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SITS-ISTR very severe stroke
結論 本研究では,NIHSS>25の患者では同15~25の患者にくらべ,脳内出血リスクの過度の上昇はみられず,欧州におけるalteplaseの同スコア>25に対する禁忌には正当な理由がないことが示唆された。NIHSS>25の患者において死亡率が高く,機能的自立の割合が低かったことは,脳卒中の重症度が高かったこと,後方循環虚血による来院時の意識障害,発症-治療時間の遅れにより説明される。
コメント SITS-ISTR登録の多数例の検討で,これまで重症,大梗塞,症候性頭蓋内出血のリスク増加は不可分の関連と考えられていたが,NIHSS>25の患者は後方循環虚血の割合が高く,意識障害をともない早期搬送,早期治療開始も多い。部位の特性からも出血性変化をきたしにくく,必ずしも症候性頭蓋内出血を増やさない。早期来院重症例に対するt-PA適応や安全性を考えるうえで,意義ある研究である。(岡田靖

目的 欧州におけるalteplaseの認可基準では,重篤な脳卒中患者に対する治療は,脳内出血や死亡のリスクが上昇するとして禁忌となっている。ただし,これは高度なエビデンスにもとづくものではなく,VISTAやIST-3など近年の試験では,統計学的有意差はないものの,重篤な患者における転帰改善が示されている。本解析では,重篤な脳卒中患者(National Institute of Health stroke scale(NIHSS)>25)における血栓溶解療法後の脳内出血リスクは,重症脳卒中患者(NIHSS 15~25)にくらべ上昇しないという仮説を検討した。評価項目:実質性出血,症候性脳内出血,死亡,機能的転帰。
デザイン SITS-ISTRは前向き登録研究。
セッティング 多施設(793施設),44ヵ国。
期間 登録期間は2002年12月~2013年4月。
対象患者 57,247例。当該期間にalteplase静注療法をうけたSITS-ISTR登録患者58,293例のうち,ベースライン時のNIHSSの記録がある症例。
【除外基準】-
【患者背景】年齢中央値はNIHSS>25群75歳,同15~25群72歳(p<0.001)。それぞれの女性49.4%,47.0%。ベースライン時のNIHSS中央値28,19(p<0.001)。発症-治療時間中央値150分,140分(p<0.001)。発症-治療時間3時間以内26.2%,14.5%(p<0.001)。混迷状態/昏睡58.4%,7.1%(p<0.001)。心房細動32.6%,31.6%。高血圧70.7%,67.0%(p=0.025)。糖尿病22.5%,18.2%(p=0.002)。脳卒中既往16.7%,12.2%(p<0.001)。後方循環脳卒中36.2%,7.4%(p<0.001)。
治療法 alteplase静注。
追跡完了率
結果

●評価項目
対象患者のうち,重篤な脳卒中(NIHSS>25)は868例(1.5%),重症脳卒中(同15~25)は19,995例(34.9%)。
全実質性出血はNIHSS>25群では10.7%,同15~25群では11.0%で,同程度であった(p=0.79)。
症候性脳内出血の差異は小さかった。
SITS-MOST定義:NIHSS>25群1.4%,同15~25群2.5%(p=0.052)。
ECASS定義:10.8%,8.7%(p=0.044)。
NINDS定義:群13.2%,11.4%(p=0.12)。
3ヵ月後の死亡はNIHSS>25群のほうが同15~25群にくらべ多かった(50.4% vs. 26.9%,p<0.001,補正後OR 2.3,95%CI 2.2-2.4,p<0.001)。おもな死因は,脳梗塞はそれぞれ64.0%,47.1%(p<0.001),脳出血3.1%,7.4%(p=0.006),梗塞および出血8.3%,10.3%,心筋梗塞2.8%,3.5%,肺炎11.8%,14.0%。
3ヵ月後の機能的自立(mRS 0~2)はNIHSS>25群のほうが少なかった(14.0% vs. 29.0%,p<0.001,補正後OR 0.5,95%CI 0.4-0.6,p<0.001)。
多変量補正を行っても,単変量比較による知見は変わらなかった。

●有害事象

文献: Mazya MV, et al. IV thrombolysis in very severe and severe ischemic stroke: Results from the SITS-ISTR Registry. Neurology 2015; 85: 2098-106. pubmed
関連トライアル Cappellari M et al, Chernyshev OY et al, Guillan M et al, ICARO-2, Madrid Stroke Network, Power A et al, SAMURAI rt-PA Registry early neurological deterioration, Singer OC et al, SITS-ISTR, SITS-ISTR 2010, SITS-ISTR antiplatelet therapy, SITS-ISTR blood pressure, SITS-ISTR elderly, SITS-ISTR remote hemorrhage, SITS-ISTR sex differences, SITS-ISTR young patients, SITS-ISTR/VISTA, SITS-MOST, SITS-MOST multivariable analysis, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
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