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高齢者におけるDOACの有効性および有害性
Efficacy and Harms of Direct Oral Anticoagulants in the Elderly for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation and Secondary Prevention of Venous Thromboembolism: Systematic Review and Meta-Analysis
結論 高齢者における血栓リスクについて,直接経口抗凝固薬(DOAC)はビタミンK拮抗薬(VKA)にくらべ,少なくとも同等の有効性を示したが,出血のパターンは異なった。特に,dabigatranはVKAにくらべ消化管出血リスク上昇と関連していた。apixaban,edoxaban,rivaroxabanについてはデータが十分でなく,更なる検討が必要である。
コメント 消化管出血に関しては,ダビガトラン150mg×2,リバーロキサバン20mg,エドキサバン60mgでワルファリンに比し多いことが報告されているが,アジアあるいは東アジアのサブ解析は,いずれの薬剤もワルファリンに比し少ないことがわかっている。頭蓋内出血の頻度がアジア人ではワルファリンで約4倍高いこともあわせ考えると,NOACはアジア人により適した薬剤といえよう。(是恒之宏

目的 高齢者の出血に関するDOACのエビデンスは,高齢者では合併症の増加,多剤併用,薬物動態の変化があるにもかかわらず,明らかになっていない。本研究では,心房細動および急性静脈血栓塞栓症(VTE)の管理についてDOAC(dabigatran, apixaban, rivaroxaban, edoxaban)をVKAと比較した試験において,高齢者(≧75歳以上)での有効性および安全性を登録患者全体と比較した。有効性主要評価項目:脳卒中または全身性塞栓症(心房細動患者の試験),VTE再発(VTEの試験)。安全性主要評価項目:大出血。
方法 1993年11月22日~2013年11月22日,Medline,Embase,CENTRALにて英文論文を検索し,2014年6月1日に検索結果を更新した。clinical trials registriesの検索,web of scienceなどを用いた学会抄録の同定,未出版論文同定のための検索論文文献リストの確認も行った。
対象:急性VTE治療または心房細動患者における脳卒中発症抑制のため,DOAC(dabigatran, apixaban, rivaroxaban, edoxaban)をVKAと比較したphase IIまたはIIIのRCTで,追跡期間が3ヵ月以上。phase IIは,phase IIIで用いられた用量の結果のみを抽出した。
除外:終了した試験の追加的追跡。
対象 19試験(dabigatran 5試験,rivaroxaban 5試験,apixaban 4試験, edoxaban 5試験)。
31,418例(102,479例のうちの≧75歳の患者)。
主な結果 ・脳卒中/全身性塞栓症
dabigatran 150mg(RE-LY,患者数4,889例):OR 0.66,95%CI 0.49-0.90。
dabigatran 110mg(RE-LY,4,772例):OR 0.88,0.66-1.18。
rivaroxaban(ROCKET AF,6,164例):OR 0.80,0.63-1.02。
apixaban(ARISTOTLEARISTOTLE-J,5,746例):OR 0.70,0.52-0.93。
edoxaban 60mg(ENGAGE AF-TIMI 48,5,668例):OR 0.81,0.65-1.03。
edoxaban 30mg(ENGAGE AF-TIMI 48,5,626例):OR 1.12,0.90-1.39。

・VTE再発
dabigatran(RE-COVERを統合,患者数529例):OR 0.66,95%CI 0.16-2.66。
rivaroxaban(EINSTEIN-DVT ,PE,1,283例):OR 0.62,0.33-1.18。
apixaban(AMPLIFY,749例):OR 0.50,0.21-1.21。
edoxaban 60mg(Hokusai-VTE,1,104例):OR 0.50,0.27-0.94。

・大出血(上記試験の統合)
dabigatran 150mg(患者数4,726例):OR 1.18,95%CI 0.97-1.44。
dabigatran 110mg(4,114例):OR 1.03,0.83-1.27。
rivaroxaban(7,082例):OR 1.04,0.86-1.26,I2=82%。
apixaban(6,423例):OR 0.63,0.51-0.77,I2=72%。
edoxaban 60mg(5,668例):OR 0.81,0.67-0.98。
edoxaban 30mg(5,626例):OR 0.46,0.38-0.57。

・その他の出血
VKAに比し,消化管出血リスクの上昇(dabigatran 150mg:OR 1.78,1.35-2.35,110mg:OR 1.40,1.04-1.90)および頭蓋内出血リスクの低下(dabigatran 150mg:OR 0.43,0.26-0.72,110mg:OR 0.36, 0.22-0.61,apixaban:OR 0.38,0.24-0.59)がみられた。
文献: Sharma M, et al. Efficacy and Harms of Direct Oral Anticoagulants in the Elderly for Stroke Prevention in Atrial Fibrillation and Secondary Prevention of Venous Thromboembolism: Systematic Review and Meta-Analysis. Circulation 2015; 132: 194-204. pubmed
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