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Suzuki S et al Nine-Year Trend of Anticoagulation Use, Thromboembolic Events, and Major Bleeding in Patients With Non-Valvular Atrial Fibrillation - Shinken Database Analysis
結論 非弁膜症性心房細動(NVAF)患者における血栓塞栓症発症抑制について,9年間の研究より,経口抗凝固薬(OAC)処方率の増加および血栓塞栓症・大出血の部分的な改善が示された。直接経口抗凝固薬(DOAC)の時代であっても,高リスク患者における血栓塞栓症予防は不十分であり,DOACは頭蓋外出血の増加と関連していた。

目的 NVAF患者における血栓塞栓症発症抑制のための抗凝固療法は,近年大きく変化した。西洋諸国からは経口抗凝固薬の処方率が上昇し,血栓塞栓症発症率が低下したという報告があるが,日本人における長期推移に関する報告はない。本研究では,心研データベース*より,日本人NVAF患者におけるOAC処方率ならびに血栓塞栓症・大出血発症率の推移を検討した。
*:2004年に開始された,心臓血管研究所付属病院に新規に来院した患者全例を登録(外国人旅行者,活動性がん患者を除く)。
デザイン 登録研究。
セッティング 単施設,日本。
期間 登録期間は2004年6月~2013年3月。追跡終了は2015年6月30日。
対象患者 2,434例。当該期間に登録された患者19,994例のうち,初診でNVAFの診断をうけた症例。
【除外基準】初診から3年未満の症例。
【患者背景】平均年齢は2004~2006年群63.6歳,2007~2009年群62.6歳,2010~2012年群63.1歳。それぞれの男性73.0%,77.8%,76.1%。心房細動の病型(p=0.032)発作性58.6%,59.7%,64.5%,持続性/永続性41.4%,40.3%,35.5%。高血圧37.6%,46.6%,53.3%(p<0.001)。糖尿病13.7%,13.6%,13.5%。脂質異常症18.6%,26.4%,26.3%(p<0.001)。心不全7.0%,11.3%,5.9%(p<0.001)。慢性腎臓病58.9%,63.1%,61.7%。CHADS2スコアp=0.002)0点46.3%,40.0%,36.1%,1点30.8%,33.0%,37.9%,≧2点22.9%,27.0%,26.0%。HAS-BLED出血リスクスコアp=0.044)0点28.5%,35.2%,37.8%,1点44.1%,38.4%,37.6%,2点21.3%,18.7%,17.2%,≧3点6.2%,7.7%,7.4%。
治療法 warfarinまたはDOAC(dabigatran,rivaroxaban)を処方。
追跡完了率
結果

●評価項目
初回来院の時期別に,2004~2006年群(681例),2007~2009年群(833例),2010~2012年群(920例)の3群に分けた。
OAC処方率は経時的に増加した(p<0.001);2004~2006年群40.7%(すべてwarfarin),2007~2009年群47.5%(すべてwarfarin),2010~2012年群55.9%(warfarin 30.3%,DOAC 25.5%)。TTRは2004~2006年群57.3%,2007~2009年群56.2%,2010~2012年群54.0%。抗血小板薬の処方は経時的に減少した(33.0%→29.1%→19.2%,p<0.001)。
warfarin使用の増加にもかかわらず,大出血発現率は2004~2006年群5.7/1,000患者・年から2007~2009年群1.6/1,000患者・年と減少傾向がみられた。これはおそらく,治療の強度の低さとDAPT併用が避けられたことによると考えられた。2010~2012年群では6.5/1,000患者・年であった。しかし,血栓塞栓症は改善しなかった(12.0/1,000患者・年→12.0/1,000患者・年→6.5/1,000患者・年)。
2010~2012年,低リスク患者にはDOACが好まれ(CHADS2スコア0点:OAC処方率42.5%[warfarin 17.8%+DOAC 24.7%],同スコア1点:62.8%[32.1%+30.7%]),血栓塞栓症の減少のみならず(発症率:CHADS2スコア0点0%,1点3.4/1,000患者・年),大出血,特に頭蓋外出血の増加に寄与したと考えられた(0点:1件,1.9/1,000患者・年[頭蓋内出血],1点:1件,1.7/1,000患者・年[頭蓋外出血])。
この時期の高リスク患者には大部分でwarfarinが投与された(CHADS2スコア≧2点:OAC処方率64.4%[warfarin 45.2%+DOAC 19.2%])。血栓塞栓症(18.4/1,000患者・年),大出血(18.4/1,000患者・年,頭蓋内出血11.5/1,000患者・年,頭蓋外出血6.8/1,000患者・年)は改善しなかった。

●有害事象

文献: Suzuki S, et al. Nine-Year Trend of Anticoagulation Use, Thromboembolic Events, and Major Bleeding in Patients With Non-Valvular Atrial Fibrillation - Shinken Database Analysis. Circ J 2016; 80: 639-49. pubmed
関連トライアル ACTIVE W CHADS2 score, ACTIVE W paroxysmal vs sustained, AFASAK 2 1999, ARISTOTLE major bleeding, COMPARE, J-RHYTHM target INR values, Kim TH et al, Lamberts M et al, NOACのwarfarinに比較しての死亡率抑制効果, Ontario Stroke Registry, ORBIT-AF, SPAF II 1994, SPAF III 1996, 心房細動患者に対する脳卒中予防療法における年齢効果, 日本人NVAF患者におけるNOACの有効性および安全性
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