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Gattringer T et al IV thrombolysis in patients with ischemic stroke and alcohol abuse
結論 慢性アルコール摂取または急性アルコール依存症の虚血性脳卒中患者において,血栓溶解療法実施率は低かった。アルコール摂取は頭蓋内出血リスク上昇とは関連していなかった。本知見より,慢性アルコール摂取または急性アルコール依存症を除外基準に加えていない現行のガイドラインが支持された。

目的 慢性的なアルコールの摂取(週5日以上,ワイン>1/4Lまたはビール>1/2Lまたは蒸留酒>2ドリンクを摂取)もしくは急性アルコール依存症の既往を有する虚血性脳卒中患者では,出血性合併症リスク上昇の懸念から,血栓溶解療法が控えられる可能性がある。本研究では,上記の既往が血栓溶解療法の実施率および症候性頭蓋内出血リスクと関連するか,検討を行った。
デザイン オーストリアの全国規模の登録研究。
セッティング 多施設(35施設),オーストリア。
期間 登録期間は2004年1月1日~2014年8月6日。
対象患者 47,422例。当該期間に虚血性脳卒中のため入院した患者全例。
【除外基準】表記なし。
【患者背景】年齢中央値はアルコール摂取者65.8歳,非摂取者74.8歳*。それぞれの男性85.3%,48.8%*。脳卒中前のmRS 0~2: 92.5%,85.7%*。入院時のNIHSS中央値(IQR)5(2~9),5(2~10)(p=0.02)。症状発現がわかっている67.2%,67.7%。発症-来院時間中央値120分,117分*。高血圧80.9%,80.9%。糖尿病28.1%,25.6%*。高コレステロール血症60.0%,53.8%*。喫煙58.1%,14.8%*。心房細動19.7%,29.9%*。末梢血管疾患13.3%,6.4%*。脳卒中既往21.0%,23.1%*。心筋梗塞既往11.1%,9.5%*
*:p<0.001
治療法 適応患者に血栓溶解療法を実施。
追跡完了率
結果

●評価項目
虚血性脳卒中患者47,422例のうち,アルコール摂取者は4,215例(慢性アルコール摂取3,999例[8.5%]+急性アルコール依存症216例[0.5%])。
アルコール摂取者は血栓溶解療法実施率が低く(16.6% vs 18.9%),この差異は可能性のある交絡因子を考慮しても変わらなかった(HR 0.76,95%CI 0.68-0.84,p<0.001)。
アルコール摂取者において,血栓溶解療法後の症候性頭蓋内出血発現率は上昇しなかった(2.1% vs. 3.7%,p=0.04[本研究の有意水準はp≦0.01])。
年齢,NIHSS,発症-治療時間を含めた多変量解析によると,アルコール依存は頭蓋内出血の独立リスク因子ではなかった(OR 0.73,95%CI 0.43-1.25,p=0.2)。
脳卒中ユニットでの死亡率はアルコール摂取者1.2%,非摂取者2.6%(p=0.001),脳卒中ユニット退院時のNIHSS中央値(IQR)は3(1~6),3(1~8)(p=0.2)。

●有害事象

文献: Gattringer T, et al. IV thrombolysis in patients with ischemic stroke and alcohol abuse. Neurology 2015; 85: 1592-7. pubmed
関連トライアル ASTRAL influence of arterial occlusion, ECASS III, Fuentes B et al, Gensicke H et al, GWTG-Stroke Registry risk of sICH, Hsieh CY et al, ICARO-2, Kellert L et al, Madrid Stroke Network, Mehta RH et al, PHANTOM-S, Power A et al, Sarikaya H et al, SITS-ISTR young patients, Toni D et al, Tsivgoulis G et al, Turc G et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
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