時代でも,warfarinは同程度の安全性を有し,有効な選択肢である。

目的 抗凝固療法はVTE患者の死亡および再発予防に有効であるが,出血リスクが同時に上昇する。心房細動患者における試験では,TTRの高いwarfarin治療は出血合併症リスク低減と関連することが示された。VTEの試験ではwarfarinとNOACの出血リスクは同程度であったが,これらの試験ではwarfarin群のTTRが比較的低く,出血リスクへの影響が考えられる。本論文では,スウェーデンの全国登録研究Auriculaを用い,クオリティの高いwarfarin治療をうけている患者において,出血性合併症の発現率および予測因子を検討した。
デザイン 後ろ向き登録研究。
セッティング 多施設,スウェーデン。
期間 試験期間は2006年1月1日~2011年12月31日。
対象患者 13,859例。18歳以上,当該期間にVTEのためwarfarinを投与された患者。warfarin投与期間が複数ある患者は,最初のみ対象とした。
【除外基準】試験期間開始前にwarfarinを開始した症例。
【出血発現の有無別の患者背景(あり372例,なし13,487例)】治療開始時平均年齢は出血発現例72.2歳,非発現例65.0歳。それぞれの女性54.3%,46.9%。下肢深部静脈血栓症(DVT)38.2%,48.7%,肺塞栓症(PE)52.2%,41.3%。DVT+PE合併6.5%,5.6%。
治療法 全例にwarfarinを投与。データが入手できた9,456例におけるaspirin投与率は9.5%。
追跡完了率
結果

●評価項目
全治療期間の平均TTRは71.1%,参加施設の平均TTRは75.2%。
ISTH大出血*発現率は2.36/100(95%CI 2.12-2.60)治療・年,頭蓋内出血発現率は0.38/100(0.28-0.48)治療・年,治療開始後最初の6ヵ月間における発現率は,それぞれ0.67%,0.17%。
ISTH大出血,頭蓋内出血とも,高齢になるにつれて上昇した。
大出血:60歳未満(4,441例)1.25/100治療年(95%CI 0.93-1.56),60~80歳(6,786例)2.32/100治療年(2.00-2.65),80歳以上(2,632例)4.33/100治療年(3.58-5.07)。
頭蓋内出血:0.21/100治療年(0.08-0.34),0.38/100治療年(0.25-0.51),0.67/治療年(0.37-0.97)。
出血合併症を増加させる多変量補正後の独立予測因子は,加齢(HR 1.023,95%CI 1.013-1.033,p<0.001),高血圧(HR 1.29,1.02-1.64,p=0.03)心不全(HR 1.55,1.13-2.12,p=0.06),慢性肺疾患(HR 1.43,1.04-1.96,p=0.03),貧血(HR 1.77,1.29-2.44,p<0.001),大出血既往(HR 1.75,1.27-2.42,p=0.001),アルコール依存(HR 3.35,1.97-5.71,p<0.001)。
死亡は2.57/100(2.32-2.82)治療・年であった。
*:本論文ではデータが得られなかったため,ISTH大出血の項目のうちヘモグロビン値の20g/L以上の低下をもたらす出血,2単位以上の輸血を要する出血は除外した。

●有害事象

文献: Sandén P, et al. Bleeding complications in venous thrombosis patients on well-managed warfarin. J Thromb Thrombolysis 2016; 41: 351-8. pubmed
関連トライアル Carrero JJ et al, CATCH, Clark NP et al, DURAC, ELATE, Hokusai-VTE East Asia patients, INSPIRE, RE-COVER II
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