抗血栓トライアルデータベース
home
テキストサイズ
AbdelRazek MA et al Prior Asymptomatic Parenchymal Hemorrhage Does Not Increase the Risk for Intracranial Hemorrhage after Intravenous Thrombolysis
結論 本後ろ向き解析より,無症候性実質内出血既往の画像エビデンスを有する虚血性脳卒中患者において,rt-PA静注後の症候性頭蓋内出血の増加は認められないというレベルCのエビデンスがもたらされた。
コメント 先行する無症候性脳内出血の存在により,rt-PA静注後の症候性頭蓋内出血の増加は認められなかったとする結果である。後ろ向き研究で,MRI-Gradient T2*画像をrt-PA静注後に撮像しているなど,問題点がある。治療決定のコンセンサス形成には前向きな論文であるが,更なる研究の蓄積が必要である。(岡田靖

目的 NINDS試験では,虚血性脳卒中患者に対するrt-PA療法により,神経学的転帰の改善が示された。同試験では,頭蓋内出血既往患者は続発性出血リスク上昇の可能性により試験から除外されたため,頭蓋内出血既往患者におけるrt-PAの使用の良否に関するデータは不足している。本研究では,そのような患者に対するrt-PAの安全性を検討した。主要評価項目:rt-PA後の症候性頭蓋内出血(NINDS定義)
デザイン 後ろ向き登録研究。
セッティング 単施設,米国。
期間 登録期間は2006年1月~2014年4月。
対象患者 640例。当該期間にrt-PAをうけた虚血性脳卒中患者全例。
【除外基準】-
【頭蓋内出血既往例の患者背景】平均年齢75±12.4歳。男性70.4%。ベースライン時の平均National Institute of Health stroke scale(NIHSS) 11±4.6。
治療法 rt-PA静注。
追跡完了率 100%。
結果

●評価項目
対象患者全例について,rt-PA静注後24時間以内に撮像した脳画像をレビューし,27例に頭蓋内出血既往のエビデンスを認めた。このうち,頭蓋内出血の既往の自覚があったのは1例のみで(10歳時の交通事故による外傷),残りは頭蓋内出血既往の自覚はなかった。
頭蓋内出血は全例とも実質内出血であり,≧5mmの出血が1つ以上認められたのは11例,残りの16例は<5mmの微小出血のみであった。
rt-PA静注後,頭蓋内出血既往例における症候性頭蓋内出血は1/27例(3.7%)で,非既往例(25/613例,4.1%)と同程度であった(p=0.69)。頭蓋内出血既往例にて,無症候性頭蓋内出血を2例に認めた。

●有害事象

文献: AbdelRazek MA, et al. Prior Asymptomatic Parenchymal Hemorrhage Does Not Increase the Risk for Intracranial Hemorrhage after Intravenous Thrombolysis. Cerebrovasc Dis 2015; 40: 201-4. pubmed
関連トライアル rtPA血栓溶解療法の転帰における性差, rtPA静注後の頭蓋内出血に関するリスク因子, SPOTRIAS, Tsivgoulis G et al, Tsivgoulis G et al, 血栓溶解療法後の頭蓋内出血
関連記事