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SITS-EAST stroke recurring within 3 months
結論 脳卒中既往から3ヵ月以内の虚血性脳卒中再発患者に対するalteplase投与は,初発脳卒中患者にくらべ,転帰を悪化させないようであった。患者を慎重に選択することが重要であるが,本知見より,これらの患者は血栓溶解療法により安全にベネフィットが得られるという再確認が得られ,一律に除外すべきでないことが示された。以前のイベントからどれだけ経過すれば,alteplaseが安全に投与可能であるかについては,更なる研究が必要である。
コメント rt-PA静注療法の欧米除外基準にあたる脳卒中既往3ヵ月以内の患者について,安全性や転帰を検討した意義ある研究である。ただし,初発患者との患者背景や亜病型が異なっており,再発例では抗凝固薬やスタチンの服用,超早期受診者の割合が高い可能性があることなど,選択バイアスの影響を考慮して解釈する必要がある。ちなみに,わが国のrt-PA静注療法適正治療指針第2版では,1ヵ月以内の脳梗塞の既往歴で適応外となっている。(岡田靖

目的 欧州におけるalteplaseの認可基準では,以前の脳卒中発症から3ヵ月以内の患者は治療から除外するべきとしている。しかし,脳卒中既往が治療の効果に影響するかについてはわかっていない。本解析では,血栓溶解療法をうける患者において,脳卒中既往から3ヵ月以内の虚血性脳卒中再発患者が占める割合を調査し,これらの患者は初発脳卒中患者にくらべ,出血性合併症や機能的転帰悪化が多いか,検討した。主要評価項目:(1)24時間後のECASS II基準症候性頭蓋内出血,(2)3ヵ月後の転帰良好(modified Rankin Score[mRS] 0~2),(3)7日後の神経学的改善(National Institute of Health stroke scale[NIHSS]のベースライン時から4点以上の上昇または0点への改善)。
デザイン 前向き登録研究SITS-EASTの後ろ向き解析。
セッティング 多施設(158施設),12ヵ国(中欧,東欧)。
期間 登録跡期間は2003年10月~2014年7月。
対象患者 13,007例。血栓溶解療法をうけた脳卒中患者連続例のうち,脳卒中既往および少なくとも24時間後の転帰データが入手できた症例。
【除外基準】なし。
【患者背景】年齢中央値は脳卒中既往3ヵ月以内例70歳,初発脳卒中例68歳。それぞれの男性62.7%,56.1%(p=0.038)。高血圧80.6%,73.5%(p=0.012)。心房細動29.7%,24.7%。糖尿病25.7%,21.1%。脂質異常症45.9%,30.6%(p<0.001)。脳卒中前のmRS(p<0.001)0: 40.4%,82.3%,1: 31.6%,8.5%,2~5: 28.0%,9.2%。脳卒中前の薬物療法:抗血小板薬51.0%,27.3%(p<0.001),スタチン39.1%,20.5%(p<0.001),経口降圧薬59.9%,54.8%。発症-治療時間中央値145分,150分。脳卒中重症度(NIHSS中央値)12,11。
治療法 血栓溶解療法静注。
追跡完了率
結果

●評価項目
13,007例のうち,初発脳卒中は11,221例(86%)で,脳卒中既往から3ヵ月以内の再発患者は249例(2%)であった。1,537例(12%)は脳卒中既往から3ヵ月以上経過していた。
3ヵ月以内の脳卒中既往患者は高血圧および脂質異常症の有病率が高かった。
24時間後の症候性頭蓋内出血,7日後の神経学的改善,3ヵ月後のmRS 0~2などについて,既往の有無による差異を認めなかった。
24時間後のECASS II基準症候性頭蓋内出血:既往あり6.2% vs. なし4.9%,p=0.380。
7日後の神経学的改善:61.7% vs. 59.0%,p=0.451。
3ヵ月後の転帰良好(mRS 0~2):48.7% vs. 53.8%,p=0.164。
3ヵ月後の死亡:19.6% vs. 19.7%,p=0.972。
ECASS基準症候性脳内出血を含む転帰(未補正OR 1.27,95%CI 0.74-2.15,p=0.381),3ヵ月後の生存および自立(未補正OR 0.81,95%CI 0.61-1.09,p=0.165)には差異を認めなかった。

●有害事象

文献: Karlinski M, et al.; Safe Implementation of Treatments in Stroke–East Registry (SITS-EAST) Investigators. Intravenous Thrombolysis for Stroke Recurring Within 3 Months From the Previous Event. Stroke 2015; 46: 3184-9. pubmed
関連トライアル ASTRAL influence of arterial occlusion, Cappellari M et al, ECASS III, ECASS III additional outcomes, ICARO-2, IPSS use of alteplase, IST-3, IST-3 18-month follow-up, IST-3 clinically important subgroups, J-ACT, J-MARS, Madrid Stroke Network, Murthy SB et al, Power A et al, PRACTISE gender difference, SAMURAI rtPA Registry SITS-MOST criteria, SITS-ISTR 2010, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR remote hemorrhage, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR within-day and weekly variations, SITS-ISTR young patients, SITS-MOST, SITS-MOST multivariable analysis, TIMS-China, TTT-AIS, VISTA contraindications, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
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