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メタ解析
アジア人におけるNOACによる脳卒中発症抑制
Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants for Stroke Prevention in Asian Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation: Meta-Analysis
結論 アジア人では非アジア人にくらべ,標準用量の非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)はビタミンK拮抗薬(VKA)に対しより有効かつ安全であった一方,低用量NOACは両集団において同程度であった。
コメント 心房細動における脳梗塞や塞栓症予防に対して,NOACには2用量(通常用量と低用量)が準備されている。今回の検討から,NOACのワルファリンに対する有効性と安全性の高さは,低用量ではアジア内外で差異はないが,通常用量ではアジア人でより強調される結果であった。したがって,各NOACの用量選択基準で通常用量に合致する場合は,安易に低用量を選択することなく,通常用量を投与することで患者さんは最大の益を得ることになろう。(矢坂正弘

目的 VKAは心房細動患者の脳卒中予防における要であるが,アジアでは重篤な出血リスクのために使用が制限されており,NOACはその安全な代替薬である。本研究では,アジア人におけるNOACの有効性および安全性について,非アジア人との比較を行った。有効性評価項目:脳卒中または全身性塞栓症,脳梗塞,心筋梗塞,全死亡。安全性評価項目:大出血,頭蓋内出血,出血性脳卒中,消化管出血。
方法 PubMed(2009年1月~2014年7月),臨床試験登録,関連学会の記録より,非弁膜症性心房細動患者においてNOACをVKAと比較したRCTを検索。言語の制限は設けなかった。出版されているメタ解析の文献リストのレビューも行った。
対象:(1)>500例の非弁膜症性心房細動患者を登録,(2)アジア人における長期の有効性および安全性を報告,(3)追跡期間≧1年。
除外:ximelagatranの試験。
対象 5試験(RE-LYROCKET AFJ-ROCKET AFARISTORLEENGAGE AF-TIMI 48)。
72,961例(アジア人8,928例[NOAC群5,250例+VKA群3,678例]+非アジア人64,033例[NOAC群37,800例+VKA群26,233例])。
主な結果 [NOAC標準用量(dabigatran 150mg,edoxaban 60mg,rivaroxaban 20mg,apixaban 5mg)]
・有効性評価項目
脳卒中または全身性塞栓症について,NOACのVKAに比してのリスク抑制は,アジア人のほうが非アジア人より大きかった。その他の有効性評価項目は地域差を認めなかった。
脳卒中または全身性塞栓症:アジア人のOR 0.65,95%CI 0.52-0.83,p<0.001,非アジア人のOR 0.85,0.77-0.93,p<0.001,交互作用のp=0.045。
脳梗塞:アジア人のOR 0.89,0.67-1.17,非アジア人のOR 0.95,0.84-1.06,交互作用のp=0.673。
心筋梗塞:アジア人のOR 0.97,0.59-1.58,非アジア人のOR 0.98,0.82-1.12,交互作用のp=0.977。
全死亡:アジア人のOR 0.80,0.65-0.98,p=0.030,非アジア人のOR 0.91,0.86-0.97,p=0.003,交互作用のp=0.219。

・安全性評価項目
大出血,出血性脳卒中については,アジア人のほうが非アジア人にくらべより安全であった。消化管出血は非アジア人で増加した。
大出血:アジア人のOR 0.57,0.44-0.74,p<0.001,非アジア人のOR 0.89,0.76-1.04,I2=82.1%,p=0.143,交互作用のp=0.004。
頭蓋内出血:アジア人のOR 0.33,0.22-0.50,p<0.001,非アジア人のOR 0.52,0.42-0.64,p<0.001,交互作用のp=0.059。
出血性脳卒中:アジア人のOR 0.32,0.19-0.52,p<0.001,非アジア人のOR 0.56,0.44-0.70,p<0.001,交互作用のp=0.046。
消化管出血:アジア人のOR 0.79,0.48-1.32,p=0.378,非アジア人のOR 1.44,1.12-1.85,p=0.005,交互作用のp=0.041。

[低用量NOAC(dabigatran 110mg,edoxaban 30mg,rivaroxaban 15mg)]
アジア人と非アジア人の比較において,脳梗塞,大出血,消化管出血を除き,不均一性を認めずにVKAより安全であった。
・有効性評価項目
脳卒中または全身性塞栓症:アジア人のOR 0.93,0.71-1.21,非アジア人のOR 1.07,0.93-1.24,交互作用のp=0.353。
脳梗塞:アジア人のOR 1.06,0.68-1.65,I2=75.0%,非アジア人のOR 1.29,0.88-1.90,交互作用のp=0.504。
心筋梗塞:アジア人のOR 0.92,0.48-1.79,p=0.816,非アジア人のOR 1.28,1.06-1.55,p=0.010,交互作用のp=0.352。
全死亡:アジア人のOR 0.89,0.70-1.15,I2=68.5%,非アジア人のOR 0.88,0.81-0.96,I2=95.6%,交互作用のp=0.934。

・安全性評価項目
大出血:アジア人のOR 0.52,0.32-0.86,非アジア人のOR 0.64,0.38-1.09,交互作用のp=0.579。
頭蓋内出血:アジア人のOR 0.28,0.16-0.49,非アジア人のOR 0.32,0.24-0.44,交互作用のp=0.661。
出血性脳卒中:アジア人のOR 0.35,0.18-0.68,非アジア人のOR 0.34,0.23-0.50,交互作用のp=0.944。
消化管出血:アジア人のOR 0.67,0.39-1.15,非アジア人のOR 0.87,0.56-1.35,I2=87.5%,交互作用のp=0.460。
文献: Wang KL, et al. Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants for Stroke Prevention in Asian Patients With Nonvalvular Atrial Fibrillation: Meta-Analysis. Stroke 2015; 46: 2555-61. pubmed
関連トライアル RE-LY Asian subgroup, ROCKET AF East Asian patients, ROCKET AF elderly patients, ROCKET AF major bleeding, 癌関連VTE患者における新規経口抗凝固薬の有効性および安全性, 急性VTE治療における新規経口抗凝固薬とビタミンK拮抗薬の比較, 高齢者におけるDOACの有効性および有害性, 心房細動およびVTE患者におけるNOACの大出血関連致死率, 心房細動患者における新規抗凝固薬の有効性および安全性, 新規経口抗凝固薬4剤のwarfarinに対する有効性・安全性, 脳卒中/TIA既往を有する心房細動患者における新規抗凝固薬
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