抗血栓トライアルデータベース
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Sambola A et al Effects of Triple Therapy in Patients With Non-Valvular Atrial Fibrillation Undergoing Percutaneous Coronary Intervention Regarding Thromboembolic Risk Stratification
結論 PCIをうけるCHA2DS2-VAScスコア1点の心房細動患者において,抗血栓薬3剤併用療法(抗血小板薬2剤併用療法[DAPT]+経口抗凝固薬[OAC];TT)の使用は血栓塞栓症予防のベネフィットはなく,出血リスクが上昇した。
コメント CHA2DS2-VAScスコア1点の症例では,DAPT+抗凝固薬(TT)はDAPTに比して,strokeは同程度であり,出血リスクのみ増大させるという結論である。かかる症例で,抗凝固薬+クロピドグレル(あるいはプラスグレル)の選択肢も考えられるが,いずれにせよ,比較的stroke riskが低い症例では,出血リスクに十分配慮しながら,抗血栓薬を選択する必要がある。一方で,同スコア2点以上の症例では,抗凝固薬併用により明らかにstroke発症が抑制されていることから,出血リスクを考慮しつつ,TTまたは抗凝固薬+クロピドグレル(あるいはプラスグレル)を選択すべきであろう。また,今回のスタディーにおける抗凝固薬はワルファリンであり,DOACでの同様のスタディーの結果がまたれるところである。(是恒之宏

目的 PCIをうける心房細動患者における抗血栓療法について,CHA2DS2-VAScスコアに関連した有効性は明確になっていない。本研究では,血栓塞栓症および出血について,DAPTの有効性をTTと比較した。主要評価項目:全血栓塞栓イベント(脳卒中/末梢塞栓症),副次評価項目:全大出血。
デザイン 前向き観察研究。
セッティング 第1コホート:多施設(6施設),第2コホート:単施設,いずれもスペイン。
期間 登録期間は第1コホート:2003年1月~2006年12月,第2コホート:2007~2012年。
対象患者 585例。PCIを施行される非弁膜症性心房細動患者で,TTまたはDAPTをうける症例連続例。
【除外基準】記載なし。
【患者背景】平均年齢はTT群73歳,DAPT群73歳。それぞれの女性25.1%,23.7%。高血圧79.9%,69.5%(p=0.006)。糖尿病40.4%,34.2%。心不全既往56.3%,56.4%。脳卒中既往17.9%,10.5%(p=0.008)。CHA2DS2-VAScスコア≧2点55.5%,44.5%。HAS-BLED出血リスクスコア≧3点41.6%,37.2%。DES留置39.3%,41.2%。TT群におけるTTR:CHA2DS2-VAScスコア1点例のうち,データが入手できた57例(70%)では64%,同スコア≧2点例のうち,データが入手できた181例(76.8%)では65.5%。
治療法 血行再建術およびステントの種類,退院時の抗血栓療法の選択は担当医の裁量とした(TT群319例,DAPT群266例)。
DAPT(aspirin 100mg/日+clopidogrel 75mg/日)は,BMS留置患者ではPCI施行の少なくとも1ヵ月後,DES留置患者では3~12ヵ月後に,抗血小板薬のうち1剤を中止することが推奨された。OACはビタミンK拮抗薬が用いられた(標的INR 2.0~2.5)。
追跡完了率
結果

●評価項目
CHA2DS2-VAScスコア1点は157例(26.8%),≧2点は428例(73.2%)。
TTはCHA2DS2-VAScスコア1点の患者の51.6%,≧2点の患者の55.5%に処方されていた。
CHA2DS2-VAScスコア1点では,TT群はDAPT群にくらべ,血栓塞栓症発症率は同程度であったが(1.2% vs. 1.3%,p=0.73),全出血が増加し(19.5% vs. 6.9%,p=0.01,HR 3.18,95%CI 1.16-8.69,p=0.02),大出血は増加傾向がみられた(4.9% vs. 0%,p=0.06)。
CHA2DS2-VAScスコア≧2点では,TT群はDAPT群にくらべ脳卒中発症率が低く(1.7% vs. 5.3%,p=0.03,HR 3.23,1.01-10.30,p=0.04),出血は増加傾向(21.8% vs. 15.6%,p=0.06),大出血は増加した(8.4% vs. 3.1%,p=0.01,HR 2.6,1.03-6.5,p=0.04)。
CHA2DS2-VAScスコアの両サブグループにおいて,MACE発症率は治療にかかわらず同程度であった。
Cox多変量解析によると,TTは大出血と関連していたが(HR 2.97,1.25-7.02,p=0.01),MACEとは関連していなかった(HR 1.05,0.67-1.86,p=0.81)。

●有害事象

文献: Sambola A, et al. Effects of Triple Therapy in Patients With Non-Valvular Atrial Fibrillation Undergoing Percutaneous Coronary Intervention Regarding Thromboembolic Risk Stratification. Circ J 2016; 80: 354-62. pubmed
関連トライアル Abraham JM et al, ACTION Registry-GWTG triple therapy, J-RHYTHM Registry paroxysmal vs. permanent, Lamberts M et al, Lip GY et al, PARIS
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