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Garcia-Pastor A et al Tissue plasminogen activator for acute ischemic stroke: calculation of dose based on estimated patient weight can increase the risk of cerebral bleeding
結論 rt-PA静注を行う虚血性脳卒中患者において,体重の推定はしばしば不正確で,rt-PA用量のミスにつながる。rt-PA 0.90mg/kgを超える過剰投与は,頭蓋内出血リスク増加につながる可能性がある。rt-PA静注前に標準化した体重測定での実測を考慮すべきである。
コメント 単施設での少数例検討だが,rt-PA静注療法のプロセスに関するユニークな研究である。治療前の体重測定は,わが国では着実に実施されていると思うが,見た目の体重推計は,特に60kg未満の低体重者では過剰投与につながる恐れがある。体重測定内蔵ベッドなどで測定法を標準化して,実測すべきであろう。(岡田靖

目的 虚血性脳卒中患者に対するrt-PA 0.9 mg/kg静注のベネフィットは証明されているが,過剰投与(特に>0.95mg/kg)では脳内出血リスクが上昇するとされる。患者の推定体重にもとづくrt-PAの用量調整は,エラーの可能性を増加させる。本研究では,推定体重の正確性を評価し,実際の適応用量の安全性を検討した。
デザイン 観察研究。
セッティング 単施設,スペイン。
期間 登録期間は2010年5月~2011年12月。
対象患者 97例。当該期間にrt-PA静注をうけた虚血性脳卒中患者全例。
【除外基準】rt-PA静注後体重を測定できなかった患者。
【患者背景】平均年齢は69.9歳。男性53.6%。リスク因子:高血圧64%,脂質異常症42.3%,糖尿病33%,現喫煙18.6%,脳卒中既往9.3%,心房細動22.7%,うっ血性心不全8.2%。ベースライン時のNational Institute of Health stroke scale(NIHSS)中央値14。3ヵ月後のmodified Rankin Score(mRS) 0~2:52.6%。死亡9.3%。脳内出血18.6%。症候性脳内出血6.2%。
治療法 患者本人もしくは家族から情報が得られた場合を除き,推定体重にもとづいてrt-PA標準用量(0.9mg/kg)を静注。実際の体重は,静注後24時間以内に可及的すみやかに測定した。
追跡完了率
結果

●評価項目
97/108例でrt-PA静注後に体重測定を行った。推定体重と実際の体重の平均差は+2.182kg(範囲-12.9~+18.8kg)であった。
体重の推定の誤りは22.7%に認められ,体重の推定を脳卒中ユニットのスタッフが行った場合は44.4%,近親者では16.7%,患者本人では10.7%であった(p=0.01)。
体重<60kgの患者では>60kgの患者にくらべ,実際より重く推定することが多かった(43.8% vs. 13.6%,p=0.005)。
rt-PA用量のミス(至適用量から≧10%の逸脱)は23例(23.7%)に認められた。過大投与は17例(17.5%),過小投与は6例(6.2%)。
患者に実際に投与した体重1kgあたりのrt-PA用量は,治療後の頭蓋内出血発現例のほうが非発現例より多かった(0.96mg/kg vs. 0.92 mg/kg,p=0.02)。
多変量解析によると,至適用量(0.90mg/kg)を10%超えると頭蓋内出血リスクの上昇がみられた(OR 3.10,95%CI 1.14-8.39,p=0.026)。
症候性頭蓋内出血,機能的転帰,死亡について,rt-PAの用量ミスの影響はみられなかった。

●有害事象

文献: García-Pastor A, et al. Tissue plasminogen activator for acute ischemic stroke: calculation of dose based on estimated patient weight can increase the risk of cerebral bleeding. J Thromb Thrombolysis 2015; 40: 347-52. pubmed
関連トライアル Chen CH et al, ECASS, IMS III, NINDS rt-PA Stroke Study 1995, Power A et al, SWIFT PRIME, TTT-AIS II
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