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Fushimi AF Registry type of AF
結論 日本の大規模な心房細動患者研究において,発作性心房細動は持続性/永続性心房細動にくらべ,脳卒中/全身性塞栓症の低発症率と独立して関連していた。本結果は,脳卒中リスク因子が少ない心房細動患者に対する抗凝固療法を決定するにあたっての一助になると考えられる。
コメント 発作性心房細動における脳卒中/全身性塞栓症の発症率が持続性/永続性心房細動より低いことが示されている。しかし,発作性心房細動に伴う重症脳梗塞も少なくないので,これまでの心房細動における脳梗塞のリスク評価法(CHADS2スコアなど)に加え,発作性心房細動における発作の頻度や持続時間と脳梗塞発症の関係を明らかにし,それらを加味したリスク評価法が必要となるかもしれない。(矢坂正弘

目的 心房細動の病型と脳卒中発症リスクの関連については,議論が分かれている。いくつかの先行研究で,発作性心房細動患者の脳卒中リスクは持続性/永続性心房細動患者と同程度と報告されたが,最近の研究では,発作性心房細動は脳卒中リスクが低いと報告している。しかし,アジア人におけるデータは少ない。本研究では,心房細動の病型別(発作性[PAF]および持続する心房細動[持続性+永続性;SAF])に患者特性および脳卒中/全身性塞栓症リスクを比較した。主要評価項目:追跡期間中の脳卒中/全身性塞栓症。
デザイン 地域住民ベースの前向き登録研究。UMIN000005834。
セッティング 多施設,日本。
期間 登録開始は2011年3月。
対象患者 3,304例。本研究登録患者(12誘導心電図またはホルター心電図にて心房細動が認められた患者。診断時期は問わない)4,115例のうち,2013年7月末までに登録され,1年間の追跡データが入手できた症例。
【除外基準】なし。
【心房細動の病型別の患者背景】平均年齢はPAF例72.3歳,SAF例74.9歳(p<0.01)。それぞれの男性58%,61%。CHADS2スコア1.82,2.22(p<0.01)。CHA2DS2-VAScスコア3.14,3.57(p<0.01)。脳卒中/全身性塞栓症既往16%,25%(p<0.01)。大出血既往3%,3%。ベースライン時の経口抗凝固薬(OAC)処方39%,66%(p<0.01)。抗血小板薬30%,29%。カテーテルアブレーション9%,4%(p<0.01)。
治療法
追跡完了率
結果

●評価項目
PAFは1,588例,SAFは1,716例。追跡期間中,PAFからSAFへの進行は154例(PAFの9.7%)に認められた。
PAF例は若齢で,合併症が少なく,OAC処方率も低かった。
追跡期間中の脳卒中/全身性塞栓症リスクは,PAF例はSAF例にくらべ, OAC服用の有無を問わず継続して低かった。
非OAC服用:PAF例1.4%/年 vs. SAF例3.1%/年,HR 0.45,95%CI 0.27-0.75,p<0.01。
OAC服用:1.7%/年 vs. 3.0%/年,HR 0.59,0.35-0.93,p=0.03。
脳卒中+全身性塞栓症+全死亡も,同様にOAC服用の有無を問わず低かった。
非OAC服用:7.3%/年 vs. 12.5%/年,HR 0.59,0.46-0.75,p<0.01。
OAC服用:PAF例6.2%/年 vs. 8.0%/年,HR 0.77,0.59-0.99,p=0.046。
出血リスクは,OAC服用にかかわらず,PAFとSAFの間に差異を認めなかった。
非OAC服用:PAF例1.3%/年 vs. SAF例1.5%/年,HR 0.86,95%CI 0.46-1.65,p=0.64。
OAC服用:1.3%/年 vs. 1.6%/年,HR 0.87,0.48-1.52,p=0.63。
多変量解析によると,発作性心房細動は脳卒中/全身性塞栓症リスク低下の独立予測因子であった(HR 0.51,95%CI 0.30-0.88,p=0.01)。

●有害事象

文献: Takabayashi K, et al. Incidence of Stroke or Systemic Embolism in Paroxysmal Versus Sustained Atrial Fibrillation: The Fushimi Atrial Fibrillation Registry. Stroke 2015; 46: 3354-61. pubmed
関連トライアル ACTIVE W paroxysmal vs sustained, AMADEUS type of AF, ARISTOTLE type and duration of AF, COMPARE, ENGAGE AF-TIMI 48, ENGAGE AF-TIMI 48 cerebrovascular events, Fushimi AF Registry, J-RHYTHM Registry paroxysmal vs. permanent, J-ROCKET AF, Lamberts M et al, Ontario Stroke Registry, ORBIT-AF, ORBIT-AF bridging, ROCKET AF cardioversion/ablation, ROCKET AF East Asian patients, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF major bleeding, ROCKET AF post hoc analysis, ROCKET AF temporary interruption, ROCKET-AF persistent vs. paroxysmal, SPAF I-III 2000
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