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Tziomalos K et al Adequacy of preadmission oral anticoagulation with vitamin K antagonists and ischemic stroke severity and outcome in patients with atrial fibrillation
結論 至適抗凝固療法をうけている心房細動患者は,脳卒中後の機能的転帰がより良好で,脳卒中重症度が軽い傾向がみられた。一方,抗凝固療法が行われていても治療域に満たない場合の脳卒中重症度および転帰は,抗血栓薬非投与例と同程度であった。
コメント ビタミンK拮抗薬療法中に脳梗塞を起こした場合,治療域に入っていると軽症で転帰が良いことが示されている。他に梗塞巣が小さいとの報告もあり,ワルファリン療法を行う場合,PT-INRを治療域内で管理することの重要性があらためて示されたものと言えよう。(矢坂正弘

目的 心房細動患者において,ビタミンK拮抗薬による脳卒中発症抑制のベネフィットは証明されているが,脳卒中重症度および転帰に影響を及ぼすかどうかは不明であり,先行研究では結果が分かれている。本研究では,心房細動既往を有する脳梗塞患者において,病前のacenocoumarol服用による脳卒中重症度,退院時の機能的転帰,院内死亡率への影響を評価した。評価項目:退院時の要介護状態(modified Rankin Score[mRS] 2~5),院内死亡率。
デザイン 登録研究。
セッティング 単施設,ギリシャ。
期間 登録期間は2010年9月~2013年10月。
対象患者 177例。当該期間に脳梗塞のため入院した患者539例のうち,心房細動の既往を有していた症例。
【除外基準】表記なし。
【患者背景】平均年齢はPT-INR 2.0~3.0群76.6歳,PT-INR<2.0群79.7歳,抗血小板薬単剤群81.3歳,抗血小板薬2剤併用(DAPT)群78.3歳,抗血栓薬なし群78.8歳。各群の男性42.8%,48.6%,29.7%,25.0%,37.8%。高血圧92.8%,75.7%,82.8%,91.7%,89.2%。2型糖尿病42.8%,35.1%,34.4%,50.0%,24.3%。脳梗塞既往28.6%,48.6%,46.9%,58.3%,32.4%。
治療法
追跡完了率
結果

●評価項目
症例数は,acenocoumarol投与中でPT-INRが2.0~3.0の症例(PT-INR 2.0~3.0群)14例,同剤投与中でPT-INR<2.0の症例(PT-INR<2.0群)37例,抗血小板薬単剤投与例64例,DAPT投与例12例,抗血栓薬が投与されていなかった症例37例。
入院時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)は,PT-INR 2.0~3.0群4(範囲0~26),PT-INR<2.0群13(0~39),抗血小板薬単剤群8(0~33),DAPT群3(2~23),抗血栓薬なし群7(0~33)で,有意差を認めなかった(p=0.433)。
要介助状態の割合は,PT-INR 2.0~3.0群(20.0%)およびDAPT群(22.2%)では,PT-INR<2.0群(61.5%),抗血小板薬単剤群(58.7%),抗血栓薬なし群(68.0%)にくらべ低かった(p=0.024)。
要介助状態の独立予測因子は,年齢(RR 1.30,95%CI 1.09-1.56,p=0.004),入院時のNIHSS(RR 1.97,1.40-2.77,p<0.001),脳梗塞既往(RR 10.76,1.63-71.17,p=0.014)。
院内死亡率には,有意差を認めなかった(PT-INR 2.0~3.0群7.7%,PT-INR<2.0群18.2%,抗血小板薬単剤群16.1%,DAPT群16.7%,抗血栓薬なし群22.2%,p=0.822)。
院内死亡の独立予測因子は,DBP(RR 1.07,1.02-1.12,p=0.007),入院時のNIHSS(RR 1.13,1.06-1.21,p<0.001)。

●有害事象

文献: Tziomalos K, et al. Adequacy of preadmission oral anticoagulation with vitamin K antagonists and ischemic stroke severity and outcome in patients with atrial fibrillation. J Thromb Thrombolysis 2016; 41: 336-42. pubmed
関連トライアル Fukuoka Stroke Registry, Hylek EM et al, ISAM, Muchada M et al, North Dublin Population Stroke Study, Ontario Stroke Registry, ROCKET-AF persistent vs. paroxysmal
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