抗血栓トライアルデータベース
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DAPT late mortality
結論 DES留置後チエノピリジン系薬剤併用をうけた患者において,出血による死亡は少なかった。チエノピリジン系薬剤併用に関連した癌関連死は,主として出血とは関係なく,偶然と考えられた。進行癌患者に対しチエノピリジン系薬剤併用延長を考慮する際には,注意が必要である。
コメント 抗血小板薬併用療法を長期使用することの意味の議論は継続している。血栓イベントが減っても,出血イベントが増えるので中立になる。長期に観察すれば血栓イベントの再発以外に悪性腫瘍の発症なども増えるので,抗血小板薬併用療法の意義はさらに不明瞭になる。12~30ヵ月の期間に限局すると,抗血小板併用療法継続群も単剤群も差異がない。標準患者に対する標準治療との意味では,最初のイベントから1年程度は議論の意味があるが,それ以上継続した場合には個々の医師と患者の判断で決めて下さい,という妥当な結論である。(後藤信哉

目的 DAPTの継続期間を比較したDAPT試験では,DES留置患者において,12ヵ月を超えるDAPT継続はaspirin単独にくらべ,死亡が増加した。本探索的解析では,チエノピリジン系薬剤投与による死亡リスクは,特定のステントの種類に特有のものではないという前提にもとづき,全登録患者において,死因および想定される死亡の機序を検討した。
デザイン DAPTは無作為割付,二重盲検,プラセボ対照試験。NCT00977938。
セッティング 多施設,複数国。
期間 登録期間は2009年8月13日~2011年7月1日。
対象患者 11,648例。18歳以上,ステント留置後,DAPTを予定されている余命≧3年の症例。
【除外基準】抗凝固療法中の症例。
【患者背景】平均年齢は継続群61.4歳,プラセボ群61.2歳。各群の女性24.9%,25.4%。糖尿病29.8%,28.7%。高血圧74.1%,72.6%。喫煙27.4%,27.4%。脳卒中/TIA 3.4%,3.5%。うっ血性心不全4.7%,4.4%。心筋梗塞既往21.7%,21.1%。当該PCIの適応:STEMI 14.4%,14.4%,NSTEMI 16.4%,16.2%,不安定狭心症15.6%,15.7%,安定狭心症35.5%,35.7%。無作為割付時のチエノピリジン系薬剤:clopidogrel 68.4%,68.3%,prasugrel 31.6%,31.7%。当該手技のステント:DES 85.6%,85.4%,BMS 14.4%,14.6%。
治療法 ステント留置後aspirin+チエノピリジン系薬剤(clopidogrelまたはprasugrel)を12ヵ月投与。12ヵ月後,心筋梗塞,脳卒中,中等度~重度の出血がなく,治療のコンプライアンスが良好な症例について,以下の2群に無作為割付を行った。
継続群:5,862例。上記DAPTをさらに18ヵ月継続(DAPT期間は計30ヵ月)。
プラセボ群:5,786例。aspirin+プラセボ投与(DAPT期間は12ヵ月)。
追跡完了率 30ヵ月以上の追跡完了または生命状態が入手できたのは,継続群95.3%,プラセボ群95.2%。
結果

●評価項目
12~30ヵ月における全死亡は継続群1.9% vs. プラセボ群1.5%であった(HR 1.31,95%CI 0.97-1.75,p=0.07)。
心血管死:1.0% vs. 1.0%(HR 1.01,0.69-1.47,p=0.97)。
非心血管死:0.9% vs. 0.5%(HR 1.94,1.20-3.15,p=0.01)。
12~33ヵ月における全死亡はそれぞれ2.2% vs. 1.8%(HR 1.32,1.00-1.73,p=0.05),致死的出血は0.2% vs. 0.1%(p=0.81),以前の出血に関連する死亡は0.3% vs. 0.2%(p=0.36)。
12~33ヵ月における癌発症率は同程度であった(2.0% vs. 1.6%,p=0.12)。癌関連死は0.6% vs. 0.3%(p=0.02)で,出血関連死は少なかった(0.1% vs. 0%,p=0.25)。登録前に癌と診断されていた症例を除くと0.4% vs. 0.3%であった(p=0.16)。

●有害事象

文献: Mauri L, et al., DAPT Study Investigators. Causes of late mortality with dual antiplatelet therapy after coronary stents. Eur Heart J 2016; 37: 378-85. pubmed
関連トライアル Alcocer F et al, ARCTIC-Interruption, CHARISMA bleeding complications, DAPT, DAPT BMS or DES, DAPT myocardial infarction, DECLARE-DIABETES, DECLARE-LONG II, DES LATE, DES留置後のDAPTの至適期間, DES留置後長期DAPTによる死亡率, EXCELLENT, GRACE warfarin and antiplatelet therapy, ISAR-SAFE, ITALIC, j-Cypher, OPTIDUAL, OPTIMIZE, PARIS, PRODIGY, PRODIGY type of stent, PRODIGY impact of clinical presentation, PRODIGY in-stent restenosis, PROTECT, REAL-LATE / ZEST-LATE, RESET, RESOLUTE post hoc analysis, SECURITY, SPIRIT III, TL-PAS, TRA 2P-TIMI 50 stent thrombosis, TRITON-TIMI 38, TRITON-TIMI 38 PCI, Varenhorst C et al, 心筋梗塞患者におけるDAPT延長による心血管イベント二次予防
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