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After Eighty study
結論 80歳以上の非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)または不安定狭心症患者における複合イベント抑制について,侵襲的治療は保存的治療にくらべすぐれていた。侵襲的治療の有効性は,クレアチニンおよび有効性で補正後,年齢が上がるにつれ弱くなった。出血は両群で同様であった。

目的 NSTEMIおよび不安定狭心症は,高齢者における入院の主因である。しかしながら,臨床試験が高齢者を対象にすることは多くなく,また高齢者はガイドラインにしたがった治療をあまり受けていない。われわれは,高齢者は早期侵襲的治療と保存的治療のどちらからよりベネフィットをうけられるか,検討を行った。主要評価項目:MI,緊急血行再建術の必要性,脳卒中,死亡の複合。
デザイン 無作為割付,オープン試験。intention-to-treat解析。NCT01255540。
セッティング 多施設(PCI施行設備のない16施設),ノルウェー。
期間 登録期間は2010年12月10日~2014年2月21日。試験終了は2014年11月18日。追跡期間中央値1.53年。
対象患者 457例。臨床的に安定している,80歳以上のNSTEMIまたは不安定狭心症患者(ECG上でST低下の有無は問わない)で,トロポニンTまたはIが正常もしくは上昇している症例。
【除外基準】持続する胸痛もしくは他の虚血症状や兆候があり臨床的に不安定,心原性ショック,出血性障害が持続,重篤な合併症により余命<12ヵ月,精神障害(重篤な認知症やプロトコール遵守を妨げる障害を含む)。
【患者背景】平均年齢は侵襲的治療群84.7歳,保存的治療群84.9歳。各群の男性55%,44%。病歴:MI既往47%,39%,狭心症既往54%,50%,PCI歴24%,20%,CABG歴19%,14%,高血圧57%,61%,心房細動21%,23%。退院時の薬物療法:aspirin 95%,93%,clopidogrel 72%,73%,warfarin 22%,14%,β遮断薬86%,85%,スタチン91%,84%,ACE阻害薬/ARB 52%,54%,Ca拮抗薬24%,23%,硝酸薬34%,48%。
治療法 以下の2群に無作為割付。
侵襲的治療群:229例。早期冠動脈造影を行い,PCI,CABG,至適薬物療法を迅速に評価。
保存的治療群:228例。至適薬物療法のみ。再梗塞,至適薬物療法にもかかわらず難治性狭心症,悪性心室性不整脈,心不全の兆候が増加する症例は緊急冠動脈造影を施行。
追跡完了率 脱落は侵襲的治療群5例,保存的治療群1例。
結果

●評価項目
主要評価項目は侵襲的治療群93例(40.6%)で,保存的治療群140例(61.4%)にくらべ抑制された(HR 0.53,95%CI 0.41-0.69,p=0.0001)。
個々の項目のHRは以下の通り。
MI:HR 0.52,0.35-0.76,p=0.0010。
緊急血行再建術の必要性:HR 0.19,0.07-0.52,p=0.0010。
脳卒中:HR 0.60,0.25-1.46,p=0.2650。
全死亡:HR 0.89,0.62-1.28,p=0.5340。
大出血は侵襲的治療群4例(1.7%),保存的治療群は4例(1.8%),小出血は23例(10.0%),16例(7.0%)。
クレアチニンで補正後,年齢により侵襲的治療の有効性の強さは弱まった(84歳以下:HR 0.36,0.24-0.54,p=0.0001,84歳超:HR 0.69,0.49-0.98,p=0.0400)。90歳で分けると差異がみられたが,90歳超の症例が34例と少ないため,結論づけることはできない(90歳以下:HR 0.47,0.35-0.62,p=0.0001,90歳超:HR 1.21,0.53-2.7,p=0.6420)。

●有害事象

文献: Tegn N, et al., After Eighty study investigators
Invasive versus conservative strategy in patients aged 80 years or older with non-ST-elevation myocardial infarction or unstable angina pectoris (After Eighty study): an open-label randomised controlled trial. Lancet 2016; 387: 1057-65. pubmed
関連トライアル ACCOAST-PCI, ARCTIC-Interruption, ATOLL, CAPTURE 1997, CARESS-in-AMI , DANAMI, FRISC II 1999, FRISC II 2000, ICTUS, ICTUS 5-year outcomes, SEPIA-ACS1 TIMI 42, SYNERGY, TACTICS-TIMI 18 1998, TACTICS-TIMI 18 2001, TIMI IIIB 1994, TIMI IIIB 1995, TRILOGY ACS secondary analysis , VANQWISH, 非ST上昇型急性冠症候群に対する初期侵襲的治療および保存的治療の性差
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