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Nakamura K et al Silent cerebral ischemic lesions after catheter ablation of atrial fibrillation in patients on 5 types of periprocedural oral anticoagulation - predictors of diffusion-weighted imaging-positive lesions and follow-up magnetic resonance imaging
結論 カテーテルアブレーション周術期にwarfarinを継続した患者または非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)を中断した患者において,長期持続性心房細動およびdabigatranの使用は手技後の無症候性脳虚血病変(SCIL)の独立リスク因子であった。しかし,SCILの大部分はその後消失した。
コメント アブレーション周術期の無症候性脳虚血信号陽性に,NOACの中ではダビガトランが有意に関連していた。しかし,経過観察のMRでほとんどの信号は消失し,脳梗塞に進展した信号はダビガトランではなく,他のNOACで少数みられたという。また,症候性脳梗塞や全身塞栓症はみられていない。今後,NOAC継続下でのアブレーションの可否やその時に無症候性脳虚血信号の発現がどの程度減少するのか,研究が望まれる。(矢坂正弘

目的 カテーテルアブレーション(以下,アブレーションと略)施行後のSCILの予測因子,またSCILが脳梗塞に進展するかについては,これまで十分に検討されていない。本研究では,5種類の抗凝固薬を投与されている心房細動患者において,検討を行った。
デザイン 後ろ向き観察研究。
セッティング 単施設,日本。
期間 登録期間は2014年7月~2015年10月。
対象患者 286例。アブレーション前に経口抗凝固薬(OAC)を投与され,アブレーション施行翌日にMRIをうけた患者連続例。
【除外基準】<20歳,機械弁,透析,妊娠,heparinアレルギーまたはheparin起因性血小板減少症,MRI禁忌。
【患者背景】年齢中央値はwarfarin群69歳,dabigatran群66歳,rivaroxaban群65歳,apixaban群67歳,edoxaban群68歳。各群の男性69.6%,87.2%,73.0%,65.5%,76.5%。発作性心房細動37.0%,57.4%,57.3%,50.6%,47.1%。脳卒中/TIA既往13.0%,14.9%,4.5%,5.7%,11.8%。CHADS2スコア1.5,1,1,1,1(p=0.017)。
治療法 アブレーション前のOACは以下の通り。
warfarin群:46例。≧70歳ではINR 1.6~2.6,<70歳では同2.0~3.0となるよう用量調整。夜の服用とし,周術期中継続した。22例(47.8%)では手技前日のINRが治療域未満であった。
NOACは手技前日まで投与し,当日は中止。再開は手技の翌朝とした。手技前の中断時,未分画heparinまたは低分子量heparinは用いなかった。
dabigatran群:47例(低用量投与31例)。110mgまたは150mg,1日2回投与。
rivaroxaban群:89例(同36例)。10mgまたは15mg,1日1回朝投与。
apixaban群:87例(同30例)。2.5mgまたは5mg,1日2回投与。
edoxaban群:17例(同16例)。30mgまたは60mg,1日1回朝投与。
アブレーション施行時のheparin投与は,大腿部静脈穿刺直後にwarfarin群では5,000単位,NOAC群では10,000単位をボーラス投与し,その後は500~1,000単位/時および追加ボーラス投与により,活性化全血凝固時間(ACT)300~350秒を維持した。施行終了時にはheparinをいったん中止し,heparinの抗凝固作用を部分的に中和するため,術者の裁量によりprotamineを投与した。穿刺部位の止血および心囊液貯留のないことを確認した後,翌日の抗凝固薬再開まで24時間あたり10,000単位の継続投与を行った。
アブレーション後は3ヵ月以上OACを継続し,それ以降の中止の判断は担当医の裁量とした。
追跡完了率
結果

●評価項目
アブレーション後,DWI-MRIにて40例(14.0%),58件のSCILを認めた(warfarin群8.7%,dabigatran群23.4%,rivaroxaban群9.0%,apixaban群16.1%,edoxaban群17.6%)。
多変量解析によると,長期持続性心房細動(OR 2.912,95%CI 1.359-6.240,p=0.006)およびdabigatranの使用(OR 2.287,1.030-5.074,p=0.042)はSCILの予測因子であった。
SCILが認められた患者は,warfarin群では全例手技前のINRが治療域であった。NOAC群では55.6%が低用量を投与されていた。
追跡MRIは34例,49件に行い,45件(91.8%)の病変は消失したが,4件は脳梗塞に進展した。脳梗塞に進展したSCILは,非進展例にくらべ,病変径が大きかった(中央値6.55 mm vs. 4.2 mm,p=0.002)。

●有害事象

文献: Nakamura K, et al. Silent Cerebral Ischemic Lesions After Catheter Ablation of Atrial Fibrillation in Patients on 5 Types of Periprocedural Oral Anticoagulation - Predictors of Diffusion-Weighted Imaging-Positive Lesions and Follow-up Magnetic Resonance Imaging. Circ J 2016; 80: 870-7. pubmed
関連トライアル COMPARE, Kaseno K et al, Lakkireddy D et al, Lakkireddy D et al, Nomura E et al, ROCKET AF cardioversion/ablation, ROCKET-AF persistent vs. paroxysmal, カテーテルアブレーション施行患者におけるdabigatranの安全性および有効性
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